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NHKが絶対に死守したい「受信料ビジネス」の全貌 「強制サブスク」と化す公共放送のまやかし

東洋経済オンライン / 2023年1月23日 6時50分

開票日、NHKが当選確実を出すまで候補者は万歳三唱しないことが不文律になっているほど、国会議員はNHKの情報を信頼している。日頃から、NHK政治部記者と選挙情報をやり取りしている国会議員も少なくないとされる。

NHKの理事や政治部記者が国会議員に良質な情報を提供するために、現場の記者たちは血眼になって取材に奔走しなければならない。NHKでは2013年に31歳の記者が、2019年には40代の管理職が過労死した。亡くなったのは、いずれも選挙取材の後だった。

「当確を民放より1分でも早く打つためだけに、いったいどれだけの負荷を現場にかけるのか。過労死した2人の教訓はどこへ行ったのか」。30代記者はそう憤る。

だが国会議員との良好な関係を維持していくため、現場記者たちの膨大な業務は続く。

政治サイドの理解を得ながらNHKが近年力を入れてきたのが、受信料制度の補強だ。

昨年6月、総務省はローカル局を含む民放とNHKが放送インフラを共用できる仕組みをつくる方針を示した。これを受け、NHKの受信料がNHKの放送事業だけではなく全国の放送網維持のために使われることになった。

地域人口減少が著しいローカル局の経営は厳しい。総務省によると、在京キー局や在阪準キー局を除いたローカル局(ラジオ局含む)全体の営業利益は2015年に724億円だったが、2020年には170億円にまで落ち込んだ。2021年には495億円まで持ち直したもののジリ貧の状況は変わらない。

NHKも昨年秋、他メディアとの連携に700億円を投じると発表。NHKの業務肥大化に批判的だった民放連も、背に腹は代えられぬ形でNHKの支援を受ける。受信料はNHKだけのものではなくなった。

さらに受信料を国内の民放、ネット業者に広く使おうという動きも顕在化している。NHKに日本の動画コンテンツ産業をリードする役を担わせようとするものだ。

ネットフリックスやアマゾンプライムなど外資系動画コンテンツ企業の影響力が強まり、これまでグローバル競争とは無縁だったテレビが国際競争に巻き込まれている。

総務省の公共放送ワーキンググループ(WG)委員である、青山学院大学の内山隆教授(経済学)は「受信料をわが国の放送業界とネット映像配信業界の投資と公益のために使えるようにするべきだ。NHKがこうした業界を引っ張っていけるよう、受信料制度を変えていく発想が必要ではないか」と話す。

最大の論点がネット受信料

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