地銀が離職対策、十六FGは35歳で部長も 人的投資の波
全国の地方銀行が行員の離職防止対策に乗り出している。十六フィナンシャルグループ(FG)は2023年度から、35歳で部長になることも可能な人事制度を導入する。肥後銀行などは基本給を一律に上げるベースアップ(ベア)を実施する。地銀では人口減少や低金利の長期化などで経営環境が厳しいうえ、年功序列色の強い組織体制を背景に離職が増えている。優秀な人材の獲得へ転換を急ぐ。金融庁も地銀の人的資本について初の調...
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(更新)- 中空麻奈BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長ひとこと解説
賃金上昇のためには雇用の流動化を図ろう、という考えが徹底すれば、離職率が高まる。地方の中でもレベルの高いホワイトカラー層が多い銀行員にその機会が多いのは自明でもある。とはいえ、銀行側から言えば、優秀な銀行員を繋ぎ止める工夫が必要になっているのも当然。その際には、野崎先生も指摘しているように、最も大事な”存在意義”を見極め、魅力を高めて欲しいもの。その観点では、ESGは注目すべきである。これまでのビジネスから、地域にある中小企業が持つ環境に寄与する技術についての知見が蓄積しているのではないか。それを集めて、地域のESGファンドを組成すれば地方創生にもつながる可能性があると思うのだが。
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(更新) - 野崎浩成東洋大学 国際学部教授別の視点
地域貢献を夢見て地銀に入行したにもかかわらず、金融商品販売の実績作りや、必ずしも資金ニーズのない取引先への貸し出し営業など、期待と現実とのギャップに失望する若手も少なくないのではと思います。人事制度を考える前に、地域における経営的ミッションの見直しが先ではないでしょうか。 他方で、出世したくないZ世代が増えている傾向も、人的資本政策を考える上で踏まえる必要があります。30代で部長も悪くないのですが、ポストで処遇する昭和モデルの限界が見えています。やはり、金銭的処遇とポスト管理をある程度分けた人事制度をデザインする必要があるのではないかと思います。
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(更新) - 加藤雅俊関西学院大学経済学部教授貴重な体験談
私が勤務する大学において感じるのは、若い人の間で「価値観の多様化」が著しく加速しているということです。肌感で、確固とした根拠があるわけではないが、たとえば、10年前に比べて今の大学生(あるいは近年の卒業生)は「自分がやりたいことを実現できるかどうか」に高いプライオリティをおいて就職/転職活動を行っている印象を持ちます。また、大学職員の間でも若手の離職が急増している。これは大学における古い組織の体質(体育会的なノリ、年功序列など)に嫌気がさしていることもあるように思います。離職対策として「35歳で部長になることも可能な人事制度を導入する」だけでなく、根本的な組織改革が必要なのではないだろうか。
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