とある別荘地の山荘で、火災が発生。
その焼け跡から出てきたのは…男性5人、女性5人、合わせて10人の遺体。
火災現場となった山荘は密室。
しかも、誰一人として逃げ出そうとした形跡はなし。
殺人?事故?無理心中?
様々な憶測が飛び交う謎だらけの事件。
その結果、巻き起こったのは…事件の真相を紐解こうとする者たちの推理合戦。
日本中に広がり、『国民総探偵』ともいうべき現象を生んだ、この事件。
当時の警察関係者が書いた書籍と当時の報道をもとに、その真相に迫る!!
第一発見者の通報を受け、警察はすぐに捜査を開始した。
犠牲者の一人は、山川康夫(仮名)、42歳。
この山荘の持ち主であり、妻子がいる金融会社の社員だった。
次が、室井真由美(仮名)、47歳。
山荘を建築した工務店の専務で、シングルマザーでもあった。
そして、志田香織(仮名)、32歳。
自身が経営するスナックのママで、山川と室井はこの店の常連だった。
さらに、同店でマスターを務める奥村をはじめ…ホステスやバーテンとして働く20代の従業員6人。 以上の計10人がこの火災で犠牲となった。
火災発生2日前の 午後10時頃。
山川と室井は、香織ママのスナックに来店。
ママや他の従業員らと共に楽しく酒を酌み交わしていた。
そして、日付が変わった頃…スナックが閉店時間になると、山川と室井、そして香織ママは、飲み直すために隣接する飲食店に移動。
さらに、店の掃除を終えたスナックの他の従業員もやって来て、しばらく酒を飲んでいた。
午前1時30分頃、山川の山荘で飲み直すため、10人はタクシーに乗り込み、飲食店を出発。
その際、飲食店で購入した、おにぎりと酒を携えて行った。
そして30分後の午前2時頃、山荘に到着し、10人は中に入って行ったと、タクシー運転手が証言している。
丸1日が過ぎ、火災当日の午前10時30分頃。
室井が専務を務める工務店の大工が、仕事で彼女に用事があったため、山荘を訪れた。
声をかけたものの、応答はなかった。
窓から中を覗くと、タバコの煙らしきものが見えたという。
その後も中からの応答はなかったため、引き返した。
だが、およそ30分後、再び訪れると…山荘は炎に包まれていた。
かなり激しく燃えていたため、火元がどこかは分からなかった。
だが、キッチンが一番激しく燃えていた。
通常、火災が起きれば、逃げようとするものだが…遺体は玄関から離れた位置で発見されていた。
またこれほどの火災で10人全員が気づかずに寝ていたとも考えにくい。
キッチンが一番激しく燃えている事は分かったが、奇妙なことに、コンロを使用した形跡もなく、火元となるものが一切見当たらなかった。
さらに…10人の遺体のうち2体の頭部にだけ、外傷と思しき傷があった。
火災現場から見つかった男女10人の遺体。
山荘到着から火災発生まで、30時間を超える空白。
そして、2つの遺体の頭部にあった損傷。
多くの謎に包まれたこの事件を新聞各社は大々的に報じた。
そして、なぜ10人が亡くなったのか?
その事実を掴もうと、警察や記者たちによる聞き込み合戦が開始される。
すると、事件の真相に迫る、幾つもの説が浮かび上がってきたのである。
第一発見者の大工は、警察にこう証言していた。
「山川さんの山荘は、室井さんが担当したのですが、完成後、彼女はよくあの山荘に行っていたんです。」
そこで、新聞記者たちは、室井が務めていた工務店の関係者などに取材を行った。
すると、山川と室井は不倫関係にあったことが判明。
さらに山川は、勤務先の社長とも愛人関係にあったという。
室井を巡る男女の三角関係。
取材で得られたこうした情報は、すぐさま新聞各紙で報じられた。
さらに、別の新聞社では…マスターの奥村とホステスの恵美は恋人同士だったが、両親に交際を反対されてショックを受けた恵美が自殺未遂を起こしていたことを調べ上げた。
事件の裏側で起こっていた若い女性の自殺未遂。
取材で明らかとなったこうした事実もまた、全国に報じられた。
山川と室井、そしてマスターとホステス。
男女の恋愛が背景にあったことにより、こんな推理がなされた。
仮に犯人をホステスの恵美だったとすると…本当は恋仲の相手と自分だけで死のうと思ったが、大人数いる中では、それが出来ず、全員を巻き添えにしようと考え、毒物で殺害。
だが、自分だけが死にきれず、翌朝、目を覚ますと他の9人は死んでいる…その無惨な光景を見て錯乱状態になり、山荘に火を放った。
しかし検死の結果、10人は全員、火災が発生する前に亡くなっていたことが判明した。
死亡推定時刻は、12日の午前5時前後。
山荘に到着したのは、12日の午前2時、その3時間後には全員死亡していたのだ。
火災が発生したのは13日の午前11時頃。
亡くなって、30時間経ってから火災が起きていたのだ。
健康な男女10人が不可解な死を遂げた山荘事件。 そのナゾを解くべく…推理作家に話を聞く新聞社まで現れ、推理作家の説も記事として発表された。 これに負けじと、他の新聞社も推理作家に見解を求め…その推理も大きく紙面を飾った。
さらに、ある新聞に一般人の見解も記事として掲載された。
その見出しは…『私はこう推理する』。
実は、この頃になると、日本中の推理マニアが事件の謎を解こうと推理合戦を行い、『一億総推理の秋』と呼ばれる程になっていた。
事態は日本中を巻き込んだ大騒動へと発展していった。
警察は事件解決のため、当初から警察庁科学警察研究所と協力体制を敷いていた。
火災現場の写真を見た、警察庁科学警察研究所の所員は、風呂場が出火元かもしれないと考えた。
再度、現場を調べてみると、火災現場に残っていた浴槽に水は溜まっていなかった。
しかし他と比べ、浴槽の底に付着した煤の量が少なかったことから、一度湯が張られていた事が判明した。
やはり、出火元は風呂場の可能性が高い…それを証明する方法が一つだけあるという。
事件の真相を紐解くべく警察が行った事、それは…なんと、山荘とそっくりそのまま同じ建物を建て、火災を再現したのだ!
開始から3時間、火は上がっていなかったが…計器が異変を探知。
そしてその翌日。
ついに…火災が発生!
実験開始から33時間後のことだった。
実は警察は、火災現場の写真から、ある推測を立てていた。
山荘の外壁にプロパンガスのボンベが設置されていた。
さらに、現場検証でボンベの中身は空だったことが判明していた。
つまり、ガスが使用されていたという事。
当時は、プロパンガスが普及し始めた頃であり、それを利用して風呂の湯を熱するシステムが定着しつつあった。 外に設置されたボンベから、バスルームにある風呂釜にガスを送る。 そのガスによって、風呂釜のガスバーナーに火を点ける。 そして、浴槽と繋がったパイプを温めて、パイプ内の水を湯に変えるという仕組みであった。
風呂場のガス栓は開いていたことは判明している。
10人が死亡した原因は、風呂場での不完全燃焼による一酸化炭素中毒死の可能性が高い。
彼らが一酸化炭素中毒で亡くなったのであれば、死亡推定時刻から30時間後に火災が発生したことの説明も付くという。
そして、これらを証明すべく、警察は山荘を再現し、実験を行なった。
その結果、ついに事件の全貌が明らかとなったのだ。
9月12日午前2時頃、10人は山川の山荘に到着。
バスルームの風呂釜のガス栓を開き…ガスバーナーに火を点けた。
そして、何人かは風呂に入ったと思われる。
10人は到着前から、すでに酒に酔っていた。
そのため…間も無く、眠りについたと推測される。
だが、風呂釜のガス栓は開いたまま、ガスバーナーの火も消し忘れていた。
実は、業者の手違いで、山荘に設置されていたのは、家庭用ではなく業務用のボンベだった。
これにより…通常よりも高圧のガスが、家庭用の風呂釜に送られた結果、酸素が足りなくなり、ガスバーナーの炎は著しい不完全燃焼状態になり、風呂釜のガスバーナーから多量の一酸化炭素が放出されることとなった。
風呂場には、窓など換気設備もなかった。 しかも扉は閉まっていなかったため、一酸化炭素は風呂場から山荘内へ。 この時、建物の窓は全て閉められていた。 つまり、密閉された状態。 そのため、風呂場から流れた一酸化炭素は、室内に充満。 10人は眠っている間に、一酸化炭素中毒で死亡した。
無論、その後もガスバーナーは火が灯ったまま。
それにより、浴槽内のお湯は沸騰し続け、徐々に蒸発、どんどん量が減っていった。
火災発生日の朝方には、浴槽内の湯の水面は風呂釜と繋がるパイプの口よりも下がった。
だが、ガスバーナーは燃え続けているため、パイプが空焚き状態に。
その結果、風呂釜から出火した。
これが、10人が死亡し、そのおよそ30時間後に火災が発生した事故の真実であった。
そして、この結果を機に推理合戦も終わりを迎えた。
しかし疑問は残る。
なぜ風呂場ではなく、台所が一番燃えていたのか?
そしてなぜ…遺体の頭部に損傷があったのか?
果たしてその理由とは?
山川の妻の証言によれば、火災の一ヶ月前、彼は家族と山荘を訪れた。
その際、台所の床が汚れていたため、ベンジンという液体で掃除をしたという。
ベンジンは揮発性が高く引火しやすい液体。
それを置きっぱなしにしていたため、風呂場から回った炎が、台所で一番激しく燃えたのであった。
あの時、大工が見たのは、タバコではなく、風呂場から出た煙の一部だと考えられた。
そして、火は当時の気象条件なども相まって、わずか30分ほどで山荘を焼き尽くした。
また、残された最後のナゾ、2つの遺体に見られた頭部の損傷は、その後の検証で、燃え落ちた柱などが直撃したためだと断定された。
男女10人が遺体で見つかり、多くの謎に包まれていたため、日本中で推理合戦が繰り広げられた不可解な火災。
警察が山荘を再現してまで突き止めた真相、それは不注意と偶然が重なり、起こった不幸な事故だった。
砂漠にたたずむ巨大な鏡!▽世界最大!人工滝▽絶叫!巨大ブランコ▽映画フラガールの原点!東北にハワイを作る…大人気となった大型レジャー施設の誕生秘話も!
「奇跡体験!アンビリバボー」は、視聴者の皆様からのミステリー情報、ミラクル情報、また、アンビリバボーな写真やVTRも募集しております。(写真・VTRは郵送のみ)
他にも、
・「むつ小川原国家石油備蓄基地開発事業記念」と刻印されたコインに関する情報
・日本全国に点在する「心霊スポット」情報
・「タイムカプセルポスト」に投函された方の「時を超えた手紙」に込められた様々な物語
・あなたの身近にあるヘンなもの
も同時募集しております。
郵送の方は
〒119-0188
フジテレビ「奇跡体験!アンビリバボー」係
までお送りください。
※送付頂いた手紙・作品などは、返却できません。
ご了承ください。 >>ホームページからの応募はこちら
※ご応募いただいた情報については利用目的をご覧下さい。
共有する