幅広い業務や用途に対応可能なドローンソリューションを提供しているJDRONEは、自動航行機能や衛星通信機能を搭載した無人ヘリコプター「YAMAHA FAZER R G2」を活用した物流支援・災害支援サービスのほか、「DJI Matrice 300 RTK」を活用した人命救助ソリューションを展示した。
自動航行機能を搭載した無人ヘリコプターを活用した災害復興支援
JDRONEは産業用無人ヘリコプター「YAMAHA FAZER R G2」を活用し、原発事故跡地である福島県の復興に向けたドローン運用サービスを展開している。
2011年に福島第一原子力発電所事故が発生した当時は、事故現場から半径20km圏内が原則として立ち入りを禁じられた。現在でも浪江町や双葉町は帰還困難区域として原則立ち入りを規制している。この規制を緩和していくためには、放射線量を調査し、安全であることを証明していく必要がある。
人が立ち入る放射線量の調査は、防護服を着用したとしてもリスクが高い。それに加え、測定するための検査機材の重量は約10kgと重いため、検査物資の運搬にも難航していたという。
JDRONEはYAMAHA FAZER R G2を活用した放射線量の調査に取り組んでいる。一般的なドローンの最大積載量は3~5kg程度であり、飛行時間は20~40分程度と短い。これに重量物を積載すれば飛行時間はさらに短くなってしまうため、約10kgの検査機材を一般的なドローンに積載し、放射線量の測定を実施するのは困難とされていた。一方で、JDRONEが活用しているYAMAHA FAZER R G2は最大積載量が35kgまで対応しており、約10kgの検査機材を搭載していても約2時間半の飛行が可能だ。JDRONEはYAMAHA FAZER R G2を活用することで、人員やドローンでも実現が難しいとされていた広範囲にわたる安全な放射線量調査を実現している。
YAMAHA FAZER R G2は計測・観測・監視・撮影・運搬等の産業用途向けに開発された機体だが、その中でもJDRONEが所有する機体は自動航行機能や衛星通信機能を搭載しており、国内でも数少ない特別な仕様となっている。プログラミングによる自動航行が可能なため、重量級の物資運搬が必要となる山間部の送電線の点検や計測・警備・防災と幅広い分野で活用が可能だ。また、衛星通信機能は飛行時の映像伝送や機体制御に用いられ、モバイル回線が整備されていない場所での飛行や、モバイル回線のバックアップとして活用されるという。
独自カスタマイズを施した救命活動に特化した「DJI Matrice 300 RTK」の運用
JDRONEはドローンソリューションの提供のほか、ドローンの開発やカスタマイズも手掛けている。JDRONEはDJI Matrice 300 RTKを独自にカスタマイズした海難事故等に対応できるレスキュードローンを展示した。
黄色の塗装が特徴的なレスキュードローンには、投下ユニットとスピーカーが搭載されている。投下ユニットには浮き輪のように水に浮くレスキュー機材が備えられており、これを切り離して水上に投下する仕組みだ。レスキュー機材は着水すると1.8m程度に広がり、大人2名分の救命道具となる。
スピーカーは無線で直接呼びかける機能とMP3音源の再生機能を切り替えることができるため、救命活動時と禁止エリアへの立ち入り規制を呼びかける2つの用途で活用できる。
JDRONEはこのほかにも多岐にわたる福島県復興支援や災害対応施策を提供しており、用途に適したドローンの運用に注力していくという。
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