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ソニーGが「PSVR2」の出荷縮小へ、発売間近の先行予約振るわず

  • 本体のPS5より高い価格設定がユーザーの購入意欲に影響も
  • VR業界にとっても暗雲、メタなど海外企業に事業縮小の動きも

ソニーグループが2月22日に発売する仮想現実(VR)ヘッドセット「PSVR2」の先行予約が想定していたほど伸びていない。同社の計画に詳しい複数の関係者によると、当初予定していた出荷台数は大幅に削減される見通しだ。

  関係者らによると、ソニーGは3月末までのPSVR2出荷数を当初計画より半減させる。ブルームバーグは以前、ソニーGは3月までに200万台生産すると報じていた。翌23年度の出荷も150万台に抑える。昨年10月時点で立てていた強気の見通しは早くも修正を迫られた。

ソニーGがプレステ向け「VR2」で強気の賭け、3月まで200万台

  IDCの推計によると、AR(拡張現実)およびVRヘッドセットの世界出荷台数は、2023年には1280万台に拡大する。マーケットシェアは現在、メタ・プラットフォームズのクエストシリーズが85%近くを占め、ソニーGの第1世代のPSVRは1%に満たない。

  関係者らによると、同社は部品の供給パートナーに対し、PSVR2で使用するディスプレーパネルの注文数量が想定していたよりも少なくなりそうだと伝えた。同社のVR事業戦略に大きな変更はないが、初期の導入ペースは思惑通りには進んでない。

  ソニーGは昨年11月、PSVR2の先行予約を招待制で開始したが、現在はどこの販売店でもキャンセル待ちなしで予約できる。人気商品の発売となれば、販売開始まで1カ月を切った時点でこういう状況には通常ならない。PSVR2はヘッドセットとコントローラー、ヘッドフォンのセットで7万4980円。プレイステーション5(PS5)の6万478円より高いが、本体がなければ動かない。

  ソニーGをよく知る人物によると、同社は「Horizon Call of the Mountain」のような人気ゲームがPSVR2の需要を呼び込むことを想定していた。だが、インフレが高進する中でのこうした価格設定や景気後退への不安がユーザーの購入意欲を削いでしまったのかもしれない。

  ソニーGの広報担当者は、製品の在庫に関してコメントすることはないと答えた。

  アナリストらは、PSVR2はニッチなアイテムという位置付けにしかならないと指摘する。メタのクエストシリーズがユーザー層を広げるための販売戦略を練ったのと逆に映るソニーGの試みは、後々になってVR市場が拡大したときに備え種まきをしておきたい程度のものなのではないかとコメントした。

  マッコーリーキャピタルのアナリスト、ダミアン・トン氏は「PSVR2はPS5の単なる高価なアクセサリーにしかならないだろう」と述べた。

  PSVR2の需要が盛り上がらないと、VR業界にとってもよい話だとは言えない。メタのクエスト2は価格引き上げで売り上げを落とし、関連部署の人員削減も行った。マイクロソフトもホロレンズ事業を含む部門の人員縮小を最近決めた。

  コンピューターのハードやサービスにとって、VRヘッドセットは今後の成長を担うと期待され、グーグルやアップルも関心を寄せてきた。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)はVRメタバースへの注力を示す意味を込め、社名をフェイスブックから変更した。

  だが、世界で成功しているメタバースのほとんどはVRヘッドセットを必要としない。グリーがサービスを提供するメタバースアプリ「REALITY」もその一つだ。

  UBS証券の福山健司アナリストは、「ヘッドマウントディスプレーはかぶるという面倒くささもあり、毎日使うには極めて心理的ハードルが高い」と指摘する。ゲームを提供するソフトメーカーにとって、ある程度売り上げが見込めなければ魅力的には映らない。「これからはVRではなく、ARやMR(複合現実)が主流になるかもしれない」と話す。

  一方、米調査会社DSCCの田村喜男氏の見方は異なる。サプライヤーはVRヘッドセットに期待しているし、中でもディスプレイメーカーは巨額の投資を続けているという。田村氏は「VRの時代は必ずやってくる。まだそこに到達していないだけだ」と話す。

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