海外駐在経験者座談会
海外で活躍できるチャンスが多いことも、グローバル企業であるAGCならではの醍醐味です。
ここでは、中国とタイでの駐在経験を持つ同期入社の2人に、
海外で仕事をすることの苦労や、AGCならではの面白さなどについて語り合ってもらいました。
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浅沼 恵輔
Keisuke Asanuma
ビルディング・産業ガラスカンパニー
アジア事業本部 技術・製造統括部
生産技術・管理グループ
フラットガラス開発チーム
2009年入社/工学研究科修了
ガラスの製造、生産技術の開発を担当。2012年から4年間、タイのパタヤ近郊にあるガラス工場に駐在し、生産ラインの立ち上げや改善に携わる。
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冨谷 周
Amane Tomiya
電子カンパニー
ディスプレイ事業本部 営業企画部
2009年入社/人間環境学研究科修了
入社以来、TVやスマートフォンなどに用いられる液晶ディスプレイ用ガラスの営業に従事。2013年から6年間、中国・昆山の現地法人に駐在。
※所属部署は取材当時のものです。
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海外駐在のチャンスは、
こうして巡ってきた
- 浅沼
- 冨谷君は、つい最近まで中国に駐在していたんだよね。
- 冨谷
- そう。入社以来、液晶用のディスプレイ用ガラスの営業に携わっているんだけど、5年目に昆山にある現地法人に赴任することになって、当時急拡大していた中国のマーケットを開拓するミッションを託されたんだよね。もともと海外駐在は希望していて、上長との面談でも毎年訴えていたので、ついにチャンスが巡ってきたという感じだったよ。
- 浅沼
- 以前から中国語は得意だったの?
- 冨谷
- いや、まったく話せなかったよ(笑)。そんな人間を赴任させるのもAGCの懐の深さだと思うんだけど、当初はやはり言葉が通じず、お客さまとも通訳を介していたので意思の疎通に苦労したね。しばらく経ってから4ヵ月半ほど、業務から離れて現地の大学で中国語の習得に専念できる機会を与えてもらい、それで何とか中国の人ともコミュニケーションできるようになってきたね。
- 浅沼
- 海外に駐在する社員への語学教育の支援は非常に手厚いね。海外赴任が決まると社費で語学研修を受けられる権利が与えられて、それは駐在時も有効なんだよね。私はタイのガラス工場に技術者として赴任した際、現地でタイ語の勉強に充てさせてもらったよ。私も冨谷君と同じように入社時から「いつかはグローバルで仕事がしたい」と思っていたんだけど、入社4年目の夏にタイ工場駐在の辞令が下り、予想よりもずいぶん早くて驚いた記憶があるなあ。
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海外に駐在すると、
大きな裁量が委ねられる
- 冨谷
- 海外拠点の日本人駐在員は少数で、マネジメントに近い役割を担わなければならないので、日本にいた時よりもおのずとポジションが高くなるよね。私も中国ではローカルの営業スタッフを率いるリーダーのような役割を任され、その現地法人(昆山営業、華北エリア)の営業マネージャーを務めたし。
- 浅沼
- じゃあ当時、ディスプレイ用ガラスの中国華北エリアの営業は冨谷君が指揮していたの?
- 冨谷
- とはいっても、組織そのものが小さいので自分が先頭に立って営業しなきゃいけない。中国は広大でお客さまも多地域にわたっているので、毎週のように飛行機に乗り、各地のお客さまを次から次へと訪問して……当時、中国のディスプレイパネル産業が急成長していて、ここで先んじてAGCがシェアを獲らないと海外の有力な競合に負けてしまうというプレッシャーもあった。苦労も多かったけど、チームのスタッフたちが集めてきた情報をもとに戦略を練り、本社の承認を得て実行に移した結果、目論見通り現地のお客さまから受注を獲得できた時は大きな達成感があったね。努力した甲斐あって、中国におけるAGCのシェアを拡大することもできたよ。
- 浅沼
- 確かに、海外に駐在すると若いうちから責任ある仕事を託されるよね。私はガラスの製造職として赴任したんだけど、日本だと4~5年目ぐらいのキャリアなら工場のラインの一部を任される程度。でもタイの工場に赴任するや否や、ラインの立ち上げや製造管理を任された。それまで経験したことのない領域についても、現地のスタッフとコミュニケーションをとって、何か問題が発生したらすべて自分で判断して解決策を示していかなければならない。責任が大きい分、やり遂げた時の喜びは格別だったね。
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異質な環境が、
自分を成長させてくれる
- 浅沼
- 海外に駐在すると、異なる文化や価値観に触れながら仕事ができることも刺激的だったね。タイ人は総じておおらかな傾向があって、仕事を進める上では彼らの気質に合わせたマネジメントをしなければならないけれども、そんななかで信頼関係を築いていくのが面白かった。現地のスタッフの結婚式にわざわざ招待してもらったこともあって、その時はちょっと感激したね。
- 冨谷
- 私も当初、中国人スタッフのマネジメントにはとても苦労したよ。赴任した時、まわりの営業スタッフはみな年上で、面子を重んじる中国の人にとっては、いきなりやってきた若造の私にあれこれ指図されるのが受け入れ難かったようで、軽んじられたことも。でも、お客さまとの交渉の場などで彼らをしっかりとサポートし、結果を出して徐々に信頼を獲得し、チームとしての一体感が生まれてきた時は胸に来るものがあったね。私が駐在した間に、中国人スタッフの営業力の底上げができたと思うし、それも私が残せた成果ではないかと思っている。
- 浅沼
- 海外だとYES・NOの意思表示がその場で明確に求められるよね。日本だと、曖昧な指示でも相手が意図を汲んでくれるけど、海外ではそうはいかない。でもその文化に慣れてしまうと、逆に日本のビジネスの進め方がスピードに欠けているように感じることも。世界で勝ち抜いていくためには意思決定のスピードが重要だと思うので、帰国してからは意識して周囲に働きかけるようにしているんだよね。
- 冨谷
- 私も中国から帰国して「声が大きくなった」「主張が強くなった」と言われているよ(笑)。でも、中国のマーケットを理解できたことは、私が今手がけているグローバルな戦略立案に大いに生きているね。
- 浅沼
- 海外駐在を経験すると、本当に成長できると思う。タイでの4年間で私も非常にタフになったし、今は日本で新たな製造技術の開発に取り組んでいるんだけど、タイでの経験からどんな問題でも自分で解決できる自信がついてきた。
- 冨谷
- 海外に赴任すると大きな裁量が与えられるので、自分でやりたいように仕事ができる。もちろんそこに大きな責任が伴うけど、だからこそ常に何をすべきか自分で思考して行動する力がおのずと身についていく。海外駐在は、チャンスがあるならば若いうちにぜひ経験しておいたほうがいいと思うね。