▲イラスト=パク・サンフン
【韓国ジェンダーレポート2022】〈第5回〉
大学院生のカンさん(26)は、自宅以外ではできる限りトイレに行かないようにしている。「隠しカメラの恐怖」のためだ。大学生時代、大学の正門前のピザ屋からコンビニ、人文学部の女子トイレに至るまで違法な撮影物が見つかったというのは、一度や二度の話ではない。どうしても公衆トイレに行かなければならない場合は、天井の換気扇から壁、ごみ箱に至るまでくまなくチェックす..
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▲イラスト=パク・サンフン
【韓国ジェンダーレポート2022】〈第5回〉
大学院生のカンさん(26)は、自宅以外ではできる限りトイレに行かないようにしている。「隠しカメラの恐怖」のためだ。大学生時代、大学の正門前のピザ屋からコンビニ、人文学部の女子トイレに至るまで違法な撮影物が見つかったというのは、一度や二度の話ではない。どうしても公衆トイレに行かなければならない場合は、天井の換気扇から壁、ごみ箱に至るまでくまなくチェックする。穴があれば、コートで隠さないと安心できない。「敏感過ぎると思われるかもしれませんが、携帯電話のカメラでの撮影が当たり前になった最近では、誰でも性犯罪のターゲットになり得るため、本当に恐ろしいです」
朝鮮日報とソウル大学社会発展研究所が韓国全土の16歳以上の男女1786人を対象に行った「2022大韓民国ジェンダー意識調査」で、女性の10人に6人(63.1%)が「韓国の社会は性犯罪のリスクに対して安全ではない」と回答した。男性(34.7%)の2倍近い回答率だ。「デジタル機器を活用した性犯罪に対して安全とはいえない」と考える女性は10人中8人(79.9%)に上った。
性犯罪に対する不安は、20-30代の女性たちの間で特に高かった。デジタル世代であるこの年齢層は、性犯罪の現場をSNS(交流サイト)でリアルタイムに共有し、決して「人ごと」ではなく、「明日はわが身」として受け止めているため、と分析されている。性犯罪被害者の90%が女性という事実も恐ろしさを増幅させる。
違法撮影・流布などデジタル性犯罪が急増していることも、ジェンダー対立の要因として作用している。2019年に起きた「n番部屋事件」は、デジタル性犯罪に対する恐怖を極大化し、20代の男性たちを「潜在的加害者」と名指しする発言が飛び出したことで、男女間対立はより一層深刻化した。本紙の調査でも、20代男性の45.5%が「私の意図とは関係なく、セクハラや性的暴行の加害者にされるのではないかと思うと恐ろしい」と回答した。
韓国女性政治研究所のキム・ウンジュ所長は「SNSが人生そのものである20代の女性たちにとって、性犯罪に対する恐怖心は他の世代が理解しにくいほど、非常に実質的な脅威」とし「20代の女性たちが今年の大統領選挙で民主党支持へと大量に動いた理由は、高騰する不動産価格よりも性犯罪の方がはるかに恐ろしいと考えているからだ」との見方を示した。
キム・ヨンジュ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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