2023年という年は、日本のウイスキーにとっては記念すべき年になります。
それは、サントリーが初めて日本産のウイスキーを製造するための蒸溜所を建設して100年という年に当たるのです。まさに日本のウイスキー製造が本格始動してから100年となるわけです。
1923年に、当時壽屋と言う社名だったサントリーが、モルティングからもろみの醸造、蒸溜、オーク樽への貯蔵、熟成を行う、日本初の本格的なウイスキーを製造する蒸溜所、山崎蒸溜所を建設しました。
今回はその歴史と、そこから生まれた最初のボトルの後継であるウイスキーをレビューしたいと思います。
その中で、海外からウイスキーと言われるものを輸入したものの、中身はただのアルコールという粗悪なものでした。それを長らくワイン樽に入れて保管をしていました。
しばらく後に樽の中のアルコールを見ると、熟成されて琥珀色に変化していて、樽の成分を含んで香りや味わいが良くなっていることに気付きました。
鳥井はこのアルコールを「トリス」の名前で、ウイスキーとして販売したところ、一気に売れたそうです。
これをきっかけに、鳥井は本格的にウイスキーを商品にしようと考えるようになりました。
国産ウイスキーを製造するための蒸溜所を建設するに当たり、当初はスコットランドから技師を招聘する予定でしたが、そんな中で、赤玉ポートワインの製造で提携していた摂津酒造からのつてで、スコットランドでウイスキー留学をしていた竹鶴政孝が日本にいると聞き、彼を10年契約で招聘することとなりました。
竹鶴は当初、スコットランドの気候に近い北海道で製造を行うのが望ましいという意見でしたが、大正末期においては、壽屋の本社のある大阪までの原酒の輸送には海運を使うしかなく、莫大なコストがかかる理由で、鳥井は大阪近辺を希望しました。
その条件の中、竹鶴が見つけたのが、かつて千利休も茶室を置いて気に入ったほどの名水の地、水生野(みなせの)が近くにあり、木津川、宇治川、桂川の3つの川が合流して淀川となる箇所で多湿な気候に成り易い、大阪府島本町山崎に建設を提案、鳥井も承認しました。
同年にはポットスチルをはじめとした機器も導入され、山崎蒸溜所が竣工しました。
翌1924年から本格的な製造が開始されました。
その後最初に発売されたのが1929年の「白札」でした。
今の感覚であれば、最大5年熟成の原酒を使っているため、さほど悪くは感じないように思われますが、当時の鳥井と竹鶴は原酒の出来に不満があり、更なる熟成を望んでいたようです。
しかし数年間販売されないことに、当時の壽屋の株主らが不満を上げ、渋々発売に踏み切ったようです。
ところが、原酒の熟成の度合いが良くなかったことと、竹鶴が本格的なスコッチウイスキーに近いものを目指したために、ピートからのスモーキーさが強めのものであったらしく、顧客からは不評が多く、白札は失敗作となってしまいました。
後々壽屋は、日本人の舌にマッチするようブレンドされ、1937年に販売した「サントリーウヰスキー12年」(現:角瓶)のヒットによって波に乗っていき、白札もブレンドを改めていき、よりマイルドなブレンドへと変化したようです。
そして1962年に「サントリーホワイト」と改められ、現在に至ります。
サントリーホワイトは1989年までは1級ウイスキーとして売られ、サミー・デイヴィスJr.などのアメリカ人アーティストをCMに起用して、比較的若い人をターゲットにしたようです。
サントリーホワイトは酒屋さんでも取り扱うところがあまり多くないため、見かけることは少ないかも知れません。
液色は少し薄めの琥珀色です。
味わいは、アルコールからの辛みが強めで、後から酸味、苦みがやってきます。
味わいは、多少の苦みがあるものの、全体的に甘さが強く、ほんのり酸味も感じられます。
味わいは、苦みが目立ちますが、後から甘味が続きます。
しかしロックやハイボールでは香りの広がりが目立つようになり、十分楽しめるものになります。
昔のウイスキーだとストレートで飲む人が少なかったので、加水してバランスが良くなるブレンドにしたのは十分あり得る話です。
とはいえ、同社のトリスやサントリーレッドなどの1000円以下のラインナップに比べれば十分香りも味もワンランク上で、角瓶とも渡り合えるものになっています。
640mL、アルコール度数40度、価格は1100円ほどです。
酒屋さんでも置いているところがそれほど多くはないので、見つけたら一度購入して飲んでみる価値はあるでしょう。
それは、サントリーが初めて日本産のウイスキーを製造するための蒸溜所を建設して100年という年に当たるのです。まさに日本のウイスキー製造が本格始動してから100年となるわけです。
1923年に、当時壽屋と言う社名だったサントリーが、モルティングからもろみの醸造、蒸溜、オーク樽への貯蔵、熟成を行う、日本初の本格的なウイスキーを製造する蒸溜所、山崎蒸溜所を建設しました。
今回はその歴史と、そこから生まれた最初のボトルの後継であるウイスキーをレビューしたいと思います。
熟成した模造アルコールがウイスキー製造のきっかけに
サントリーの創業者の鳥井信治郎は、洋酒を中心にした商店として運営し、輸入ワインに甘味料などを加えて調整した赤玉ポートワイン(現:赤玉スイートワイン)で大成功を収めていました。その中で、海外からウイスキーと言われるものを輸入したものの、中身はただのアルコールという粗悪なものでした。それを長らくワイン樽に入れて保管をしていました。
しばらく後に樽の中のアルコールを見ると、熟成されて琥珀色に変化していて、樽の成分を含んで香りや味わいが良くなっていることに気付きました。
鳥井はこのアルコールを「トリス」の名前で、ウイスキーとして販売したところ、一気に売れたそうです。
これをきっかけに、鳥井は本格的にウイスキーを商品にしようと考えるようになりました。
竹鶴政孝との出会い
国産ウイスキーを製造するための蒸溜所を建設するに当たり、当初はスコットランドから技師を招聘する予定でしたが、そんな中で、赤玉ポートワインの製造で提携していた摂津酒造からのつてで、スコットランドでウイスキー留学をしていた竹鶴政孝が日本にいると聞き、彼を10年契約で招聘することとなりました。
山崎蒸溜所の誕生
そして今から100年前の1923年、鳥井と竹鶴はウイスキー製造のための蒸溜所建設の場所を選定し始めました。竹鶴は当初、スコットランドの気候に近い北海道で製造を行うのが望ましいという意見でしたが、大正末期においては、壽屋の本社のある大阪までの原酒の輸送には海運を使うしかなく、莫大なコストがかかる理由で、鳥井は大阪近辺を希望しました。
その条件の中、竹鶴が見つけたのが、かつて千利休も茶室を置いて気に入ったほどの名水の地、水生野(みなせの)が近くにあり、木津川、宇治川、桂川の3つの川が合流して淀川となる箇所で多湿な気候に成り易い、大阪府島本町山崎に建設を提案、鳥井も承認しました。
同年にはポットスチルをはじめとした機器も導入され、山崎蒸溜所が竣工しました。
翌1924年から本格的な製造が開始されました。
国産ウイスキー第一号は失敗作だった?
今の感覚であれば、最大5年熟成の原酒を使っているため、さほど悪くは感じないように思われますが、当時の鳥井と竹鶴は原酒の出来に不満があり、更なる熟成を望んでいたようです。
しかし数年間販売されないことに、当時の壽屋の株主らが不満を上げ、渋々発売に踏み切ったようです。
ところが、原酒の熟成の度合いが良くなかったことと、竹鶴が本格的なスコッチウイスキーに近いものを目指したために、ピートからのスモーキーさが強めのものであったらしく、顧客からは不評が多く、白札は失敗作となってしまいました。
後々壽屋は、日本人の舌にマッチするようブレンドされ、1937年に販売した「サントリーウヰスキー12年」(現:角瓶)のヒットによって波に乗っていき、白札もブレンドを改めていき、よりマイルドなブレンドへと変化したようです。
そして1962年に「サントリーホワイト」と改められ、現在に至ります。
サントリーホワイトは1989年までは1級ウイスキーとして売られ、サミー・デイヴィスJr.などのアメリカ人アーティストをCMに起用して、比較的若い人をターゲットにしたようです。
サントリーホワイトは酒屋さんでも取り扱うところがあまり多くないため、見かけることは少ないかも知れません。
サントリーホワイトをテイスティング
グラスからの香り、液色
グラスからはカラメル、レーズン、リンゴの香りがします。液色は少し薄めの琥珀色です。
ストレート
カラメルの香りがメインで、後からリンゴ、レーズン、カカオ、ピートと続きます。味わいは、アルコールからの辛みが強めで、後から酸味、苦みがやってきます。
ロック
レーズンの香りが強く広がり、軽いピートの香りの後にリンゴ、カラメル、ミルクチョコ、バニラが続きます。味わいは、多少の苦みがあるものの、全体的に甘さが強く、ほんのり酸味も感じられます。
ハイボール
レーズン、リンゴ、カラメル、バニラの香りが続きます。奥から軽くスモーキーさもあります。味わいは、苦みが目立ちますが、後から甘味が続きます。
加水でブレンドの良さが生きてくる
ストレートだと熟成の短さが明確なほどアルコール感が強く、香りもあまり開きません。しかしロックやハイボールでは香りの広がりが目立つようになり、十分楽しめるものになります。
昔のウイスキーだとストレートで飲む人が少なかったので、加水してバランスが良くなるブレンドにしたのは十分あり得る話です。
とはいえ、同社のトリスやサントリーレッドなどの1000円以下のラインナップに比べれば十分香りも味もワンランク上で、角瓶とも渡り合えるものになっています。
640mL、アルコール度数40度、価格は1100円ほどです。
酒屋さんでも置いているところがそれほど多くはないので、見つけたら一度購入して飲んでみる価値はあるでしょう。
<個人的評価>
- 香り C: 加水により、レーズン、リンゴ、ピート、カカオ、バニラの香りが広がる。
- 味わい C: 苦みが多少目立つが、酸味の後に甘さが続く。
- 総評 C: 比較的手頃だがロックで飲んでも十分楽しめるコスパの良さを感じる。