メタバース推進協議会は4月18日、第1回記者発表会を都内で開催。目的や参画企業、今後の活動内容などを発表した。
メタバース推進協議会は、2021年12月から任意団体として活動し、3月末日に設立。仮想空間内におけるビジネスの法整備が進んでいないことを踏まえ、業界を跨ぐさまざまな企業で意見を交換し、日本国内のメタバースの利用と、空間内ビジネスの促進を目指す。政策提言も目的の一つに挙げている。
代表理事は、東京大学名誉教授で医学者、解剖学者の養老孟司氏が務める。また、大阪観光局 理事長の溝畑宏氏と、元衆議院議員の木内孝胤氏が常任理事を務める。そのほか、東京大学特別教授で日本ウッドデザイン協会会長の隈研吾氏と、東京大学先端科学技術センター名誉教授で日本バーチャルリアリティ学会特別顧問の廣瀬通孝氏が特別顧問を、元三菱UFJ銀行代表取締役専務でバンカーズ・ホールディングス会長の長田忠千代氏が監事を務める。
養老氏は、「メタバースを使えば、例えばこれから50年後の人たちでも今我々が見ているものを、ある種のゲームに近い形で見直すことができる。非常に参考になるだろう」と、メタバースの意義を述べた。
事務局長を務めるaversの市川達也氏は、「メタバースは、単一的なサービスに留まらず、生活や文化を形成、醸成していく。現実世界で生活、文化、ビジネスを押し進めている方々と共に、この新しい世界でもコミュニケーション、法、ルールなどの『人のあるべき姿』を検討し、官民学共同でメタバースを普及、浸透させていく」と、設立の趣旨を説明した。
また、「空間やビジネスを作り上げるだけでなく浸透、普及させていくためには、空間にルールがないことが大きな壁となる。ルールがないことはポジティブに言えば可能性は無限大だが、ネガティブに言えば無法地帯、無秩序で、それに引っ張られて空中分解してしまう。メタバースの可能性の“足かせ”になると捉えており、早い段階からルール作りが必要」と、“仮想空間内におけるビジネスの法整備”をテーマに据えた理由を語った。
具体的な活動としては、個別テーマに応じてプロジェクトを組成し、加盟社や加盟者が参画することで実施。各業界団体が参画する業界連絡会がワーキンググループの報告を受けて意見を集約、業界へ周知するという。
木内氏は、「例えば、5Gや8Kを活用する遠隔医療では何がどこまで許されるかという課題と、犬などを競争させて勝つとNFTのトークンがもらえるゲームが賭博に当たるかという課題のように、法的な課題は各プロジェクトごとで大きく異なる。しかし、一つ一つのプロジェクトごとに、監督する官庁も決まっていない。横割り、縦割りと呼ばれる複雑さもある。協議会では、皆様が迷子にならないように整理していきたい」と、具体例を挙げて活動イメージを説明した。
メタバース推進協議会には、ANAホールディングスやスタートトゥデイ、三菱商事などの22企業が参画する。市川氏は、参画企業の特徴として、「『モノ』を持っている企業を集めている。技術分野の知見を持つ企業もいるが、コンテンツ、つまり現実の『モノ』の観点を持っている企業が多い」とする一方で、「現時点では通信事業者やプラットフォーマーと呼ばれる方々は入っていないが、今後の議論で必要になってくる。より1人でも、1社でも多くの方々と、一緒にルールを作っていきたい」と語った。
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