『スマブラSP』の『マインクラフト』参戦は、5年以上前から話し合われていた。相思相愛な開発陣たちと、要した歳月


任天堂は10月1日、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下、スマブラSP)にて『マインクラフト』のスティーブらが参戦すると発表した。『マインクラフト』デフォルトスキンであるスティーブやアレックス、エンダーマン、ゾンビらがファイターとして参戦する。

『スマブラSP』ディレクターの桜井政博氏は、昨日の発表時に“世界一売れているゲーム”『マインクラフト』の参戦の裏には、さまざまな困難が存在すると示唆していた。というのも、今回のコラボはなんと5年以上前から話し合われていたようだ。当時Mojangにてプロダクションディレクターを担当し、現在はCoffee Stainにて働くDaniel Kaplan氏が明かしている。

発端となったのは、Q-Gamesの開発者であるLiam Edwards氏の発言だ。Edwards氏は、『スマブラ』のスティーブ参戦は3年前に始まったと“誰か”から聞いたとコメント。それが真実かどうかはわからないが、DLCとして披露されるにあたっては信じられない長さであると語った。そのつぶやきに加わったのは、元Game InformerのGrimran Khan氏だ。さまざまな内部事情に通ずるという同氏は、今回のDLCはかなり長く取り組まれていると回答した。しかし、そこに一般ユーザーが反論。ファイターパス Vol.2が発表されたのは今年の1月なので、昨年頃から話し合われていたはずだと異論を唱えた。数年なのか、もしくは1年なのか。意見が対立する中、Khan氏はもっとも事情に詳しいであろう人物に答えを求めた。その人物とは、Mojangで7年間働いていたKaplan氏である。

Kaplan氏は、『マインクラフト』の『スマブラSP』参戦時には、「おおーついにか!」と匂わせ。その後「こんな日がくるとは思いませんでした」と話す桜井氏の画像を貼りながら「いつから話し合いが始まったと思う?」と強めの匂わせ投稿を続ける。その後Khan氏の問いかけに応じた同氏は、「3年足らずじゃないよ、最初に話を始めた時から考えると少なくとも5年になる」と返信した。Kaplan氏は、実装の作業そのものがいつから始まったのかはわからないとも語っているものの、今回のDLC開発においては、5年以上意見交換がなされていたことが明らかになった。

『スマブラ』参戦における調整は、内部事情に精通していなくとも、困難であることがうかがえる。権利問題やキャラの扱いなど、さまざまな合意を得る必要があるからだ。スムーズに決まるものもあれば、困難を極めるものもあるだろう。任天堂は『マインクラフト』およびMonjangを保有するマイクロソフトと良好な関係にあり、『スマブラSP』においてもマイクロソフトが著作権を保有する『バンジョー&カズーイの大冒険』から、バンジョー&カズーイがすでに参戦を果たしている。その際は「マイクロソフトは気持ちよく参戦を許諾してくれた」と桜井氏は語っていた。

画像は「【スマブラSP】バンジョー&カズーイのつかいかた」よりキャプチャー


一方で、桜井氏は今回の発表において「こんな日がくるとは思いませんでした」「任天堂から参戦相談をもちかけられる」と語り、実装の困難さを考慮しながらも、参戦要請に対して承諾する返事をした旨を語っていた。『マインクラフト』キャラのプログラムやステージギミック、ゲームバランスなどを調整し、『スマブラSP』内で落とし込みうまくまとめることに悩みつつも、しかしなんとか発売にこぎつけられそうになったので発表を迎えられたことも明かしていた。

なおKaplan氏は、2014年から話し合っていたのではないかというユーザー返信に、笑顔アイコンを返している。2014年は、Mojangがマイクロソフトに買収された年。そして、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』が発売された年でもある。ゲームバランスの調整、会社の再編、新作開発のスケジュール関係など。さまざまな原因をもって、時間を要することになったのかもしれない。

またKaplan氏は、当時のチーム内における小話を共有している。Mojangの『マインクラフト』チームは、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』にいたくハマっていたようで、『マインクラフト』クリエイティブディレクターのJens Bergensten氏やビジネスディレクターPatrick of Stockholm氏、テクニカルディレクターのKristoffer Jelbring氏らと共に、ストックホルムに帰るための飛行機の乗り継ぎのため、ニンテンドー3DSを持ち寄って4時間ほどロンドンで時間を潰していたという。ビジネスクラスラウンジにいたが、ゲームに集中しすぎたあまり、ゲート集合時間を逃し、何度も名前を呼ばれながらコールを無視。危うく飛行機を乗り過ごしかけたそうだ。それほど、『マインクラフト』チームも『スマブラ』を好んでいたのだろう。

一方の桜井氏も『マインクラフト』を楽しんでいることは連載記事などでかねてから公言しており、昨日の放送にて一瞬披露されたワールドでは、そのやりこみっぷりが垣間見えた。時間こそ要したが、開発者同士が相思相愛であった人気ゲーム『スマブラ』『マイクラ』は、最終的に念願のコラボが果たされることとなった。Mojangのスタッフ陣も、Twitterにてその喜びの声を寄せている。

『スマブラSP』の『マインクラフト』コラボの詳細は10月3日23時30分に放送される「スティーブ/アレックスのつかいかた」にて、明かされる予定だ。