INTERVIEW 2022.11.27
源仲章役・生田斗真さんインタビュー
今回のオファーを受けたときの感想を教えてください。
ほかの現場で仕事をしていても「鎌倉殿の13人」の話題で盛り上がることが多く、「善児、怖いよね」とか「大泉(洋)さん、すてきだね」という話を耳にしていたので、自分もその世界に足を踏み入れることができるというのはとても楽しみでした。三谷幸喜さんの作品に関わるのも初めてなので、三谷さんからいただいたセリフのひとつひとつが嬉しかったですし、そのセリフを自分がどう乗りこなしていけるのかワクワクしました。
登場当初から謎めいた存在でしたが、どのような演技プランを考えていましたか。
初登場は第31回でしたが、序盤は特に出番がほんの少しだったので、「こいつはなんだ。なんか悪いことを考えてそうだけど、大丈夫?」という印象に残るような芝居を心がけていたし、求められていたので、なかなか楽しんでやっていました。
現場で政子役の小池栄子さんとお話ししたところ、第45回で仲章が間違えて討たれることを「いやー本当にざまぁみろって感じだよね」って言うんですよ(笑)。というわけで、ドラマを楽しく見てくださっているお客様にも「やった! 仲章やっといなくなったぜ! 清々した!」という気持ちになってもらえるようにいろんなことを積み上げていきたいなと思っていました。「こいつさえいなければ、すべてうまく回るのに!」という、いやらしさやうっとうしさを少し混ぜていく感じですかね。
仲章は京と鎌倉をスパイのように行き来していた人物です。両チームの雰囲気や、以前より親交のある尾上松也さんが演じる後鳥羽上皇の印象はいかがでしたか。
尾上松也さんとは高校時代からの友人ですし、一緒に歌舞伎の舞台に立たせてもらっていたり、本当に古い付き合いです。そして義時を演じる小栗(旬)さんも古くから仲良くしていただいているので、その友人2人の間を行き来して二重スパイのようなことをするのは変な感覚ではありました。京チームは雅さが漂いながらも腹の中でいろんな思惑が渦巻いているドロドロとした雰囲気がすごく楽しかったですし、逆に鎌倉チームはギラギラとした権力闘争を繰り広げているという感じで、その両方の中に入れたことはちょっと得した気持ちというか、2つのチームの違いを知ることができたのは楽しかったです。
松也さんに関しては、学生時代から彼の歌舞伎をよく観ていましたし、今ももちろん観ているので、彼が持っている風格や技術力の高さを一緒に芝居をしながら間近で感じて、「ああ、やっぱり素晴らしい役者さんだな」と思いましたね。
鎌倉で出会った北条義時はどのような印象でしたか。
義時に対しては、「とにかくお前を引きずり下ろして自分が人の上に立ちたいんだ」という思いがとても強かったと思います。小栗さんは、長い撮影期間の中で積み上げてきたものがたくさんあり、後半になるにつれてどんどんダークになった義時と向き合う時間は、すごくピリピリした空気感がありワクワクしました。彼が積み上げてきた確固たる義時像がしっかりあるほど、横やりを入れるのが楽しかったりして(笑)。彼も本当に信頼できる役者さんですし、なみなみならぬ思いで、この作品に命をかける思いでやっていらっしゃると思うので、そこにスススッと入って、「お前が邪魔なんだ!」などと言っているのが楽しかったですね!(笑)
鎌倉では三代鎌倉殿・実朝の指南役としても重宝されていましたが、彼に対してはどのようなことを思っていましたか。
そんな仲章も最終的には実朝と共に討たれることになってしまいました。第45回の台本を読んだ感想はいかがでしたか。
公暁に義時だと間違われまして、本来は「なぜだ!」というような最期のセリフになる気がするのですけれど、三谷さんが書かれたセリフは「寒いんだよ!」なんですよね。三谷幸喜という脚本家の腕のすごさを見た気がしました。だって普通は「なぜだ!」とか「貴様!」とか言わせたくなるはずなんだけど、「寒いんだよ!」って(笑)。ちょっと感心というか、「このセリフはおもしろいな」と思いました。
三谷さんの作品は「どうしてこんなこと思いつくんだろう」と思うことが多いですし、北条義時には大河ドラマでも描ききれないエピソードがたくさんあると思うのですが、「やりたいけど泣く泣く落とさざるを得ないエピソードがたくさんある中で、あえてこのエピソードを拾うんだ」と思ったりすると、「やっぱり三谷さんはエンターテイナーだな」と感じますし、それが日本のエンターテインメントをしょって立つ人の嗅覚なんだろうなというふうに思います。