「自分が生きる時代を代表する美術を展望するには、一級の作品が揃っていなければ本当の意味で説得力はない」と語ったベルクグリューンは、画商としての経験と人脈を活かしながら、自身の嗜好と鑑識眼をたのみに収集を続けました。すべてのコレクターのお手本ともいえる、作品収集への情熱と研ぎ澄まされた審美眼による粒よりのコレクションを、一堂に展観します。
ベルリン国立美術館群のひとつであるベルクグリューン美術館の改修に伴い、初めて主要作品がまとまった形で国外に貸し出される本展は、貴重な展示の機会です。
同時代の最大の画家としてピカソに心酔していたベルクグリューンは、画家本人とも交流しながら、作品の収集に没頭し、コレクションを拡大させました。本展出品作のうち、日本初公開35点を含む約半数がピカソの作品という充実したヴォリュームによって、ピカソの画業の各時代を代表する名品を紹介します。
作品を購入すると、ベルクグリューンはアンティークの額を探し出して組み合わせました。こだわりのアンティークの額縁とのユニークな組み合わせにも注目です。
ハインツ・ベルクグリューンは1914年にベルリンでユダヤ人の家庭に生まれますが、1936年、ナチス政権の抑圧を逃れてアメリカに渡り、フリーの美術ジャーナリストとして活動した後、サンフランシスコ美術館に勤務。第二次世界大戦従軍後は、パリで画廊を開き、やがて世界的な画商となります。作品のみならず芸術家の人となりにも深い関心を持ち、ピカソ、マティスなどの作家や詩人、文学者と親交を深めます。自分の心に適う限られた作家の作品収集に専念し、一貫性のある個性豊かなコレクションを作り上げました。
コレクションはジュネーヴ美術博物館、ロンドン・ナショナル・ギャラリーで展示された後、東西ドイツの統一を背景として、1996年からベルリンのシャルロッテンブルク宮殿に面した建物で公開されました。その圧倒的な成功を受け、主要作品は2000年にドイツ政府とベルリン市の資金援助によりベルリン・ナショナルギャラリーに収蔵されますが、これは同国の美術館史上最も高額な購入のひとつです。2004年には彼の90歳を記念しベルクグリューン美術館と改称、ベルリン国立美術館群のひとつとして、またヨーロッパの重要なモダンアートの展示紹介の場として活動しています。
2007年にベルクグリューンが他界した後も、遺族が美術館への支援を続け、多数の作品を寄託しています。