孤独な家事をいやす「イケボ家電」

森本毅郎・スタンバイ!

最近の家電はIT化が進み「しゃべる家電」が広がっています。

 

■ロボット掃除機が「癒し系執事」の声でしゃべる

お掃除ロボットなら「お掃除が終わりました」とか、声でガイドしてくれたりしますが、そのしゃべる声が進化して、良い声、イケメンならぬ「イケボ」=イケてるボイスが人気なんです。

ロボット掃除機のロボロックジャパンの、成田 栞さんに伺いました。

ロボロックジャパン 成田 栞さん

搭載されている声の種類は、全部で12種類。

共通語と英語の他に関西弁、博多弁、広島弁、京都弁、津軽弁といった地域方言や、「癒し系執事」「子供向けアニメ声」といった種類がございます。

私はですね、「癒し系執事」を設定しています。

これとってもおススメで、すごく良い声で、「掃除を開始いたします」とかなんですけど、なんですかね、執事さんが家にいて、私のために掃除をしてくれてるみたいな気分になるといいますか。

「あ、いい声!」みたいな…。

「ロボロック」は、「掃除を開始します」、「掃除が終わりました」など、おしゃべりしながら動き回るお掃除ロボットですが、この音声案内の声を、自分好みのいい声、イケボにできるんです。

ではどんなイケボなのか?例えばこんな感じです。

①ロボロック(執事)
「ご主人様、ダストボックスのお掃除をお願いします。」

②ロボロック(執事)
「お疲れ様でございます。お掃除が終了致しました。」

③ロボロック(関西弁)
「モップが洗浄されたで。掃除、再開するわ。」

初めて聞くと、ちょっと驚きますが、慣れると愛着がわくかもしれません。

 

■調理家電も「イケボ」でしゃべる

さらに、実際のアニメや、人気声優とコラボした家電を続々と出しているのが「シャープ」です。

株式会社「SHARP COCORO LIFE」の、安田 一則さんのお話。

 

株式会社「SHARP COCORO LIFE」ソリューション開発部・安田 一則さん

オーブンの「ヘルシオ」というものと、「ホットクック」という商品がございまして、音声案内に、ゲーム、アニメのキャラクターの声に、カスタマイズできるような機能というのをサービスとして開始させていただいております。

どちらかというと「イケボ」に近い形でしゃべっています。

渋い声の場合もあれば、ツンケンしたような感じの声もあればって、いくつか声優によってバリエーションを作ってもらって。

本当にファンの方の熱量は、非常に強いのは把握はしてたんですけれども、想像以上の反響かなと感じています。

めちゃくちゃ違和感あると思います…。

水なし自動調理なべ「ホットクック」(田中個人所有)
人気ゲーム「戦国BASARA」のキャラクター、「真田幸村」の声を購入してみました。おすすめメニューなどを声優さんの声で読み上げてくれます。真田「野菜もたっぷり摂れる!八宝菜をおススメするでござる!」」

では、「ヘルシオ」や「ホットクック」にも搭載されているイケボ、そのサンプルがこちらです。

①ホットクック(ゲーム「戦国バサラのキャラクター」真田幸村の声)
「今日も気持ちの良い朝でござるな。精進あるのみ!!」

②ホットクック(人気声優 緒方恵美さんの声)
「今日も一日、遅くまでお疲れ様でした。あとは十分な休息を♪」

いい声、イケボなだけではなく、アニメの世界観に合わせた言い回しで、例えば献立の提案では、「きょうは『ミネストローネ』が気になるでござる!」などとしゃべります。

「COCORO VOICE」ホームページより。41コンテンツから好きな「声」を購入します

https://cocoroplus.jp.sharp/voice

「白菜と豚肉のミルフィーユ煮」を作ってみました!美味しい!

特徴的なのは、機能的なガイダンスだけでなく、「朝昼晩の挨拶」など、会話のようなやり取りもあるということです。

シャープの「ウォーターオーブン ヘルシオ」、「ヘルシオ ホットクック」では、イケボはオプションになっていて、41コンテンツの中から声が選べる仕様。

ただし、有料で、価格は1コンテンツあたり3300円です。

 

■家事は「孤独」なものだから

この値段で買うのは、よほどのファンなのかなと思ったのですが、人気の秘密は、ただファンだから、というだけではないようです。

株式会社「SHARP COCORO LIFE」ソリューション開発部・安田 一則さん

家事って「孤独」なものでして、誰も褒めてくれないんですよね。

なんですけども、我々の家電製品、例えば洗濯すると、「毎日洗濯お疲れ様です」と言ったりとか、特にお料理をするのって、どうしてもしんどいんですけれども、いわゆる「労い」みたいなことを喋ったりするんですね。

まさか家電からそんなこと喋られて嬉しいんですか、っていうのが一方であるかもしれないんですけど、実はそれだけでもすごく喜んでくださってる方がたくさんいらっしゃってですね。

そういった「労い」みたいなところが、一つあるかないかだけでも、変わってくるんだなというふうに実感しています。

共働きのご家庭では、シェアしていても、夫婦どちらも忙しくて家事は辛いですし、一人暮らしの家事は孤独で辛い。

電話のように本当におしゃべりできるわけではないですが、音声ひとつで、ちょっと楽しくなったり、背中を押されたりするそうです。

 

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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