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仲間を求め、ルフィは旅を続けた。だが誰一人仲間が増えることはなかった。隣で蛇のように腕を絡ませ、蛇のように据わった目で瞬きもせずこちらを見つめるオレンジ髪の女は別だ。仲間とかそういうチャチな関係性ではない。確かに繋がりは深いが。色んな意味で。
その日の夜もルフィは泣いた。ナミは慰めた。余計に鳴いた。
翌日、また死にかけたルフィはゴム人間だったお陰で今日も無事生き残れた。必死に船を漕ぎ、陸へと辿り着くと隣で眠るナミを置き去りにして行動しようとしたが物凄い力で腕を掴まれていたので振り解けなかった。力づくでやれば男の彼の方が強いので払えるかもしれないが、流石に女の子には優しくがウタの調k……教育によって身に染み付いているので体が言うことを聞いてくれない。大人しくナミが起きるのを待ち、空を見上げていると後ろから抱きつかれた。ふわりと香るオレンジの甘酸っぱい香り。
ルフィは溜息混じりに非難の視線を向ける。
「ナミ、もういいだろ。おれは海賊王になるんだ。仲間探しに行きてェから離してくれ」
「居なくなったら許さないからね?」
「………………おう」
「はい、もう絶対離してやんないから。このまま仲間探しにいくわよ」
嘘がつけないように躾けられたのが仇になったらしい。ナミを背負ったまま冒険の仲間を見つかることになってしまった。海賊王が没した島、ローグタウン。ナミを背負ったまま歩き続けたが、結局彼の仲間になる者は現れなかった。むしろ接着剤か何かでくっつけられたように絡まれるルフィを見て、不憫なものを見る目を向けられてばかり。女性の方は何やら閃いたと言わんばかりに目を輝かせており、周りにいた男達は捕まることが分かっていながら血相変えて逃げていった。
「収穫ゼロか……」
「ま、私がいるからいいじゃない。航海術だってお手のものよ♡」
「それは助かってるけどさ……でもやっぱ男の仲間も欲しい!」
「いらない。私と一緒にこのまま海賊しよ♡」
「やだ!絶対に仲間見つけてやるからなァ!!!!」
このままでは今夜も乾涸びてしまう天国のようで地獄のような時間が訪れると血眼になって探したがついぞ仲間になってくれる者は現れなかった。体を煙のようにして動く海兵がいたものの、余裕がなくて周りが見えていなかったルフィの代わりにナミが物凄い鬼気迫る顔で追い払った。
その時の彼の顔は何かトラウマを呼び起こしたように膝をガクガクと震わせており、血の気が引いたように顔を青ざめさせていた。
「見つけたぞ、麦わらァ!!!!」
「失せろ!!!!」
「う゛っ」
『船長ぉおぉぉぉおおおおおーーーッ!!!?』
雪辱を果たすとばかりにルフィの前に息巻きながら現れた哀れな海賊の一味達は通り名のようにまさしく道化と化していた。苛立ちのあまり威圧したルフィが無意識のうちに放った不可視の圧力を受け、赤っ鼻ピエロは仰向けに倒れていく。
泡を拭き、白目を剥く船長の姿に一味達は慟哭した。