直径110m国内最大の円墳と判明 奈良・富雄丸山古墳
菅原雄太
【動画】奈良の富雄丸山古墳が国内最大の円墳と判明=山中瑞喜撮影
奈良市は15日、市西部の住宅地にある富雄丸山(とみおまるやま)古墳が直径110メートル前後の円墳と分かった、と発表した。円墳では最大とされている埼玉県行田市の丸墓山古墳の直径105メートルを上回り、国内最大となる。市埋蔵文化財調査センターの担当者は「被葬者はヤマト王権と関係が深い有力豪族ではないか」とみている。
センターによると、富雄丸山古墳は4世紀後半の築造と推定。奈良県立橿原考古学研究所による1972年の発掘調査で直径86メートルの円墳と報告され、82年の追加調査の結果、直径102メートル前後となる可能性が指摘されていた。
センターが今年5~8月、上空からレーザーで3次元計測したところ、3段で造られ、直径がさらに大きいことが判明した。高さ14・3メートルで、北東側に「造り出し」と呼ばれる方形の張り出しがあることも確認した。
この古墳からは明治時代に小刀や斧(おの)などを模した石製品が出土した。国の重要文化財に指定されている。
福永伸哉・大阪大大学院教授(考古学)は「前方後円墳の移り変わりから、4世紀後半はヤマト王権内の勢力が変動する時期にあたる。この古墳の被葬者は大王をサポートした勢力の可能性があり、勢力関係の推移の解明につながる成果だ」と話す。
センターは来年度から発掘調査を進める方針。(菅原雄太)
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