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富、名声、力。かつて全てを手に入れた男、海賊王ゴールド・ロジャー。彼の死に際に放った一言が世界中の男を震撼させた。
『いいかおまえらよく聞け!おれが遺した財宝を探すよりも一人の女を愛せ!じゃねえとおれみてえに何度も死にかけることになるぜ!……な、なんだ!?お、おまえはルー……お、おれのそばに近寄るなァァァァアアアアーーーッ!!!!』
それでいいのか海賊王と民衆の想いは一致した。その後斬首……とはいかず、一人の女性の手によって連れ去られてしまった。明らかに一般人の身なりではあったが、有無も言わさない迫力に彼を捕らえた者達や処刑を行おうとした男達すら手が出せなかった。なんやかんやあって海賊王がこれまで集めてきた宝が何処かの島に隠されていることが明かされる。
しかし、男達は行方をくらませた海賊王の遺した宝を求め、海に出たはいいものの女への恐怖を植えつけられたことで次々と脱落していった。
「いい男ね、あなた」
「や、やめろ!こっち来るなァ!!!!」
「うふふ、死ぬまで搾り取ってあげる♡」
「こ、困るそれは!俺はワンピースを……んぶっ!?」
「ハァハァ……おもしれー男……っ」
「ひいっ」
「三等分……するね」
「ママー!」
南無三。海賊を取り締まる海軍すら同情するほどの惨状が世界各地で確認されていた。彼らは必死に海賊達を
それでも海賊を目指すものは後を絶たない。彼らは男のロマンを追いかけ、夢を叶えようとする馬鹿達だったからだ。
そしてここにもその馬鹿が一人いた。
「ウ、ウタ?おれは結婚はしねえ!海賊王になるまではそんなことしてる暇はねえんだ!」
海賊王を夢見る少年の名はモンキー・D・ルフィ。まさに夢見る餓鬼といった風貌だが、その意志は揺るがされかけていた。
「なら海賊やめなよ♡わたしがずっとずっとずぅ〜とルフィの隣でお歌をうたってあげる!」
紅白の髪を持つ少女の存在がルフィの心をへし折ろうとしていたからだ。ウタ。ウタウタの実を食べた能力者であり、ウタワールドという夢世界へと何度も連れ去られてはルフィの肌がカサカサになるまで体中を弄られた。いつも瀕死になっていたせいでルフィのスタミナは三日三晩全力疾走しても尽きないほどに成長していた。
「や、やだよ!おれ、海賊王になるもん!」
「だめだよ、シャンクスも言ってたでしょ?おおぜいの女に好かれるより、一人のおんなを愛せって」
「それ今の話とかんけいねえだろ!?」
しなだれかかってくるウタに体を震わせ、距離を取ろうとするが抑え込まれてしまいそのまま押し倒されてしまう。ルフィは必死に首を横に振り、拒絶するがウタには届かない。
「お、おれに何しようとしてんだウタァーーーーッ!!!!」
「いつものこと。ルフィがわたしの言うことを聞いてくれないから悪いんだよ?」
「この……っ!」
「あ、動いたらトットムジるよ?」
ルフィはウタを力づくで押し退けようとしたが、その前に釘を刺されてしまった。大勢の女と火遊びを繰り広げた結果、極上のヤバい女を引っ掛けて行方不明になってしまった船長を目撃してしまい女への恐怖を捨て去りきれない赤髪の男の顔が脳裏を過る。最近は酒を飲みたいがために1人の女性に体を預けていると聞く。ただの噂なのでおそらく信憑性はないだろうが……ルフィにとっては憧れの男なのでないと思いたいが。
話によればべらぼうに強いらしいが、そんな彼でさえウタが発現させた魔王の力というものには太刀打ちできないらしい。発動条件はあるが、逆らえば容赦なく使う気満々である。
ルフィは苦渋の決断をし、男らしく大の字になって目を伏せた。そんな彼へと少しずつ熱っぽい吐息を漏らし、体を重ね合わせてくるウタ。ウタに限らず、結婚をすればこういう営みを強要されるということを風の噂で知った。ルフィは心の中で絶対にウタを含めた女とは結婚しないと心に誓うのだった。
なんかふと思いついた。箸休め的なアレ。