5.ウクライナの戦場で活躍できない攻撃ヘリ

 戦車キラーと言われた露軍攻撃ヘリは、ヘリの損失や映像画面などで判断すると、一部だけが作戦行動しているようだ。

 機甲戦主体である地上戦でなぜ、戦車キラーである攻撃ヘリが活躍していないのか。その理由を考察する。

その1:平坦なウクライナの地形では、ヘリが空中を飛行すると、直ちに発見される

 攻撃ヘリは地形に沿って飛行する。匍匐飛行して発見されないように近づき、そして、対戦車ミサイルを発射する。

 ウクライナの地形は起伏がなく、地平線まで見える平坦地であるがために、攻撃ヘリの飛行を秘匿することができない。

 攻撃ヘリが捜索レーダーに発見されないように、超低空あるいは地上10メートルくらいを匍匐飛行していても、上空を監視する兵から発見される。

その2:携帯SAM等の格好の餌食になる

 発見されれば、携帯地対空ミサイルで、さらに地を這うように飛行しても、ジャベリン対戦車ミサイルに狙われる。

 どちらもミサイルは命中する。

 ジャベリンは対戦車ミサイルなのだが、発射されたミサイル自体が、目標物を画像として認識し、それに向かって追随していく。

攻撃ヘリに対する携帯SAM・ジャベリンの射撃(イメージ)

 元来、攻撃ヘリは敵の戦車、火砲(HIMARS)、防空ミサイル陣地まで接近し、攻撃することができる。つまり、それらの天敵なのだ。

 したがって、露軍の攻撃ヘリは、ウ軍の後方地域に配置されているHIMARSや防空ミサイルを攻撃できる唯一の兵器だ。

 だが、ウ軍のこれらの兵器が、露軍の攻撃兵器で、攻撃を受け破壊されたという情報を見ない。

 前述のように、最初の1か月は、露軍の攻撃ヘリが果敢に攻撃をして、携帯SAMなどから攻撃され、多くの被害を出したが、その後、動きがほとんどない。

 テレビ映像でも見ることはない。ウ軍の末端の部隊まで携帯SAMが配置されていれば、露軍の攻撃ヘリは、手足が出せずお手上げ状態なのだ。