私も含めてですが、舞台公演に出ながら収録をしている役者さんとかが多くて、みんな舞台と番組収録を行ったり来たりだったけど、誰もが『大丈夫、こっちに来ると元気になる』というぐらい楽しかったんです。
すべてが終わった打ち上げの席で、私が『あまちゃん2』をやりたくないから、挨拶のときに能年ちゃんに『あまちゃんのことは忘れなさい』と言った、みたいな記事がどこかに出ていたけど……見てねえのに言うんじゃねえっての(笑)。
本当は全然違う文脈で、『あまちゃんのことは忘れて、次に違う仕事で、違う能年ちゃんを見せてください』って言ったんです。それぐらい最後まで楽しい現場、楽しい労働だったんですよ」
なぜこのドラマが面白いのか
もっとも、最初のうちは、自分たちのチャレンジが視聴者に受け入れられるかどうかが皆の心配事だったという。番組が当たる確信など誰にもなかったのだ。
「全員で心配していたのは、宮藤さんのテンポ、小ネタ、ギャグが全国全世代を巻き込むことができるか、ということでした。
私たち中年は確実に大丈夫だけど(笑)、10代、20代、60代、70代、80代、その辺の視聴者がついてこられるかな、と。だから、最初は役者さんにネイティブな方言を喋らせて字幕を入れるとか、難しいことは鉄拳さんの紙芝居で説明するとか、そういう"つなげる"工夫をしていましたね。
私の役にしても口は悪いし、スケバンみたいだし、自分の感情のままに暴れたりするし、朝ドラの視聴者は受け入れにくいだろうな、と思っていたんです。でも、思っていたより文句言われませんでしたね」
小泉は、意外なことに、ネットに出る自分への批評などには進んで目を通しているのだと言う。
「だって、見ないと戦えないじゃん、と思って(笑)。人はそう思っているのか、ふーん、じゃあ、こういう戦い方をしようとか作戦を立てる。褒められることより参考になりますよ。メンタル強いって言われます」
好発進した『あまちゃん』の勢いは衰えず、8月24日の平均視聴率は23・9%と過去最高を更新、9月に入っても大団円に向けて快進撃を続け、まさに「国民的」番組になった。小泉は、テレビドラマに関してこう感じている。