6.米欧供与の戦車キラーにはなれず

 現在、米欧から戦車や歩兵戦闘車が供与される可能性が高まってきた。

 各種報道によると、英国は「チャレンジャー2」戦車14両と装甲車数百両、米国は「ブラッドレー」歩兵戦闘車59両と「ストライカー」兵員輸送車(*実態は戦闘車)90両、フランスは「AMX-10RC」装甲車(実態は戦闘車)数量不明、ドイツは「マルダー」歩兵戦闘車約40両、ポーランドとフィンランドがドイツ製の「レオパルド2」戦車(ドイツの承認待ち)、ドイツ企業は「レオパルド」戦車100両以上供給する用意などがあるという。

*装甲車の名称ではあるが、実態は「戦闘車」である。陸自も米仏の装甲車と同様の兵器を保有しているが、名称は、「機動戦闘車」としている。

 これらの戦車等の敵は、戦車、対戦車ミサイル、攻撃機だが、最大の天敵は攻撃ヘリだ。

 本来であれば、露軍の約400機に近い攻撃ヘリが大活躍するはずであった。

 ところが、侵攻当初に多くが撃墜されたために、その後、露地上軍の戦闘を支援している様子はない。

 露軍パイロットは、「ウクライナ領内に入って攻撃することを拒否している」という話もある。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が春以降に大規模攻撃に踏み切るというが、米欧から供与された兵器で増強されたウ地上軍の攻撃を露地上軍が阻止できるだろうか。

 戦車キラーと呼ばれた攻撃ヘリの直接支援は期待できない。戦闘機・攻撃機もそうだ。

 露軍にとっては、ウ軍機甲軍団を食い止める天敵はいなくなったも同然だ。

 露軍がウ軍を阻止する手段(兵器)はもうほとんどない。露軍が期待できるのは、都市を攻撃するための軍用機からのミサイル攻撃、短距離弾道ミサイル攻撃、自爆型無人機だけだ。

 これらも、今後供与されるパトリオットミサイルが加われば、ほとんど撃ち落とされる。

 露軍は、東部では国境線まで後退し、南部ではクリミア半島を放棄することになる可能性が高まった。