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NHKが絶対に死守したい「受信料ビジネス」の全貌 「強制サブスク」と化す公共放送のまやかし

東洋経済オンライン / 2023年1月23日 6時50分

動画のサブスクリプション(定額料金制)サービスに慣れ親しんだ世代にとって、受信料制度は使わないのに請求される「強制サブスク」と化しているのだ。

NHKの受信料収入は2018年度の7122億円で頭打ちになり、2019年度以降は減少基調にある。

契約件数はピーク時の2019年度末に4212万件あったものが、2021年度末には4155万件と57万件減少した。22年度は上半期だけで契約件数が当初想定の4倍以上の約20万件減少した。減少スピードが加速している。

1月10日に公表した経営計画(修正版)で、NHKは2023年度の受信料収入を計画当初の6690億円から6240億円へと450億円も下方修正した。

取材情報に頼る議員

時代に合わなくなった受信料制度が維持されるのは、NHKと政治が長年培ってきた共存関係によるところが大きい。持ちつ持たれつの関係の中で、制度は温存されてきた。

NHKは政府から独立した機関であるにもかかわらず、予算と人事を実質的に政府に握られている。予算は毎年国会の承認が必要で、1〜3月の予算審議の時期になると、NHKの幹部らが与野党の国会議員の元へ説明に回る。予算案に同意してもらうためだ。国民からの広い支持を装うため、与野党どちらからも同意を取り付けることが重要な事柄だ。

予算だけではない。NHKの経営委員(12人)は、国会の承認を得て内閣総理大臣が任命する。会長は経営委員会が選出する仕組みだ。しかし安倍晋三政権では、首相に近しい人間が経営委員に相次いで選ばれた。

元経営委員の上村達男・早稲田大学名誉教授は、「経営委員は本来、与野党の同意を得て選出されるのが慣例だ。こうした国会同意人事は政府任命人事とは異なる。政府から独立した機関の人事だからだ。それを政府は区別できないでいる」と指摘する。

予算が審議される時期にNHK内ではびこるのが、政治、とりわけ政権与党への忖度(そんたく)だ。「この時期に政権批判はまずい」「おとなしくしていてくれ」といった声が現場に下りてくることがあると、複数の職員が証言する。

安倍官房副長官(当時)がNHKの国会担当理事を呼び出し、戦時性暴力を扱ったETV番組に苦言を呈し、番組改編が起きたのは、2001年の1月、予算審議が始まろうとしているときだった。

選挙は災害と並ぶ2大ミッション

もう1つ、国会議員とNHKが親密になる最大のイベントが選挙だ。NHKの報道にとって選挙は災害と並ぶ2大ミッション。大量の人員と予算を割き、どのメディアよりも選挙報道に血眼になる。

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