介護福祉士国家試験

介護福祉士の難易度・合格率は?福祉系国家資格と比較してみた

介護福祉士の受験を検討している人のなかには、合格率がどのくらいで、どの程度の難易度なのか気になっている人も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、試験はそこまで難しくなく、他の福祉系国家資格と比べて合格率は高い傾向にあります。ただし、出題される科目数が11もあり、まんべんなく勉強することが求められます。

私は、大学や短期大学・専門学校等で介護福祉士、社会福祉士の養成教育に約20年間従事してきました。

担当する受講学生全員(留学生含む)が介護福祉士国家試験に一発合格し、これを4年連続達成することができました。

このような経験を踏まえ、この記事では、介護福祉士国家試験の合格率・合格点の推移、難易度の程度について解説します。

合格率を高めるための重要なポイントについても解説しますので、合格を目指す方はぜひ最後までチェックしてみて下さい。

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介護福祉士の合格率は?

第34回介護福祉士国家試験の受験者数は83,082人に対して、合格者数60,099人、合格率は72.3%となっています。

合格率72.3%は、過去10年のなかで二番目に高い合格率です(出典:介護福祉士国家試験の受験者数等の推移 厚生労働省)。

まず、これまでの合格率の推移を見てみましょう。厚生労働省の「介護福祉士国家試験の受験者数等の推移」によると、合格率は以下のようになっています。

年度合格者数受験者数合格率
第34回 R3年度60,09983,08272.3%
第33回 R2年度59,97584,48371.0%
第32回 R1年度58,74584,03269.9%
第31回 H30年度69,73694,61073.7%
第30回 H29年度65,57492,65470.8%
第29回 H28年度55,03176,32372.1%
第28回 H27年度88,300152,57357.9%
第27回 H26年度93,760153,80861,0%
第26回 H25年度99,689154,39064.6%
第25回 H24年度87,797136,37564.4%

受験者100人のうち約72人が合格することを考えれば、この資格試験の難易度は低いといえるでしょう。特に第31回(H30年度)は、最も高い合格率でした。

過去5年間の合格率一覧データを見ると、合格率は69.9%〜73.7%と推移しています。受験者数は第26回(H25年度)が最も多く、近年は減少傾向です。

合格率が高い理由として、「受験資格」の存在があります。

受験資格とは、文字どおり国家試験を受験するための資格のことで、介護福祉士試験は誰もが受験できるのではなく、この受験資格を持つ人だけが受験できます。

受験のためには介護福祉士養成施設等の卒業、実務者研修の修了や、現場の実務経験が3年以上等、いくつかの要件があります。

これらの要件を課していることから、受験者は介護に関する知識を持って受験している人が多いため、結果として、合格率が高くなっているのでしょう。

介護福祉士の合格基準と合格基準点

第34回の介護福祉士国家試験の合格基準点は78点でした。

公益財団法人 社会福祉振興・試験センターのホームページによると、介護福祉士の合格基準は次のとおりです。

次の2つの条件を満たした者を筆記試験の合格者とする。

  • ア 問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
  • イ アを満たした者のうち、以下の試験科目11科目群すべてにおいて得点があった者。
  1. 人間の尊厳と自立、介護の基本
  2. 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
  3. 社会の理解
  4. 生活支援技術
  5. 介護過程
  6. こころとからだのしくみ
  7. 発達と老化の理解
  8. 認知症の理解
  9. 障害の理解
  10.  医療的ケア
  11. 総合問題

 ※配点は、1問1点の125点満点である。

全体の得点率が60%以上(75点以上の正答)でも、正解が一つもない科目があれば不合格になるため、全ての科目で最低1問以上の正解が必要です。

上記を踏まえたうえで、これまでの合格基準点の推移を見てみましょう。

年度合格基準点(点)
第34回 R3年度78
第33回 R2年度75
第32回 R1年度77
第31回 H30年度72
第30回 H29年度77
第29回 H28年度75
第28回 H27年度71※
第27回 H26年度68※
第26回 H25年度68※
第25回 H24年度69※

※総得点が120点。それ以外は125点。

(出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)

介護福祉士国家試験に合格するためには基準点である75点以上は必須で、難易度補正を加味すると、80点以上は取っておきたいですね。

介護福祉士の難易度は?

ここからは、他の国家資格等と比較しながら、介護福祉士試験の難易度について解説をしていきます。

比較の対象とする資格は、精神保健福祉士、社会福祉士、看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師です。

看護士よりも合格率は低いですが、他の福祉系資格と比較すると、介護福祉士試験は合格率が高い傾向にあるため、難易度としては比較的簡単だと言えます。

国としては介護福祉士を増やしたいという意図があるため、今後、合格率が極端に低くなるとは考えにくいです。

合格率は現状維持、または微増するものと見込まれ、チャレンジしやすく、比較的簡単に取得できる資格であるといえます。

介護福祉士精神保健福祉士社会福祉士看護師ケアマネジャー
直近の合格率72.3%65.6%31.1%91.3%23.3%
直近の合格ライン78点/125点(正答率60%以上)101点/163点(正答率60%以上)※1105点/150点(正答率60%以上)167点/240点(正答率80%以上)39点/60点(正答率70%以上)
出題形式マークシート方式で五肢択一マークシート方式で五肢択一または多肢選択式マークシート方式で五肢択一または多肢選択式四肢択一が基本で、五肢択一・五肢択二もあるマークシート方式で五肢複択式
出題範囲(科目)11科目16科目(科目免除者は6科目)19科目10科目2分野
勉強時間※2約250時間約250時間約300時間100~200時間

(出典:公益社団法人社会福祉振興・試験センター公益財団法人東京都福祉保健財団厚生労働省

※1:科目免除者は47点/80点、正答率60%以上

出題の傾向を掴み、繰り返して学習することで知識をしっかりと身につけ、合格を確実のものとする努力が必要です。

 出題形式・出題科目から見る介護福祉士の難易度

介護福祉士試験は他の福祉系国家資格と比べると簡単な試験だといえます。なぜなら、科目数、問題数が少なく、出題形式が五肢択一だからです。

項目介護福祉士精神保健福祉士社会福祉士
科目数11科目16科目19科目
問題数125問163問150問
試験時間220分(1日間)1日目:140分2日目:135分240分(1日間)
出題形式五肢択一五肢択一または多肢選択式五肢択一または多肢選択式

また、介護福祉士は精神保健福祉士、社会福祉士よりも勉強する科目数が少ないので的を絞って勉強がしやすいです。

介護福祉士は五肢択一なので、試験問題はどの問題が出ても「答えは1つ」というシンプルな解答方法になっています。

完全に理解できていなくても、明らかに違う回答を除外することで絞り込んで解答もしやすく点数が取りやすいです。

問題数も125問と福祉系国家資格の中では一番少なく、試験時間も他福祉系資格と比較して短いです。

精神保健福祉士や、社会福祉士は試験時間が長く、多肢選択式の問題もあり、ケアレスミスが起こりやすいので、介護福祉士は試験時間も短く、五肢択一なので、その分簡単だと言えるでしょう。

ただし、介護福祉士試験の合格基準にもあるとおり、全ての科目で1点以上の正答が求められます。受験者は決して油断することなく、まんべんなく勉強するようにしましょう。

 勉強時間から見た介護福祉士の難易度

介護福祉士試験の合格に必要な時間は約250時間です。1日1時間〜2時間勉強するとして、約半年〜3ヶ月の学習が必要です。

勉強時間の観点からも、介護福祉士試験は比較的簡単で、取得しやすい資格だといえます。

試験勉強をしていると、介護の実践場面をイメージすることができ、受験者にとっては馴染みのある事柄が出てくるため、勉強自体が捗ります。

一方、社会福祉士試験の場合は、勉強時間が300時間以上必要で、かつ出題範囲が広いため的を絞って勉強をすることが難しいです。

また、法律や制度の出題が多く、受験者にとってはあまりイメージが掴みくく、理解して憶えるのに時間がかかります。

受験資格から見た介護福祉士の難易度

これまでに紹介した福祉系国家試験を受験するためには、それぞれ「受験資格」を得る必要があります。

社会福祉士、精神保健福祉士は受験資格を得るために福祉系の大学や短大、養成施設を終了する必要がありますが、介護福祉士は大学、短大、養成施設以外に福祉系の実務経験と研修を受けることで受験資格を満たすことができます。

介護福祉士の場合は、実務経験ルートの受験者が圧倒的に多いです。多くの人が現場で働きながら、試験勉強を続けているのが実態です。

働きながらキャリアアップを目指す人にとって介護福祉士は受験資格のハードルが低いと言えるでしょう。

資格代表的なルート備考
介護福祉士・介護福祉士養成施設で2年以上学習・保育士取得+養成施設1年以上の学習・実務経験3年+実務者研修の修了実技試験が免除にならないルートもある
精神保健福祉士・保健福祉系4年制大学の卒業・保健福祉系短大卒業+実務経験1年以上・一般4年制大学卒業後、一般養成施設で1年以上学ぶ・社会福祉士の有資格者社会福祉士有資格者は、短期養成施設で6ヶ月以上学習して卒業すれば、精神保健福祉士の受験資格が得られ、試験科目の一部が免除
社会福祉士・福祉系4年制大学の卒業・福祉系短大卒業+実務経験1年以上・一般4年制大学卒業後、一般養成施設で1年以上学ぶ短期養成施設(6ヶ月以上)のルートもある

介護福祉士の合格者の内訳

ここからは、公益社団法人社会福祉振興・試験センターの示した「第34回介護福祉士国家試験の合格発表について」を紐解きながら、介護福祉士試験合格者の特徴について見ていきます。

男女別合格率

介護福祉士試験の合格者は、女性が約7割を占めます。受験者の割合も同程度だと推測することができます。

区分
人数(人)17,44742,65260,099
割合(%)29.071.0100.0

年齢別

合格者の割合として最も多いのは40代の人たちです。約27%を占めます。30代から50代までの合計は64.1%と約2/3を占めます。

これは、養成校出身の受験者が少なく、現役介護職員の受験者が多いことが要因だと推察できます。

社会福祉士の場合は、30歳未満が最も多い(48.2%)です。これは福祉系大学等の学生・卒業者の受験が多いためであると考えられます。

年齢区分(歳)人数(人)割合(%)
~204,6787.8
21~3014,64924.4
31~4011,81019.7
41~5016,00326.6
51~6010,72417.8
61~2,2353.7
60,099100.0

 受験資格別

受験資格別にみると、老人福祉施設の介護職員等が一番多いことからも働きながら実務経験ルートで受験する人が多いことがわかります。

各ルートの合格率には大きな差はありませんが、障害者福祉施設の介護職員等が最も高い合格率です。

区分受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)割合(%)
介護福祉士養成施設7,1444,66765.37.8
社会福祉施設の介護職員等(合計)51,73337,79573.162.9
老人福祉施設の介護職員等45,42332,60071.854.2
障害者福祉施設の介護職員等5,6544,66382.57.8
保護施設、児童福祉施設の介護職員等57947281.50.8
その他の社会福祉施設の介護職員等776077.90.1
訪問介護員等10,3767,89376.113.1
介護老人保健施設、介護医療院の介護職員等5,6673,76166.46.3
医療機関の看護補助者等5,2783,64169.06.1
福祉系高等学校(専攻科を含む)2,8162,29081.33.8
その他685276.50.1

通常、介護福祉士を養成する専門学校や短期大学の合格率が高いと思われがちですが、このルートの受験者のなかには留学生が含まれているため、現時点では高い合格率には結びついていないのが現状です。

 介護福祉士で1発合格は簡単?

介護福祉士試験は、70%前後の高い合格率を推移しており、また今後もその傾向が続くと見込まれるため、一発合格は比較的簡単だと言えます。

ただし、合格のためにはスケジュール管理による勉強時間の確保と、過去問を繰り返し解くことで出題傾向を理解すること、試験形式に慣れることが必要です。

介護福祉士の具体的な勉強法や試験対策についてはこちらの記事に書かれているので参考にしてみてください。

関連コラム:介護福祉士の勉強法!勉強時間や独学についても詳しく解説

社会人が介護福祉士の資格をとるのは難しい?

社会人が働きながら資格を取ることは、難しくはありません。

受験資格でも触れましたが、介護福祉士を受験する方の多くが実務経験ルートで働きながら試験勉強をしています。

また、合格率は70%程度と決して低くありません。

社会人でも、スキマ時間を見つけて計画的に効率よく勉強することで資格取得を目指すことができます。

介護福祉士は独学と講座利用で難易度は変わるのか?

介護福祉士試験は、独学で勉強・対策をすることは可能ですが、やはり、講座を利用した方が試験の難易度は下がり、合格に近づくことができます。

なぜなら、講座を利用した場合、スケジュールやカリキュラムが決まっているので、それに沿って勉強すれば迷わなくて済むだけでなく、モチベーションが維持しやすいからです。

また、スマホで勉強ができるのでスキマ時間を効率よく使うことができます。

分からないことがあれば、質問して教えてもらえるのも、独学にはないアドバンテージだといえるでしょう。

働きながら介護福祉士を目指すなら講座を利用して、スキマ時間を効率よく使えるようにしましょう。

 独学ではなく講座を利用するメリット

講座を利用するメリット・デメリットは次のとおりです。

項目内容
メリット・カリキュラムが組まれており、ほぼ全ての科目を体系的に理解できるうえ、複数科目と関連づけて暗記することができる
・専門知識を持ち、指導に長けた講師が教えてくれる
・受験生同士で切磋琢磨し合うことができる
・オンライン動画解説等があれば、スマホで予習・復習ができる
・法律、制度改正に伴う知識のアップデートが容易
デメリット・受講費用、テキスト代にお金がかかってしまう・(講座によっては)質問に対する回答に時間がかかる・他と比較して自分の成績が悪かったら、学習意欲が低くなる・(通学の場合)通学するのが面倒、手間

ポイントは、スキマ時間に「オンライン動画解説等」を聴いて理解を深める勉強法です。

このような「ながら勉強」は社会人にとって有用だといえるでしょう。

まとめ

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 介護福祉士試験の合格率は例年70%程度
  • 合格率が高い理由は、受験資格のルートが設定されているため。養成施設で勉強してきた、介護現場で実践を積み研修を修了している等、知識定着が十分
  • 合格のためには、徹底した時間管理と、計画的な勉強を進めること。11科目で1点以上の得点が必要なため、まんべんなく勉強することが大切
  • 講座の利用は合格に向けた近道。11科目を体系的に理解することができ、複数科目を関連づけて暗記すると合格に近づく。

繰り返しになりますが、介護福祉士試験は合格率が高いものの、決して油断せず腰を据えてしっかり勉強することが重要です。

介護福祉士は介護分野における最上位の資格であり、施設等で提供する介護の質を担保するプロフェッショナルです。とても人気の資格なので、ぜひいち早く勉強を開始してみてはいかがでしょうか?

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この記事の監修者 遠藤 愛 講師

遠藤 愛 講師 (講師紹介はこちら

全くの異業種から介護の世界に飛び込み、訪問介護員として介護業界での勤務をスタート。住居環境・経済状況が様々なケースを担当。

現在は、医療ソーシャルワーカーとして、地域の在宅・施設の福祉職と協働しながら、数多くの高齢者・障害者とその家族への退院支援業務にあたる。

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