理事長 西原春夫
私は半世紀以上刑法の研究者として過ごしてきました。晩年になった昨今、ますます気になってきたのが、研究の対象であった犯罪や戦争の対極としての「平和」の尊さでした。また半世紀以上学園生活を送っている間に、戦争中女子学生が詠んだ歌「征く人のゆき果てし校庭(にわ)に音たえて 木の葉舞うなり黄に輝きて」(宇津宮満枝氏)に出会い、心を打たれ、教育の原点は何と学生のいること、つまり平和なのだということを改めて悟りました。
しかもそれは、日本だけの問題に限られないではないですか。今世界を見渡してみると、至るところで罪のない多くの人々が命を落とし、家族を失い、悲惨な生活を余儀なくされています。怨恨と復讐の連鎖が果てしない戦乱を生んでいるのです。何という不幸でしょう。 日本はいったい一国平和主義の温もりに浸り、自ら平和に幸せに過ごしているだけでよいのか、平和国家としての日本は、戦力によらない積極的平和貢献を国是とする国になり、政官財民それぞれの仕方で紛争の芽をつみ、争いの間に割って入り、対立を和らげる活動をすべきではないか、それならば若者も参加できる、 そう痛感するようになったのです。しかもその課題は、日本だけでなく、独特な世界観を持っている中国や韓国など北東アジアの国々にも期待された使命ではないだろうか、そのようにも考えるに至りました。
実は、反応を確かめながら、すでに呼びかけを始めているのです。このような考えを実現するためには、沢山の同志を得なければなりません。これまでお付き合い頂いてきた身近な方々にご相談申し上げたところ、それだけでもたちまちにして20人以上の高名な文化人からご賛同を頂戴することができました。
そこで、これらの方々にお諮りしながら本センターの設立準備を進めてまいりましたところ、このたび内閣府から特定非営利活動法人としての認証を頂くことができました。かくなる上は、さらに多くの同志の方々のご協力を得て、いかなる上部団体にも属さない独特の思想と方法を持った民間の団体として、所期の目的の実現に邁進したいと考えております。
どうか天下国家のため、世界平和のため共に活動して下さることを心よりお願い申し上げます。
2011-01-24
2011-01-24
2011-01-24