長野電鉄「マッコウクジラ」、30年間お疲れさま 愛好者らに見送られ現役引退
「マッコウクジラ」の愛称で親しまれ、長野電鉄(長野市)で30年間活躍した車両「3500系」が、19日の臨時運行を最後に現役を退いた。県内外から愛好者が訪れ、製造からは60年となる最後の1編成の運行を見届けた。
長野電鉄は、1964年に全線開通した営団地下鉄(現東京メトロ)日比谷線の初代車両3000系の払い下げを受け、寒冷地仕様に改造。長野電鉄のイメージカラーである赤色のラインを入れ、93年に3500系として導入した。
木島線や屋代線(ともに廃止)など各線で活躍したが、老朽化した車両は順次廃車に。この日まで残った車両は63年製造。長野電鉄は2020年から日比谷線の2代目車両を導入し、3500系からの置き換えを進めていた。
臨時列車はこの日午前に須坂駅(須坂市)を出発し、湯田中駅(山ノ内町)で折り返して長野駅に向かい、須坂駅に戻った。須坂駅では約20人の愛好者が出発を見届けた。
東京都の会社員金子治幸さん(47)は「鉄道にのめり込むようになってから、ずっと追いかけてきた車両。長年本当にお疲れさまでした」。佐久市の公務員男性(60)は都内で暮らしていた時代から地下鉄で利用していた車両といい、「転勤で長野市に移住し、不慣れな土地で孤独感にさいなまれそうになった時、よく知る『仲間』の走る姿が心強かった」と振り返った。
同社によると、引退後の解体や保存などは未定。