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この作品「【WEB再録】Goodboy【1月末まで】」は「hrak【腐】」「炎ホー」等のタグがつけられた作品です。
【WEB再録】Goodboy【1月末まで】/ここの小説

【WEB再録】Goodboy【1月末まで】

7,801文字16分

推しの幼少期が見れただけではなく圧倒的な光属性であることを再認識させらた回のアニメ放送記念に、今月のみの期間限定にはなりますが、2021/1/2のWEBオンリーで発行した「Goodboy(novel/13652881)」の書き下ろし部分の再録になります。
なお、パソコンを買い換えた際に元データが消えてしまったので、本編内の加筆部分はありません。
当時、お手にとってくださった方、本当にありがとうございました。

2023年1月21日 13:58
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 ホークスが個性事故で幼少期の姿に変わってしまった日から、数日後。
 ヒーロー公安委員会の建物内で、いつものように職務に励んでいた目良善見は、突然現れた私服姿のエンデヴァーによって、 その場から拉致されてしまった。 唖然と目良が攫われていくのを黙って見送る同僚たちに、誰も助けてくれないのかと悲しくなる。いや、自分が逆の立場だったなら、きっと同じように関わらない方向に徹したことだろう。
 そして、連れて行かれた先の料亭の格式の高さに目玉が飛び出しそうになった。完全に、一見様お断りといった雰囲気だ。目良の人生設計では一度も踏み入れるはずの無い店。
 足元に落ち葉ひとつ見当たらない門をくぐると、お手本のように整えられた小道が玄関まで続いている。古びた造りのわりにスッと滑らかに開いた扉の先では、女中が膝を付き、頭を下げて待っていた。思わず回れ右しそうになった目良の腕を、どこへ行くのだとエンデヴァーが掴む。
 逃げることも出来ず、女中に案内された部屋は、なんと離れの個室で、開かれた障子の向こうには美しい日本庭園が見えている。日々、過酷な業務で酷使された目には、庭の草木に輝く露の玉すら眩しく映り、このまま気を失って目が覚めたら夢でしたみたいな展開にならないかと、目良はひそかに思った。
 こんな天上人が来るようなところに、何故、自分が連れてこられたのか。 残念なことに、一つだけ心当たりある。ホークスだ。
 風邪でダウンした後輩の代わりに資料を届けるべくエンデヴァー事務所を訪ねた日、目良は個性事故に巻き込まれて幼少期まで退行したホークスと対面することになってしまった。久方ぶりに目にする顔が、よもや幼い頃のものだとは誰にも予想できまい。
 あのとき、天井の隅で臨戦態勢を取りながら、見知らぬ大人たちの隙と自身の脱出経路を探っていたホークスは、目良の存在にすぐさま気がついた。十年以上の歳月が変えた外見の変化をものともせず、目良が目良善見自身であると正しく認識したのだ。
 それが、こそばゆくも嬉しかったことは本人に言うつもりはない。 目良は、ホークスの育成計画に最初から携わっていたわけではないので、ホークスの本名を知ったのは、関わるようになってから、ずっと後のことだ。実際に口に出して呼んだことなど、数えるほどしかない。ホークスだって、今さら目良に「鷹見」と呼ばれても、すぐには反応できないだろう。それほどまでに「ホークス」と呼ぶ目良の声に慣れてしまったのだから。
 あのとき、警戒心を解かないホークスに下りてくるように声をかけろと頼まれて、目良はごく自然に「ホークス」と呼んでしまった。今思えば、目良も相当に驚いて動揺していたのだろう。これがホークスに関わることでなければ、もっと上手くやれたはずだ。
 それをエンデヴァーは見逃さなかった。何故、幼子をヒーロー名で呼び、ホークスも当たり前のように受け入れているのかと。呼んだ人間がヒーロー公安委員会の所属であったことも、エンデヴァーの不信感を煽ってしまったのだろう。ホークスを腕に抱きながら、目良を睨みつけた瞳の中で燃え盛っていた炎の色が、今でも記憶に焼き付いている。
「……」
 出来れば、エンデヴァーの尋問を受ける前にホークスと口裏を合わせておきたかったのだが、目良の所属している部署は常に忙しい。人手不足が解消されないまま、仕事量だけが増えていくので、一人当たりの負担が大きくなるばかり。はっきり手が回ってないと言ってしまった方が良いだろう。
 そのため、幼いホークスと再会した日以降、目良はホークスに連絡を取る時間さえ捻出できていなかった。その日中に元に戻ったという報告は受けている が、体や精神面に何か後遺症は残らなかったのか。
 そんな心配もあって、なんとか二人で話す機会を作らねばと考 えていた矢先のコレである。言い訳をするなら、こんなにも早くエンデヴァーが動くとは思わなかったのだ。しかし、聞きたいことがあるのは、目良も同じ。
 エンデヴァーは部屋に入るなり、すぐに座布団の上に腰を下ろした。目良も腹をくくって、エンデヴァーの正面に座る。二人が席に着いたことを確認すると、女中が温かいお茶を出し て静かに部屋を出ていった。湯気からは、ほうじ茶の香ばしい匂いがしていて、少しだけ緊張が和らいでいく。
 けれど、エンデヴァーが見定めるような、ともすれば、値踏みするような目を正面から向けてくるので、目良は居心地が悪くて視線を彷徨わせた。いっそ詰問された方がマシではないか。
 先に沈黙に耐えかねたのは、やはり目良の方だった。
「それにしてもすごいお店ですねぇ……」
「……」
「よく来られるんで?」
「知り合いの店だ」
「なるほど」
 つまり、口の堅い店だと。
 情報の漏洩を防ぐためならば、エンデヴァー事務所でも話は出来ただろう。わざわざプライベートの時間と場所を使うということは、エンデヴァー個人が知りたがっているだけなのか。ホークスとのことは、誤魔化しようがないほど確かな関わりを見せてしまっているので、これまでのように全てを秘匿しておくことは望めない。エンデヴァーがどういった目的でホークスの過去を聞きだそうとしているのかによって、目良が提示できる情報量は変わってくる。慎重に見極めねば。
 出ていったばかりの女中が、小鉢の乗ったおぼんを持って戻ってきた。目良の食生活に登場することのない雅な料理が、小さな器にちょこんと盛られている。食材が何かは分からないけれど、とにかく高価であることだけはわかった。それから、前菜らしきものが手際よく並べられていく。おぼんに乗っていた物を机の上に移し終えると、女中は頭を下げて部屋を出ていった。
 一度に料理が揃わない店など、最後に行ったのはいつだったか。目良の普段の食生活といえば、昼食はもちろんのこと、夜ご飯だってスーパーの空いている時間に帰れることはほとんどないのでコンビニのお弁当か、深夜まで開いているチェーン店のカウンター飯がほとんどだ。目の前の料理が高級すぎて、逆に体に合わない気がする。ついでに言うと、この場に置ける正しい食事の作法などにも自信もない。
 さて、どうするかと止まっていれば、これまた先にエンデヴァーが箸をつけ始めた。 驚くほど綺麗な手つきで箸置きから箸を持ち上げたので、フレイムヒーローとのイメージとの差に、目に前にいるのが本当にエ ンデヴァー本人であるのか疑ってしまう。
 廊下を歩いていた時もそうだが、筋骨隆々の大柄な人間が歩いているとは思えないほど足音は静かで、よくよく観察していれば 細かな所作の美しさに気づく。これは、大人になってから身に付くようなものではなく、エンデヴァーの幼少期からの育ちの良さがうかがえた。目良やホークスのような庶民の生活とは、根本から違い過ぎる。
 そういえば、静岡にある轟邸も大変立派な日本家屋であったなと資料を思い返す。ホークスがエンデヴァーと関わるようになってから、ヒーローのデータベースにアクセスして見た資料だ。ちなみに閲覧の許可は取っていない。もちろん取るつもりはあったが、時間が遅すぎたせいか職場には誰も残っておらず、いないならば仕方ないと、責任者のデスクに向かって声だけをかけておいた。
 目良もエンデヴァーのやり方に習って箸をとり、小鉢の一つを口にする。
「おお……」
 うまい。それ以外の言葉が見つからないほど、料理は美味しかった。
 ここ十数年、食事とは肉体維持のために摂取しているようなものだったので感想を述べるための語彙はないのだが、繊細とでも言えばいいのだろうか。海老団子にかけられた餡からは上品な出汁の旨味がふんわりと口の中に広がり、上に散らされた黄色い表皮からは柚子の香りが鼻に抜けていく。エナジードリンクとカフェインばかり与えられていた胃が、優 しい滋養物の到来に歓喜の声を上げているのが感じ取れた。
「いやはや、美味しい……」
「そうか」
「これに比べたら、僕が普段食べてるものなんてゴミですよ。それにしても、お出汁の味って本当にわかるもんなんですね」
「……」
「ちなみに、お品書きが何処にも見当たらないようなんですが、 僕が食べてるこれは何なんです?」
  相変わらず、咀嚼音の一つも立てずに食事を取るエンデヴァーは、目良を注意深く見ている。目良も見られていることは気づいていたが、自分だって散々エンデヴァーを値踏みしていたのだから、お互い様だ。思ったことは、きちんと口に出してお話しましょう。なんて、 正義感に溢れる年齢ではない。酸いも甘いも知った、大人同士の食事。会話の一つから相手の思考をどこまで読み取れるかで、この場の主導権は変わってくる。
「ホークスを連れて来たことは?」
「一度だけ」
「それは喜んだでしょう」
「ああ。だが──」
「てっきり、馬鹿みたいにテンションを上げてくれると思っていたのに、借りて来た猫のように静かになってしまった。って、ところですか?」
「……他の店ならば、俺が何度注意してやっても、うるさいくらいだった」
「身の丈以上の店に、いきなり連れて行くからですよ。どうせ、ロクな説明もせずに連れてったんでしょうねぇ」
「……」
「あなたに恥かかせちゃいけないと思って、動けなくなったんですよ。あぁ、可哀想に」
 目良は責めるような視線を、エンデヴァーに向けた。ホークスは器用な子供だ。周りの人間に望まれる自分を即座に理解して振る舞える。そういう風に公安が仕込んだ。
 それでも、ホークスにとって、エンデヴァーは唯一無二のヒーローで、親しくなればなるほどに嫌われたくないという感情が前に出てきてしまったのだろう。一通りのテーブルマナーは習得していても、講習とリアルは異なる。加えて知人の店だ。何かおかしなことをして、エンデヴァーの評価を下げてしまったらどうしよう。と、きっと料理の味も分からなかったに違いない。
 ふつふつと腹の奥で怒りが込み上げてくる。だから、軽くエンデヴァーをなじってみたけれど、激情家と言われる男が荒ぶる気配はない。
「あいつの」
 エンデヴァーは、気味が悪いほど静かに目良を見た。
「ホークスの、感情を隠すために口数が増える癖は、お前譲りか」
「……は?」
「正論に皮肉を足さずにはいられない物言いが、嫌と言うほどよく似ている」
 あなたこそ、人をイラつかせない物言いは出来ないんですか。と、目良は心の中で思った。
 なるほど、目良をはじめとする公安の人間たちが評価しているよりも、エンデヴァーは人の本質を良く見ている。現時点で、自分がいくつボロを出してしまっていることやら。
「公安がホークスを作りだしたとき、あいつは何歳だ?」
「……人聞きの悪い。それに、どうして公安だと? 僕個人との繋がりだとは考えられませんか」
「ホークスほど、書類と本人に差異のあるヒーローはいないだろうな」
「……」
「経歴詐称のヒーローを見逃すほど、貴君らの組織は生易しいところではなかったと認識しているが」
 ひくりと、目良の口端が引き攣った。観察力が高いなんてものではない。この口ぶりからすると、すでにホークスについては調べられる限りのことを調べ尽くした後なのだろう。
 一般に公開されているホークスの経歴はもちろん、ヒーローネットワークで確認できる個人情報も全て公安が用意したものだ。真実であるはずがない。万が一のないようにと、ホークスの頭には体験に劣らぬだけの知識を詰め込ませておいたが、百聞は一見に如かず。経験なき学問は、学問なき経験には及ばぬものだ。どこかで、ホークスの経験値が知識で補われたものだということに、気づかれてしまったのだろう。
 問題は、気づいたのがエンデヴァーであったということ。厄介この上ない。
 いつの間にか、湯気を立てていた湯呑みのお茶は、すっかり冷たくなっている。エンデヴァーは個性を使えば簡単に温め直すことが出来るだろうが、目良は冷たい茶をすするしかない。なんだか、相手の有利なように場が進んでいる気がして、目良は不愉快だった。実際、主導権など初めからからエンデヴァーに握られていたのだ。目良がどれほどのらりくらりとかわそうとも、エンデヴァーの手の中には次の一手が用意されている。
「なんで、こんなヒーローに憧れちゃったんだか……」
「それは俺も同意見だ。まったく、貴様らはどんな教育をしてきたんだ」
「……言っておきますけど、ホークスは、僕らが知るよりも前からエンデヴァーのファンでしたよ」
「そうなのか」
「ええ、大事そうにエンデヴァーの人形抱いて、あ……」
 自分たちの不手際を疑われて、つい口が滑ってしまった。なにより、純粋なホークスの憧れが人為的に植え込まれたものだとは思われたくなかったのだ。とくに、このフレイムヒーロー本人にだけは。
「一つ、お聞きします」
 目良は、少しだけ居住まいを正した。
「ホークスの過去を知って、どうしするおつもりですか?」
 重要なのは、どうしてエンデヴァーがホークスの生い立ちを知りたいのかではなく、知ってどうしたいかなのだ。
「ご存知の通り、正義のためなら僕らは何でもやりますよ。そんな組織が幼い子供を飼いならしていたとなれば、大体のことは、お察しいただけるでしょう」
「……」
「ホークスだけが例外なんて有り得ない。あなたが思うほど、あの子は綺麗なだけの存在ではありません」
 そんなこと、エンデヴァーも重々に分かっていることだろう。それでも、言わずにはいられない。確かに、ホークスは公安が目的のためだけに選んだ子供だ。
 けれど、目良は知っている。昨日出来なかったことを、今日に。今日出来なかったことを、 明日は出来るようになろうと、転んでは何度も立ち上がっていた姿を、目良は一番近くで見てきたのだから。だからこそ、中途半端な気持ちで、ホークスの過去には触れて欲しくなかった。
「別に、どうもせん」
「……?」
「多くのヒーローは、守るもののために拳を振るう。そうでなくとも、誰をも傷つけずに生きていられる人間などいるものか」
 ふんと、エンデヴァーは鼻を鳴らす。
「ホークスの過去がどうであろうと、あいつ自身が積み上げて来た平和に偽りはない。俺は、ただ知りたいだけだ」
「……ホークスの全てを、ですか」
「ああ」
 エンデヴァーの言葉に、嘘の気配は感じられない。本当に、ただホークスのことを余さず知っていたいのだろう。 どこで生まれ、何を見て、知って、感じながらこの世界を生きているのか。
 鷹見啓悟を形成す全てを、知り尽くそうというのだ。
「呆れるほど強欲な人間ですね、あなたは……」
「それくらいでなければ、あれは手に入らんのだろう?」
「ええ……、おっしゃる通りで」
 目良は溜息をついた。疲れが一気に押し寄せてくる。エンデヴァーと話をするには、想像以上に体力と気力が必要なようだ。普段、彼と一緒に仕事をしている人間に賛辞を贈りたい。
 何を言ってもエンデヴァーに諦める気はないようなので、目良がいくら頑張ったとしても結果は同じだろう。ならば、いっそのこと本人たちに任せてしまおうか。
「どのみち、僕の判断ではホークスの情報はお渡しできません。これ以上のことは本人に聞いてください」
「おい」
「あと、それから」
 目良が、料理を指さした。
「今から一人前追加することって、出来ますか?」
「頼めば可能だろうが、なぜだ」
「個性を使って盗み聞きするような悪い子も、ちゃんと誘ってあげなければと思いましてね。仲間外れは可哀想でしょう」
 エンデヴァーがハッとなって、壁に掛けてある上着を勢いよくひっくり返した。背中の部分にピタリと張り付いていた羽が、慌てて飛んで行こうとする。それを、エンデヴァーの手が一瞬で捕まえた。
 必死に身をよじる羽が哀れに思えるものの、この会話を聞いたホークスが、しばらくエンデヴァーと目良の前から姿を隠してしまうことは簡単に想像が出来てしまうので、先に捕まえておいた方がいいだろう。
「ホークス! たまには、僕ともご飯を食べませんか?」
「……」
「美味しいですよ」
 昔みたいに同じテーブルに着いて、同じ物を食べよう。今なら、とびっきりのご馳走が用意されている。
 目良は羽に声をかけてから、視線を庭に向けた。やがて、数分が経ったか、経たないか。それくらいの時間で、ホークスがそっと庭に下りてきた。 盗聴していた手前、気まずそうに眉を下げながら、二人の様子をうかがう姿が昔と何も変わらなくて、目良は口元を緩ませる。
「あの、おれ……」
「飯は食ったのか?」
「え、いや、まだです」
「さっさと中に入って座れ。お前の分も頼んでやる」
 ホークスの言い訳も聞かず、エンデヴァーは室内へと招く。これは、悪くない強引さだ。
「いや、急すぎてお店の人に迷惑ですよ……!」
 悲鳴に近い声を上げるホークスを無視して、エンデヴァーは部屋の外に控えていた女中に、コースを一人前追加してくれるように頼んだ。急な変更にもかかわらず、女中からは快諾の返事が返ってくる。なんでも、エンデヴァーと同じコースを頼んでいた他の席から、ちょうど一人分のキャンセルが出たらしい。
 願ってもない注文だと、女中から丁寧に頭を下げられ、ホークスはそろりと部屋の中に入ってきた。お席はどちらにいたしましょうと、新しい座布団を持ってきた女中に、すかさずエンデヴァーが自分の隣を指し示す。当たり前のように自分の隣にホークスを置く男の傲慢さと執着 が、いっそのこと清々しい。
 けれど同時に、お前が手籠めにしようとしている子供に、魚の骨を取って食べさてやってきたのは僕ですが。という言葉が喉まで出かかっていた。ホークスも、少しぐらいは拒んだらどうなんだ。
 ちょこんと、エンデヴァーの隣に納まったホークスは気まずそうな顔をしつつも、エンデヴァーの姿を盗み見ては、じんわりと頬を桃色に染めていく。そんなホークスに満足そうな顔をするエンデヴァーを見て、目良の心が荒んだ。 それでも、運ばれてくる料理の中には、目良の好物も含まれていて、それをホークスがそっと自分の皿から目良の皿に移してくれたことで溜飲が下がる。
「なんだ、これが好きなのか。俺の分もやろう」
「結構です」
「遠慮はいらん」
「あ! なに、ホークスがくれた分と交換しようとしてるんですか!? どんだけ心の狭い男なんだ……」
「えっと、エンデヴァーさんもお好きなんですか?」
「ああ」
「じゃあ、今度美味しいお店探しときますね。だから、またご飯行きませんか……?」
「楽しみにしておく」
 エンデヴァーとの食事の約束が取れて、嬉しそうな顔をするホークスが可愛らしいやら、正面の男が腹立たしいやらで、目良は、この三人で食事をするのは今日が最後であることを祈る。
 そして、まさか自分も、その「美味しい店」に連れていかれる羽目になるとは、この時の目良は知る由もなかったのである。

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コメント

  • りんず

    いつも素敵なお話をありがとうございます。アニメ神回すぎて大好きなgoodboy(紙媒体)読み返してなぜかpixivまできてしまいました(笑)このタイミングでのWeb再録、まさに『背中推しますよ!トップ2!』ですね!!炎ホファン増えろー(^^)これからも応援しています。

    1月22日
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