司法試験、予備試験には、短答式試験と論文式試験という二つの出題形式があります。
このうち短答式試験とは、いわゆる〇×問題で、マークシートで回答する試験です。
論文式試験は、文字通り法律の答案を論述形式で作成する試験です。
ここでは司法試験と予備試験の短答式試験の特徴、難易度について解説していきます。
目次
司法試験・予備試験における短答式試験とは?
司法試験 短答式試験の特徴
司法試験の合否は、短答式試験及び論文式試験を総合して判断されます。
また司法試験の短答式には、基準点を下回った場合、論文式試験を採点してもらえないいわゆる足切り制度が存在します。
このように、司法試験の短答式試験は、「足切りとしての機能」及び「最終合格の判断の一部となる役割」を担っています。
予備試験 短答式試験の特徴
予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述式試験の3つ試験があり、短答式試験に合格した人が論文式試験を受けるといった形の制度となっています。
それぞれの試験の合否の判定は各試験で完結しており、短答式試験の得点は論文式試験以降の合否には関係ありません。
これが司法試験との大きな違いになります。
また、予備試験には足きり制度も存在しません。
予備試験と司法試験の短答式試験には以上のような違いがあります。
予備試験における短答式試験の難易度
合格率
予備試験の短答式試験の合格率は概ね20%程度で推移しています。
予備試験は毎年1万人程度が受験しますが、多くが短答式試験で不合格になっていることがわかります。
合格率 | 受験者数 | 合格者数 | |
---|---|---|---|
平成23年 | 20.7% | 6,477人 | 1,339人 |
平成24年 | 23.8% | 7,183人 | 1,711人 |
平成25年 | 21.9% | 9,224人 | 2,017人 |
平成26年 | 19.5% | 10,347人 | 2,018人 |
平成27年 | 22.2% | 10,334人 | 2,294人 |
平成28年 | 23.2% | 10,442人 | 2,426人 |
平成29年 | 21.4% | 10,743人 | 2,299人 |
平成30年 | 23.9% | 11,136人 | 2,661人 |
令和元年 | 22.9% | 11,780人 | 2,696人 |
令和2年 | 23.8% | 10,608人 | 2,529人 |
令和3年 | 23.2% | 11,717人 | 2,723人 |
令和4年 | 21.7% | 13,004人 | 2,829人 |
※参考:司法試験予備試験の結果について
難易度
上記合格率からも分かるとおり、予備試験の短答式試験は難しいです。
では何が難しいのでしょうか。
予備試験の短答式試験は、法律科目(民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、憲法、行政法)の7科目と一般教養の合計8科目で構成されています。
満点は270点で、合格基準点は例年160~170点を推移しています。
そのため、6割以上得点することが求められます。
私見にはなりますが、予備試験の短答式はとにかく科目数が多いことが受験生を苦しめていると思います。
短答式はいわゆる〇×問題なので、演習を繰り返せばある程度の実力に達する試験ですが、科目数が多すぎて「繰り返すこと」ができないことが多いのではないかと想像します。
そのため、短答式試験の対策は「時間を確保する」ことが非常に重要となります。
当たり前のように感じるかもしれませんが、論文の勉強と並行していると、どうしても短答式の学習がおろそかになる傾向にあるので、意識的に短答式の勉強をする時間をとりましょう。
※関連コラム:予備試験の難易度は?現役予備校講師が正直に解説します
司法試験における短答式試験の難易度
合格率
司法試験の短答式試験の合格率は概ね60%程度で推移しています。
直近4年間に絞れば、合格率は70%以上。
予備試験とは異なり合格する受験生の方が多い試験になっています。
合格率 | 受験者数 | 合格者数 | |
---|---|---|---|
平成18年 | 80.5% | 2,091人 | 1,684人 |
平成19年 | 75.5% | 4,607人 | 3,479人 |
平成20年 | 74.3% | 6,261人 | 4,654人 |
平成21年 | 68.4% | 7,392人 | 5,055人 |
平成22年 | 70.7% | 8,163人 | 5,773人 |
平成23年 | 64.5% | 8,765人 | 5,654人 |
平成24年 | 63.7% | 8,387人 | 5,339人 |
平成25年 | 68.7% | 7,653人 | 5,259人 |
平成26年 | 63.4% | 8,015人 | 5,080人 |
平成27年 | 66.2% | 8,016人 | 5,308人 |
平成28年 | 67.0% | 6,899人 | 4,621人 |
平成29年 | 66.0% | 5,967人 | 3,937人 |
平成30年 | 70.0% | 5,238人 | 3,669人 |
令和元年 | 73.6% | 4,466人 | 3,287人 |
令和2年 | 75.4% | 3,703人 | 2,793人 |
令和3年 | 78.0% | 3,424人 | 2,672人 |
令和4年 | 80.9% | 3,082人 | 2,494人 |
※参考:司法試験の結果について
難易度
司法試験の短答式の科目数は民法、刑法、憲法の3科目で構成されています。
満点は175点で、合格基準点は例年100点前後を推移しています。
6割程度の得点率が求められる点については予備試験と変わりありません。
ただ、司法試験の方が科目数が少ないため、難易度としては司法試験の方が予備試験よりも低いと考えてよいでしょう。
※関連コラム:司法試験の難易度・合格率をアガルート講師がお答えします
短答式試験の勉強を始める際のアドバイス
短答式の問題は難しく、最初からすらすら解ける人はいません。
はじめのうちは分からなくても、とにかく過去問を解き、解説を読むことを何回も繰り返しましょう。
繰り返し同じ問題に触れることで、徐々に知識が定着していきます。
短答式は努力が得点に結びつきやすい試験ですので、辛抱強く頑張りましょう。