★★★ Excellent!!!
まるで黄金を混色で彩るような、奇跡的なバディ 尾岡れき
レビューを書く前に、唐突ですが。水彩絵の具の混色の話を。
黄金色。
残念ながら、水彩絵の具を混ぜ合わせて作ることはできません。
ある、特殊な方法が必要なんです。
普通に出会ったら、きっと相容れない二人。
それこそ、黄金の混色のように。
これこそ、この物語の醍醐味だと思います。
魔女を駆逐する教会の審問官、その見習いアルヴィス
その魔女の疑いをかけられた診療所の美しい医師、クリスティー。
そしてアルヴィスが所属する教会もまた、一枚岩ではなく。陰謀が渦巻いて。
まるで、禁断の果実を求めるが如く
人間関係は錯綜とし、真実は闇のなかに、埋もれていく。
この状況の中で、アルヴィスとクリスティーは出会うんですよね。
かたや、魔女を絶対に廃する。謂わば組織の狗。
かたや、本心はまるで晒さない、孤高の魔女。
アルヴィス青年は、目の前のことに良い意味で、まっすぐで。だからこそ翻弄されてしまう。
クリスティー医師は、強い女性を描くとしたら、一種の理想像かもしれないとすら、思ってしまう。彼女は媚びない。泣き言を言わない。誰かのせいにしない。
こんな二人が出会う可能性を「運命」という簡単な言葉では片付けたくないですね。
偶然、必然、不確定、確率、条件。
どれもが歪で。本来なら、色を混ぜたところで、反発する二人。
その二人がバディを組むことは、黄金を混色で彩るよりも難しいのは、確か。
黄…
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