上川町の層雲峡温泉で10年以上廃虚となっていた「ホテル層雲」の解体が動き出す。環境省北海道地方環境事務所が2023年度に着工する計画で、解体費には少なくとも20億円を見込む。設計を2、3月にも発注する。層雲峡温泉が生まれ変わる第一歩として期待が掛かる。
大雪山国立公園の層雲峡温泉は、渓谷の自然美が国内外から人気を集め、宿泊施設が集積。「ホテル層雲」(客室数210室)は層雲峡の玄関口にある代表的な宿だったが、11年から営業停止し廃虚化した。景観を損ね、安全性の課題もあることから、町が国に対し、除却を長年要望していた。
除却対象は本館(RC造、地下1地上5階塔屋1階、延べ1万1988m²)と別館(RC造、地上6階塔屋1階、延べ3855m²)、社員寮3棟だ。工期には2カ年程度を見込む。
解体後の跡地利用は、環境省や町をはじめ、層雲峡温泉の事業者などが一体となって検討を進めていく。佐藤芳治上川町長は「廃ホテルは長年の懸案事項だった。解体によって層雲峡エリアの生まれ変わりに弾みをつけたい」と話す。
層雲峡温泉をはじめ道内の国立公園にある温泉街では、再整備が加速している。弟子屈町にある川湯温泉では、廃業したホテル2施設を環境省が解体。跡地では星野リゾートがリゾート開発をするもようだ。
上川管内でも、東川町と美瑛町にまたがる天人峡温泉で廃ホテル2施設の解体が23年度から始まる。アフターコロナに向けて、観光地の再生が進んでいきそうだ。