弘前大学で活躍中の現役学生をご紹介する『在学生インタビュー』、第8回は、弘前大学ストリートダンスサークルA.C.T.(アクト)の3人。この4月に開催された世界最大規模のストリートダンスバトル『DANCE ALIVE HERO'S(ダンス アライブ ヒーローズ)』にて、東北勢初となるベスト8入りの快挙を果たしました!全国レベルで活躍している農学生命科学研究科1年横野冬馬(よこのとうま)さん、人文社会科学部4年高橋康友(たかはしこうすけ)さん、理工学部3年桜庭虎之介(さくらばとらのすけ)さんにダンスにかける思い、学生生活のことを伺いました。

学部の異なる3人の志望動機

—みなさんの志望動機を教えてください。

桜庭さん:地元にある国立大学といえば弘前大学なので、学力的にも考えて。先輩が理工学部電子情報工学科に進んでいたので少し話を聞いて、というのもありました。

高橋さん:祖父母が父方も母方も青森出身なんです。普段から「青森はいいところだぞ」というのを聞いていて、小さいころから青森に親近感がありました。道外に出てみたかったので、一番近い国立ということで弘前大学を選びました。人文学部の経済経営課程を志望したのは、受験当時、オリエンタルラジオの中田さん(お笑いタレント)をすごく尊敬していて、彼が経済学部出身だったので、経済かっこいいなと思って(笑)

横野さん:出身は新潟で、違う土地に行きたいというのがまずあって。実は別の大学を志望していましたが、センター試験の結果から、当時の担任に勧められたのが弘前大学でした。当時”弘前”がわからなくて、「どこですか?」と聞いたら「青森県」と。遠いな、、、と思いましたが、国立大学には複数の学部があるので、専門に特化した私立大学に行くよりいろいろな人と出会えていいのかなと考えて、弘前大学に行こうと決めました。これが今のところ人生で一番大きい転機になりました。
もともと農学部というよりは生命科学系を目指していて、理学部の生物学科などを考えていましたが、弘前大学の農学生命科学部生物資源学科(現:食料資源学科)では生物化学が学べるということを聞いて、進学しました。小さいときから恐竜が好きで、昔の生き物とか、未来はどんな生き物がいるんだろうという生物の“進化”に興味があって、高校でも生物が好きで、そういう大学に行きたいと思っていました。

弘前大学A.C.T.
左から高橋さん、桜庭さん、横野さん

それぞれの学び

—学業、研究のことについても教えてください。

横野さん:今の研究内容としては、大腸菌とバクテリオファージというウイルスをモデルとして用いて、遺伝子DNAやRNAに変異を導入して、環境変化に耐えうるような進化した大腸菌とバクテリオファージの生成を目指しています。人間や動物は環境が変化しても当たり前のように生きていますよね。それを何故そもそも安定した状態で生きているんだろうというのを研究する分野です。

高橋さん:僕はマーケティングの分野のゼミに入っていて、理系とはちょっと違って、個人ではなくチームで研究を行っています。テーマは「商店街の活性化」で、僕の担当テーマは「人を呼び込むこと」。商工会議所の方が考えている一番理想の形は“外国人観光客を呼び込むこと”と伺っています。伝統的な旅館の「石場旅館」さんに協力いただいて、これからのねぷたの季節に、作成したアンケートを置いてもらう予定です。そこで弘前の商店街の簡単な感想や印象を書いてもらって。印象の悪いところも積極的に教えてほしいと思っています。最終的には資料を作って、商工会議所に置いてもらうことが目標ですね。外国人観光客を呼び込むために、商店街に必要なことやものが伝わるような、助けになればいいなと考えています。

桜庭さん:ゼミは後期からの所属になります。専門ではプログラミングなどの技術を身につけておけば将来役に立ちそうと思って興味を持っていますが、まだどの先生のゼミに、というのは決めていないです。教養教育科目ではグローバル科目の『比較文化-「かわいい少女」という表象-』という授業がタイトルにインパクトもあり、印象に残っています。あと心理学はおもしろかったですね。

弘前大学A.C.T.

全員が大学からダンスを始める

ーみなさんのダンスを始めた経緯を教えてください。

横野さん:大学に入るタイミングで新しいことを始めたくて、まず、スポーツはやらないと決めていて。ダンスや軽音が気になっていましたが、楽器の経験が全く無いので、ダンスにしようと。弘大に決まってA.C.T.の存在を知って、YouTubeで弘前大学A.C.T.で調べたらある先輩の動画が出てきました。ストリートダンス自体もほとんど見たことが無かったのでそこで初めて知りました。

高橋さん:僕も同じように、スポーツはやらないと思っていて。軽音、ダンスで迷って、1年次の最初は軽音に入りました。小学校3年から中学校2年くらいまでギターをやっていたので、どうかなと思って。でも小学生のときから感じてたんですけど、どうもロックのフィーリングが合わなくて(笑)それからいろいろ違うサークルにも行ってみて、2年生になってダンスに。第2体育館の練習場所に行ったら冬馬さんがいて勧められました。入ってみたら見事はまってしまったという感じです。

桜庭さん:僕がダンスに興味を持ち始めたのは中学校のときです。同級生にダンスをやっている人がいて、ダンス番組の「スーパーチャンプル」とかの動画を見せてもらって、そのころからダンスを観ること自体は好きでした。でもなかなか始めるタイミングがなくて。中高はダンス部が無かったので、普通の部活に入っていました。大学に入ってからストリートダンスサークルがあるのは知ったんですけど、見る分にだいぶ怖いじゃないですか(笑)最初は高校の部活の延長で全学のバドミントンサークルに入りましたが、何か違うことをしたいなと思って1年次の夏にダンスに行ってみました。

弘前大学A.C.T.

自分の持っているモノを観衆の前で表現するおもしろさ

ー4月に開催された世界最大規模ストリートダンスバトル「DANCE ALIVE HERO’S」で、東北勢初のベスト8入り!ということですが、そもそもダンスバトルとは?
どんなところがおもしろいですか?

横野さん:ダンスバトルは、1対1のものから今回僕らが出たような3対3のもの、さらにはクルーバトルといった団体戦などさまざまあって、勝敗を決めるのはジャッジという何人かの審査員です。バトルではDJが即興でかける音楽に対して自分と相手がそれぞれアドリブで踊り合って、ジャッジが勝敗を決めます。
やっぱり勝敗は大事で、勝ったときはめちゃくちゃうれしかったり、負けたときは悔しかったりというのはあります。でも僕は勝敗よりも、観衆が見ている中で、自分の根っこの気持ちやフィーリングといったものを表現する気持ち良さが代えがたいと思っています。普段体験しないモノがダンスバトルにはあります。そこでさらにいいモノを見せたいって思いますね。

桜庭さん:練習はするんですけど、バトルは即興なので、いざやってみたら全然練習したことがない動きも出ちゃうことがあって。それで曲に合ってたらおもしろいなって思います。

ー全国大会はどのような経緯で出場したのでしょうか?

横野さん:僕たちは大学生・専門学校生が出るRIZE(ライズ)部門に出場しました。ジャンルやスタイルは問わない部門で、僕たちが踊っているのはPOP(ポップ)ダンスです。全国各地の地域毎に毎年3回の予選大会が行われていて、各大会の順位に比例して獲得するポイントの累計で、各地域のポイントランキング上位2チームが両国国技館で開催される全国大会に進みます。そこで東北地区ランキング2位で通過しました。
全国大会に出場してみて、この大会に限らず思っていますが、関東・関西がやっぱり今の日本のダンスシーンを引っ張っていっているので、その地域であるからこその学生たちの勢いや個々の技術は地方にはないものがあると思いました。
今回の大会では僕たちの先輩後輩、先生方、弘前出身で今は県外に出ている方など、40~50人近くが応援に来てくれて、応援団に関しては全国でもあまり無い規模だったと思います。応援の大きさもすごかったですし、僕達みたいな地方の出場者は比較的人数が少ない分、団結力が強く、弘前はあったかいなと思いました。応援があったからこそのベスト8という結果だったと思います。

弘前大学A.C.T.
両国国技館で行われた『DANCE ALIVE HERO'S』での一幕。1万3千人の大観衆が見守る。

ダンスを続けていきたい

ー今後の目標は?

桜庭さん:弘前でずっと育ってきて、ここで何か結果を残すことも目指してはいますが、遠く県外、別の場所へ行って、どれだけ自分を出して弘前を代表して活躍できるかも試したい。それが目標です。

高橋さん:まずダンスを続けるということが目標のひとつで、どんどん県外にも行って頑張っていきたいと思います。それから卒業して社会に出てからも、ちゃんとダンスを続けてこういうことができましたよと、今ダンスを教えてくれている先生に報告できたらいいなと思うので、続けることが第一目標です。

横野さん:大学院にいる間はできるだけ、もちろん結果を残すのもそうですし、自分のダンスを見つめ直して、個を高めたいと思います。大会にも出続けて、良い結果を残したい。卒業して社会人になったとき、自分がどこにいるか見当はつかないですけど、ダンスは続けていきたいと思います。
友だちや尊敬する先生が海外にもいて、言葉が通じなくてもダンスをするだけで気持ちを共有して楽しめることがすごいと思っています。全国、海外でいろんな人に出会ってたくさんの繋がりを作っていけたら、自分のダンスライフというか人生自体が楽しめると思うので、そういう活動もしていきたいです。

ステージへの入場。会場は高揚感にあふれる。

自由な時間。自分のやりたいことを見つけて。

ー最後に受験生へメッセージをお願いします。

横野さん:大学が人生において一番時間がある期間だとやっぱり実際体験して思ったので、時間を有効活用して、新しいことを始めてほしいです。勉強も大事ですけど、一個でもいいから熱中するものがあったらさらに良い時間になると思うので、それをぜひ見つけてください。

高橋さん:弘前は、北海道から来た身としては、とても四季がはっきりしていて、季節を感じるにはすごくいい土地です。青森と聞くと田舎とか都会から遠いってイメージがあるかもしれないけど、環境って全然関係ないんじゃないかと最近思っていて。時間さえあればなんでもできるので、自分を信じて頑張ってほしいです。

桜庭さん:入ってしまえばあとは小中高と比べて自由がきく期間なので、それをいかに大事に使っていくか。自分で何かしたいことがあるんだったら、入ってから存分に楽しめばいいんじゃないかと思います。

弘前大学A.C.T.

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Profile

全国大会『DANCE ALIVE HERO'S』ベスト8!
横野冬馬さん、高橋康友さん、桜庭虎之介さん

弘前大学ストリートダンスサークルA.C.T. 。
学内外含めて100名以上が所属する。3人は、市内のダンススタジオ「FUNKY STADIUM」の岩渕伸雄代表(弘前大学農学生命科学研究科修了)に師事を仰ぎ、POPダンスを学ぶ。
横野冬馬さん:新潟県新潟市出身。新潟県立新津高等学校卒業後、平成26年に弘前大学農学生命科学部生物資源学科(現:食料資源学科)へ入学。平成30年に弘前大学大学院農学生命科学研究科へ進学。柏木明子准教授の研究室で遺伝子(大腸菌とバクテリオファージ)を研究する。
高橋康友さん:北海道室蘭市出身。北海道室蘭栄高等学校卒業後、平成27年に弘前大学人文学部経済経営課程(現:人文社会科学部社会経営課程)へ入学。保田宗良教授の研究室でマーケティングを研究する。
桜庭虎之介さん:青森県弘前市出身。青森県立弘前南高等学校卒業後、平成28年に弘前大学理工学部電子情報工学科へ入学。