一定の降雪量で通行止め、大雪立ち往生受け国の検討会

宮坂知樹 戸松康雄
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 昨年12月の大雪の際に新潟県柏崎市長岡市などの国道で発生した立ち往生への対応を検証する国土交通省の対策検討会(座長=佐野可寸志・長岡技術科学大教授)の初会合が23日、長岡市の長岡国道事務所で開かれた。原因の一つに「予測を上回る降雪に対し、通行止めによる集中除雪体制が確保できなかった」ことが挙げられ、立ち往生が起きやすい特定の地点では一定の降雪量を上回れば「機械的に通行止めにする」ことが決まった。

 この日の初会合で明らかにされたところによると、東日本高速道路(NEXCO東日本)新潟支社は、大雪により29件の事故が相次いだため、昨年12月18日午後4時45分から北陸道や関越道などで通行止めを実施した。並行する国道に多くの車が流れ、翌19日の午前7時ごろから急勾配の地点で動けなくなる車が増加。柏崎市内の約22キロと、長岡市内などの約33キロの区間で立ち往生が起き、21日にかけて最大約1千台が滞留した。

 初会合では、予測以上の降雪に対応できなかった反省を踏まえ、1時間に10センチを上回るか、2時間連続で5センチを上回る降雪があった場合、勾配が急など事前に定めた柏崎市や長岡市、小千谷市の2区間で即時に通行止めを行い、集中除雪をすることを決定。関係機関でつくる「情報連絡本部」を直ちに立ち上げることも決まった。また、早期に渋滞状況を把握し、動けなくなった車を移動させるため、人員や牽引(けんいん)車の確保を進めていることが報告された。

 初会合後の記者会見で、国交省長岡国道事務所の木村祐二所長は「あそこまでの大雪が予測されていなかったため、十分対応できると判断したが、その判断が良くなかった。予測を覆すような雪が降る中で、除雪が後手後手に回ってしまった」と述べた。

 2020年12月に関越道で発生した立ち往生でも同様の検討会が開かれ、「車両滞留発生時の応援体制を整備する」などの提言が出されたが、再発を防げなかった。佐野座長は「提言は実行されているが、完全ではない。情報の周知の面で課題が残る」と話した。(宮坂知樹)

     ◇

 会見では、対策検討会の議論と、東京電力柏崎刈羽原発の事故が起きた場合の避難との関係についても質問が出た。佐野座長は「原子力発電所(事故)の避難を明示的に取り扱わなくても、スムーズな交通の確保はスムーズな避難につながる」と述べ、特に考慮せず検討する考えを示した。

 今回立ち往生が起きた国道と北陸道は同原発事故時の避難道路。それが同時に長時間通行できなくなったことを受け、柏崎市の桜井雅浩市長は「避難するための文字通りの生命線」で、「どちらかは生かしてもらいたい」とし、同時通行止めを避けるよう国などに求めている。

 佐野座長は会見で「原発避難を考慮するのか」と問われ、「特に原子力発電うんぬんは考えないが、通行止めをなるべく短時間でという文脈の中で(の検討が)、結果的にはスムーズな避難に通じると私は考えている」とも語った。(戸松康雄)

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