TRF DJ KOO×守尾崇が語る、90年代J-POPとエイベックスサウンドが現代に伝えるもの

DJ KOO×守尾崇 特別対談

 90年代を代表するアーティスト、TRF(※96年から大文字に)。90年代といえば、TRFが「CRAZY GONNA CRAZY」(158.7万枚)、「masquerade」(138.9万枚)、「survival dAnce ~no no cry more~」(137.6万枚)、「BOY MEETS GIRL」(128.5万枚)、「OVERNIGHT SENSATION ~時代はあなたに委ねてる~」(106.3万枚)などミリオンヒット曲を連発。他にもJ-POPシーンでは様々な名曲が誕生した。

 いかにして90年代J-POPは生まれ、狂乱の時代を迎えたのか? なぜ当時の音楽は今もなお歌い継がれているのか? 曲の構造やサウンドに隠された秘密とは? 今回リアルサウンドでは、DJ KOOとTRFのサポートキーボード&マニュピレートを担当していた音楽プロデューサー、守尾崇(たかし)をゲストに迎えたトークを展開。90年代ヒット曲&ポップカルチャーの魅力を、二人に余すことなく語ってもらった。(ふくりゅう:音楽コンシェルジュ)

洋楽と邦楽の架け橋だったダンスミュージック

左から守尾崇、DJ KOO

――J-POPの誕生を振り返ると、まず1988年にターニングポイントがあったと思います。ヒットチャートを見ていると87年までは演歌、歌謡曲、アイドルが強かったのですが、今のJ-POPに通じる流れが88年から89年の間で急速に生まれているんですよね。

DJ KOO:TM NETWORKの大ブレイクもその頃ですね。アルバム『CAROL ~A DAY IN A GIRL’S LIFE 1991~』のリリースもあったし。

――90年代J-POPの立役者の一人、小室哲哉さんはTMのシングル「COME ON EVERYBODY」で『第39回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)へ初出場しています。KOOさんはtrf加入前、80年代半ばからリミックスチームThe JG’sをdj hondaさん等と結成。リミックス文化を牽引し、ディスコやファンク、ユーロビート文化を盛り上げました。

DJ KOO:それこそ、アイドルのリミックスなどもやってたね。

――小室さんも「Get Wild」以降、ユーロビート的な四つ打ちダンスポップでJ-POPのルーツを作られたと思います。ダンスミュージックの文化が、J-POPに繋がる礎を形成したと言っても過言ではないのかな、と。

DJ KOO:当時ってまだまだ邦楽と洋楽が分かれていた時期だったんですよ。その橋渡しがダンスミュージックだったのかな。日本の歌を歌謡曲からJ-POPに変えたよね。そのきっかけとなったのが、ユーロビートなどディスコやクラブから生まれたサウンド。まだ、J-POPという言葉はなかったんだけど、歌謡曲のメロディをダンスミュージックでアレンジしていくという発明でした。初めてDJのノウハウが、音楽制作に取り入れられた時代だと思います。

――それまでは時代を象徴するようなサウンド感がありましたが、90年代ってなんでもありというか。洋楽に特に顕著ですが、いろんなジャンルが増えましたよね。

DJ KOO:そうだね。その理由のひとつとしては、楽器などの機材の進化があって音楽の作り方に変化が起きたからだと思います。

守尾: サンプリングなどのDJ的なサウンドの作り方が多く取り入れられるようになりましたね。ジャングルなんて、ビートを早回しにして混ぜて作ってましたから。80年代でもMacとかを使えばできたんですけど、まだまだ簡単じゃなかった。その後、90年代に入ってわりと簡単に操作できるサンプリングキーボードが出てきて、ループを早回しにして乗せたりするようになっていくんです。trfの「Sexual in Gravure (JAZZY GROOVE MIX)」とか、ギターのカッティングはサンプリングの音ネタですね。

DJ KOO:音ネタだね。サンプリングの切り貼り。

守尾:カッティングも昔は人が弾いてたのが、サンプルをわざとサンプルらしく、人とは違う使い方をしてみたり。それが90年代的かな、と。

DJ KOO:それまではバンドの演奏力とかボーカル力勝負だったんですよ。でも、90年代はアレンジはじめもっとセンスが大事になってきました。

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