だいち3号2014年05月24日 01:33

だいち3号
だいち3号


陸域観測技術衛星3号というのが、正式名称らしい。

(だいち3号)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%A13%E5%8F%B7

残念ながら、打ち上げが何時になるのかは不明である。

「「だいち2号」と同時に運用される予定であったが、平成26年度(2014年度)予算編成時点では計画が棚上げされている。」

この衛星に搭載されるセンサーの性能が凄い!。

「性能:
パンクロマチックセンサー - 分解能80cm 、観測幅50km
ハイパー・マルチセンサー (HISUI)
マルチスペクトルセンサー - 分解能5m、観測幅90km
ハイパースペクトル センサー - 分解能30m、観測幅30km
観測可能範囲 - 2600km
地上局への伝送速度 - Xバンドにより800Mbps(データ中継衛星「こだま」を経由して伝送可能)
設計寿命 - 5年、目標は7年」

うーん、80cmの分解能か・・・。

(パンクロマチック画像とは ? )
http://www.pasco.co.jp/recommend/word/word101/

ALOSシリーズの画像解析については、このページが詳しいのだが、資料を見ても、何が書いてあるのかさっぱり分からない。

(宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター)
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/index_j.htm

だいち(ALOS)のデータを使用した、全地球の3Dデータが5mの分解能で有償利用できるようになるらしい。

(だいち:観測データの活用)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%A1#.E8.A6.B3.E6.B8.AC.E3.83.87.E3.83.BC.E3.82.BF.E3.81.AE.E6.B4.BB.E7.94.A8

「JAXAは、陸域観測技術衛星「だいち」によって撮影した約300万枚の衛星画像を用いて、世界最高精度の全世界デジタル3D地図を整備する計画を2014年2月に発表した。」

「2014年3月から3D地図の整備を開始し、2016年3月までに全世界の3D地図を完させる予定。」

まあ、これがゆくゆくは、80cmになるわけか・・・。

だいち2号には、光学センサーは小型赤外カメラ「CIRC」しかないが、だいち3号はモロにスパイ衛星だな。

だいち(ALOS)については、情報収集衛星との共通点も指摘されている。

(だいち:情報収集衛星との関係)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%A1#.E6.83.85.E5.A0.B1.E5.8F.8E.E9.9B.86.E8.A1.9B.E6.98.9F.E3.81.A8.E3.81.AE.E9.96.A2.E4.BF.82

「公開されたり報道された情報から、だいちと第2世代までの情報収集衛星の機体構成や性能は、よく似ていると推測されている。だいちの開発・製造を担当するメーカーも、情報収集衛星と同じ三菱電機である。」

ちなみに、だいちのプライムコンストラクターは、NEC東芝スペースシステムとある。

ははあ、この辺りが、きな臭いわけだな(主契約者は違っても、実質的には同じメーカーが手がけるというわけか)。

まあいい。

衛星メーカーなんて、狭い世界だ(実質、2社だけ)。

(JAXAプロジェクトを担当する主な企業)
http://aerospacebiz.jaxa.jp/jp/spaceindustry/company/

事例の中では、衛星関係のとりまとめは、JAXA以外では、NECだけ。

まあ、もう、みんな顔見知りなわけだな。

(情報収集衛星)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%8F%8E%E9%9B%86%E8%A1%9B%E6%98%9F

光学衛星とレーダー衛星の組み合わせといい、センサーの種類といい、そっくりだな。

こっちの分解能は、光学衛星で、既に41cm未満である。

(政府、高解像度の衛星を開発へ…40センチの物体も識別)
http://web.archive.org/web/20090203020443/http://www.yomiuri.co.jp/space/news/20090131-OYT1T00456.htm

「各国の軍事衛星の能力は詳細が明らかにされていないが、40センチの解像度を上回るのは、米国の軍事衛星だけと見られる。」

昨年度からは、光学7号機の研究開発に着手している。

(情報収集衛星について)
http://www8.cao.go.jp/space/comittee/yusou-dai3/siryou2-4.pdf

浮沈子のような素人には、なんで共用しないんだろうと思うくらい、仕様が似ている。

お役所の間の縄張りとか、軍事衛星と共用することに対する抵抗とか、まあ、いろいろあるんだろうが、税金の使い道という観点からは、いかがなものかという気がしないでもない。

三菱電機が、共通のバスで作っているなら、トータルでコスト削減になっているのかもしれないし、逆に、開発フェーズは情報収集衛星に集約して、そっちにコスト乗っけて、ALOSシリーズは、手堅い設計にしているのかもしれない。

まあ、どうでもいいんですが。

よく引用されている資料として、「「だいち」後継機の概要」というのがあるので、読んでみた。

(「だいち」後継機の概要)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/rikukai/091002/siryou1-2.pdf

「■ 防災関係府省庁殿からの要求
○ 光学センサとレーダが必要
○高分解能観測(約1m)
○広域観測(観測幅:50km以上)
○ 高頻度観測(概ね3時間以内)
■ 農林水産省殿からの要求
○ 面積調査の母集団整備に必要な精度:1/2,500~1/5,000相当(「だいち」は、1/7,000~1/10,000相当)
■ 国土地理院殿からの要求
○ 光学センサの分解能:0.8m
■ 海上保安庁殿からの要求
○冬季オホーツク海を高頻度、広域(PALSAR同等)」

保安庁だってえ?。

陸域観測じゃなかったっけ?。

0.8mという分解能は、国土地理院「殿」からの要求だったわけだな。

浮沈子が想像するに、光学7号とだいち3号(ALOS-3)は、同時期開発になっているのではないか。

あるいは、統合されるとか。

(平成22年宇宙開発委員会(第7回) 議事録)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/015/gijiroku/1293950.htm

「【事務局(宇宙利用推進室松浦室長)】 補足ですけど、ALOS-2はレーダの衛星になりますので、立体視をする衛星は一応ALOS-3で今検討中です。ALOS-3についてはまだ研究フェーズということで仕様は完全に固まっておりませんが、一応解像度を上げた立体視のセンサを積むという意味ではALOS-3になるかなと思っています。」

ちなみに、この宇宙開発委員会というのは、平成24年(2012年)に廃止されている。

(宇宙政策委員会)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%94%BF%E7%AD%96%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

「宇宙政策委員会(うちゅうせいさくいいんかい)は、内閣府設置法第38条を根拠として内閣府に設置されている審議会。有識者の大局的・専門的見地から日本の宇宙開発計画に対する調査・審議を行う。宇宙開発戦略本部の下に設置されていた宇宙開発戦略専門調査会に替わる組織として2012年7月設置された。機能や構成は文部科学省に設置されていた宇宙開発委員会と類似し、宇宙開発委員会の事実上の後継組織と言えるが、組織としての直接的なつながりはない」

まあ、整理されたんだろう。

「文部科学省という一省庁の審議会でしかなかった宇宙開発委員会を廃止して、あらたに内閣府に宇宙政策委員会を設置することにより、省庁の垣根を越えた宇宙開発体制の構築を実現させることが狙いである。」

非公開ということについては、いろいろ意見があるようだが、議事録等は公開されている。

(宇宙政策委員会 開催状況)
http://www8.cao.go.jp/space/comittee/kaisai.html

で、これらからALOS-3(だいち3号)について拾ってみると、あまり出てこない。

(宇宙開発委員会 推進部会(平成24年)(第2回) 議事録)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/017/002/gijiroku/1315993.htm

「【宮崎特別委員】 55、56ページの今後の展望について質問ですが、ALOS-2や、ALOS-3に対していろいろ新たなrequirementが書かれています。例えばインフラの被災状況とか原子力発電所の詳細被害状況の把握、それとは別に、海洋監視や、森林炭素監視などいろいろなrequirementがあります。あるいは前にも書いてありましたように、火山対策、科学物質の流失への対応等、いろいろなニーズがありますが、それらの優先順位はどうやってこれから決めていかれるのでしょうか。新たな技術開発も必要になってきますし、プライオリティをどのようにセッティングしていかれる予定でしょうか。」

「【JAXA(大澤)】 プライオリティについては、宇宙基本計画に合わせてALOS-2、ALOS-3は書いておりますが、災害に対して観測するということがトッププライオリティだと思っております。」

(第6回宇宙政策委員会 議事要旨:平成24年10月19日)
http://www8.cao.go.jp/space/comittee/dai6/gijiyousi.pdf

「今回(H25年度予算要求)のヒアリング対象事業:
事業名:陸域観測技術衛星3号(ALOS-3)の衛星開発
要求額:1億円
24年度予算:1億円
枠(特別重点枠・重点枠:なし」

んだ、こんなもんかあ?。

こんなページもヒットした。

([ALOS-3]」の検索結果を表示しています)
http://d.hatena.ne.jp/iwamototuka/touch/searchdiary?word=%5BALOS-3%5D

(岩日誌)
http://d.hatena.ne.jp/iwamototuka/touch

まめですなあ。

少しは見習わないと。

(東日本大震災を踏まえた宇宙開発利用の戦略的推進のための施策の重点化及び効率化の方針について(案) )
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/senmon/dai16/siryou1.pdf

「①光学
- ASNARO1(経産省、分解能 50cm 未満、観測幅 10km)は、すでに完成間近である上、同型機の海外輸出や海外衛星と共同での衛星画像提供サービス事業の構築などの意義が認められることから、2012 年打上を目指して必要な措置(予算を含)を取るべきである。
- だいち3(文科省(JAXA)、分解能 80cm、観測幅 50km、事業費:文部科学省[運用、打上げ費含む]約 390 億円)は、単純な撮像機能については ASNARO1 や海外衛星との重複がある上、立体視等の機能については地図の作成等では有効であるものの、緊急性等の点で他のプロジェクトに劣後するため、他の優先度の高いプロジェクトを実施した上で宇宙予算上可能であれば実施することとすべきである。」

これについては、「うーむ、ALOS-3は60度のポインティング機能とか観測幅とか利点があると思うんですが、どうやら後回しにされそうな気配です。」とこめんとされているほか、こんなページもあった。

(はたしてこれでいいのだろうか 宇宙開発戦略本部)
http://www.soranokai.jp/pages/senryakuhonbu_nakano_1.html

「「だいち3」とは、この4月に運用が終了したALOS(初代「だいち」)の後継機ALOS-3のことである。いっぽうASNARO1は、経産省が進めている衛星システムを指す。光学センサにかんしては、分解能が50cm以下であることから、文科省が計画しているALOS-3(だいち3)の分解能80cmよりも優れている。上記の文章では、この分解能の優位性をあげ、だからALOS-3(だいち3)は「立体視、広域観測等の機能については地図の作成等では有効であるものの、緊急性等との観点で他のプロジェクトより優先度が低い」と述べている。背骨のない宇宙戦略の小骨について、いちいち論評するのは不愉快なのだが、この部分にかんしてはどうしても納得できない。」

「観測衛星のセンサによる分解能をあげることは、衛星開発の世界ではたしかに“競争力の一つ”である。しかし、米国の商業衛星GeoEye-1が分解能50cmのデータを販売する世の中で、あえて日本が国の政策として分解能競争に参戦する必要があるのだろうか。
衛星による分解能は、スパコンの処理能力とは少々異なる。分解能が高いことはもちろん有利だが、そのデータを受ける地上側での解析能力は、もっと重要である。特定の人の顔を観測できるというのは、スパイ映画の話にすぎない。地形の微細な変化や土壌水分量の変動等々、地上のわずかな変化から何を読み取ることができるかという解析能力のほうが、今後はどんどん重要になるのではないか。
ALOSは、世界には例のないユニークな機能を備えた衛星だ。そのユニークさが、ようやく実を結びつつある。人間でいえば、大学院生になったといってよい。今はそのALOSの技術を徹底的に練り上げ、JAPAN-ORIGINALにしてしまうことが重要である。ALOS-3の分解能をあげるほうが、日本の独自路線の開拓につながると私は思う。」

まあ、いろいろな意見があるようだ。

気になったので、ASNARO1も調べてみた。

(ASNARO:ASNARO-1)
http://ja.wikipedia.org/wiki/ASNARO#ASNARO-1

「重量400kg級で設計寿命3年、分解能50cm未満、観測幅10kmの性能を持つ光学衛星ASNARO-1は、2008年(平成20年)度に開発が開始され、2014年(平成26年)度に打ち上げられる予定である。1基の価格は約50億円である」

ちなみに、ASNARO-2というレーダー衛星もあって、こちらは80億円から90億円で、2015年打ち上げ予定という。

開発は、NECだと。

NEC対三菱電機の仁義なき戦いと思いきや、使っているXバンドレーダーは、三菱電機製だ。

世界、狭すぎ!。

情報収集衛星との絡みは出てこないな。

やはり、そこんとこの壁は厚いんだろうか?。

(平成26年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針のフォローアップ)
http://www8.cao.go.jp/space/decision/pdf/26housin-fu.pdf

「①世界の安全保障に関するリモートセンシング衛星システム:
主要国における安全保障に関するリモートセンシング衛星システムは以下のような状況にある。
・主に軍が高機能で機密性の高い安全保障利用中心の政府専用衛星システムを偵察などの目的に運用している。
・欧米では、このような政府専用衛星とは別に、安全保障と民生両用の商業衛星(両用衛星)システムを整備している。これらは一般に専ら安全保障目的の政府専用衛星ほどの高分解能ではないため、一般的には政府専用衛星ほど機密性が高くはなく、安全保障利用だけでなく、一般的な国土管理や地図作成などの民生用途にも利用されている。
・両用衛星は政府及び民間事業者が資金負担をしつつも、民間事業者(欧州では政府の出資がある場合が多い)が主体となって衛星運用やデータ販売等の商業活動を担っている。
・このような衛星データの世界市場は現在年間 1000 億円程度であり、2021 年には 4000 億円程度に拡大するとの予測がある。
・新たな需要の創出により、データやソリューション提供に基づく収益の拡大に応じ、利益を次世代の衛星開発に投資することが可能となり、政府負担の軽減にも寄与する方向で制度設計がなされている。」

この文章を読む限り、政府専用衛星と両用衛星という切り分けをしているので、情報収集衛星(=政府専用衛星)は、安泰なわけだ。

この資料には、注目すべき点がいくつかあるが、またの機会に譲る。

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