法曹を目指す場合、司法試験に合格しなければなりません。
司法試験は文系最難関と称される試験ですが、実際にどれくらい難しいのでしょうか。
実際のところ、何点取れば合格できるのでしょうか。
本コラムでは、司法試験の合格点や足切りラインについて解説していこうと思います。
司法試験の合格ライン・合格点
短答式試験
司法試験は、短答式試験と論文式試験に分かれています。
採点は、短答式試験からされます。
短答式試験で合格点を下回ると、論文式試験の採点はされません。
司法試験の短答式試験の科目は民法・憲法・刑法の3科目。
それぞれ配点が75点、50点、50点となっており、175点満点です。
短答式試験合格者の平均点は例年120~130点辺りで推移しています。
すなわち、7割くらい得点できれば合格できるといえます。
試験年度 | 短答式合格者の平均点 |
---|---|
平成29年 | 125.4点 |
平成30年 | 128.1点 |
令和元年 | 129.3点 |
令和2年 | 118.1点 |
令和3年 | 126.4点 |
令和4年 | 123.3点 |
※参考:司法試験の結果について
なお、短答式試験と論文式試験の配点割合は1:8なので、短答の成績が悪くても最終合格することは十分に可能です。
また、短答式試験には足切りラインがあります。
足切りラインは、各科目の配点の4割、すなわち、民法が30点、憲法・刑法が20点となります。
1科目でも足切りラインを下回った場合、即不合格ということになります。
論文式試験
論文式試験の配点は、民事系科目が各300点、公法系・刑事系科目が200点、選択科目が100点の合計1400点満点です。
論文式試験の合格最低点は明らかにされていません。
ですが、近年は総合得点820点前後で合格基準が推移しています。
したがって、短答で120点を取ったと仮定すると、論文で700点取れば合格できるくらいの感覚です。
すなわち、論文式試験は半分ちょいできればギリギリ合格できるということです。
そういわれると、なんだか出来そうな気がしてきませんか?
もっとも、これは合格最低点が820点であると仮定した場合です。
平成28年度などは合格最低点が880点と、レベルの高い年になっているので、今後もそうなる可能性はあります。
したがって、確実に合格するならば、6割くらい得点する必要がありそうです。
なお、論文式試験にも足切りラインがあります。
足切りラインは各科目の配点の25%。
すなわち、民事系が75点、公法系・刑事系が50点、選択科目が25点です。
論文の足切りは非常に低く設定されているので、合格最低点を取りながら足切りにかかるという事態はほとんど考えられません。
したがってあまり不安になる必要はありませんが、一番あり得るのは選択科目の足切りなので、選択科目も手を抜かずに勉強しましょう。
司法試験の足切りとは?
改めて司法試験の足切り制度について解説します。
足切りとは、短答・論文においてたとえ合格最低点に達していたとしても、1つでも最低基準に満たない科目があれば無条件で不合格とされる制度です。
具体的には、
短答式試験は各科目40%(民法30点、憲法・刑法20点)
論文式試験は各科目25%(民事系75点、公法系・刑事系50点、選択科目25点)
に満たない点数の科目があった場合に足切りとされます。
足切りされる人数
足切りされる人数は年によってかなり違ってきます。
以下、法務省が出しているデータから足切りされた人数をまとめてみました。
短答
・令和4年(採点対象者3,060人、短答合格者2,494人)
憲法113人 民法226人 刑法67人
・令和3年(採点対象者3,392人、短答合格者2,672人)
憲法75人 民法189人 刑法147人
・令和2年(採点対象者3,664人、短答合格者2,793人)
憲法47人 民法435人 刑法376人
・令和元年(採点対象者4,429人、短答合格者3,287人)
憲法180人 民法82人 刑法368人
・平成30年(採点対象者5,200人、短答合格者3,669人)
憲法94人 民法375人 刑法159人
論文
・令和4年(短答合格者2,494人、最終合格者1,403人)245人
・令和3年(短答合格者2,672人、最終合格者1,421人)229人
・令和2年(短答合格者2,793人、最終合格者1,450人)181人
・令和元年(短答合格者3,287人、最終合格者1,502人)251人
・平成30年(短答合格者3,669人、最終合格者1,525人)188人
・平成29年(短答合格者3,937人、最終合格者1,543人)343人
このように、足切りされる人数は問題の難易度に左右されるので、年によってバラバラ。
とは言え、論文の足切りに関しては例年1割にも満たないと考えてよさそうです。
したがって、足切りを主に意識しなければならないのは、短答式試験といえます。
※関連コラム:司法試験とは
足切りに合わないために
足切りラインとはすなわち、「最低でもこのくらいは出来ないと認められない」というメッセージです。
つまり、足切りとは最低限の基準であるので、足切りされて落ちるということは一番避けるべき事態といえます。
司法試験の足切りラインはそれほど厳しい水準ではないので、足切りされるということは間違いなく実力不足であるというほかありません。
したがって、足切りされないための特別な対策というものは存在しません。
全ての科目を一通り勉強し終えたのならば、足切りされるということは基本的にはないはずですから、そこまで怖がる必要はないといえるでしょう。
しかし、短答が苦手という受験生は一定数存在します。
そのような方はひょっとしたら短答で足切りされる可能性があるので油断できません。
足切りを回避する方法はとにかく過去問を解くことです。
また、科目による偏りを生じさせないこと。
人によって異なりますが、一般的には全ての科目を満遍なく10年分程度の過去問を3回以上回せば、足切りは免れるくらいの実力をつけることができるといわれています。