船橋市の自宅で、出産したばかりの男児を窓から投げ捨てたとされる事件で、殺人未遂の罪に問われた船橋市、石原美帆被告（２４）の裁判員裁判初公判が３０日、千葉地裁（上岡哲生裁判長）であった。被告は男児を投げて放置したことは認めたものの「赤ちゃんが死んでしまうような危険な行為をしたとは思っていない」などと起訴内容を否認した。弁護側は無罪を主張した。

　起訴状によると、２０２１年４月２４日午後８時５０分～午後９時４０分ごろ、自宅トイレで出産した男児の取り扱いに困り、男児を紙袋に入れて窓から約１・７メートル下に投げ捨てた上、近隣住民らに見つからないよう男児を自宅敷地内の別の場所に移して放置し、殺害しようとしたとされる。男児は重症低酸素性虚血性脳症などを負った。

　検察側は冒頭陳述で「風俗で働いていた被告は、妊娠した事実を認めることができず、家族に隠したかった」と指摘。男児を血だらけのまま、裸の状態で気温１５～１６度の屋外に３０分以上放置していたことなどを踏まえ「殺人の実行行為があり、命を落としてもかまわないと思っていた」と主張した。男児は現在も意識がなく、自発的に呼吸できない状態が続いている。

　弁護側によると、被告は経済的に厳しい家庭環境のため、１０代後半から自立しようと考えていた。専門学校の学費を払えず中退し、短時間で稼げる風俗などで働くようになったという。弁護側は「妊娠に気付かず、出産してパニックになった」と説明。「男児と一緒に（自宅を）離れるつもりで、風呂場で血の付いた体を洗い流していた。男児が死ぬ危険性を認識しておらず、殺意もなかった」と主張した。