予想はしていた。
9月の時点でもっているなぁと思っていた
が、やはり来た。
コロナ蔓延まで破竹の勢いだった川崎重工
二輪車部門は、コロナ禍で一気に谷底に
転落した。
これは・・・と思ってはいたが、やはり
こうなった。
川重は本陣のみを守るために戦線を切り
捨てた。
新部門設立ではなく分社である。連結決算
は望めない。仮に二輪車部門がV字再生を
したならば、また川重に合併することだ
ろう。今は一旦カワサキ二輪車部門は川崎
重工からは「切る」ということだ。
二輪車を作りたいならば、別会社にするから
勝手に作れ、というのが実体であり、現地
製造拠点の声を迅速に反映して開発強化を
目指すなどというのはお為ごかしである
ことは見えている。大企業による不採算部門
切り捨ての時の理由はいつも「強化を目指す」
という表向きの文言を呈する。本社資本が
まだ及んでいたならば、その独立させた
分社を企業売却等で売り飛ばしてそれの
利益を損失の補填にすることなどは平気
で行なう。電車や特装車を作っていた
東急車輛がそうだった。東急電鉄はいと
も簡単に東急車輛を売却し、新明和工業
とJR東日本が分割して製造ルートとシス
テムを購入した。企業体としての東急車輛
はこの世から消滅した。東急電鉄の車両
さえも東急自身の製造ではなく別会社
から購入ということになる。そうまで
しても、不採算部門は切り捨てたかった。
企業売却金額はたった20億円ほどだった。
現在、カワサキの二輪車は生産されて
いない。ドル箱の旧第三世界=新興国
での需要が見込めないからだ。
二輪部門は努力している。
11月からは新型オフロード車KLX230の
1台を申し込み者にプレゼントする企画や
新車KLX230の5万円クーポンなどを申込者
に抽選で提供する等の国内での起死回生
企画を打ち出した。
だが、巨大企業の川崎重工は二輪車部門
の独立切り離しを決断した。
理由は「企業の論理」だ。
不採算部門は閉鎖廃止廃業する。
このままでは、近い将来、地球上から
「カワサキ」というメーカーは消滅する
かもしれない。
二輪車部門が独立し、それでも巨額赤字
が続くならば、独立しようがしまいが
経営は成り立たない。
すると、例えば外国資本等がカワサキ
二輪車部門を買収したとする。
そうなると、「カワサキ」とは重工は
名乗らせないだろう。
「カワサキ」のオートバイは地球上から
消滅するかも知れない。
かつて30年程前、川崎重工がカワサキ
二輪車部門を廃止しようとした時に
二輪車部門の開発チームは「ゼファー
400」という時代に逆行するモデル
をあえて登場させた。日本の西方の
神戸の土地=カワサキの本拠地から
西の神風が吹け、との願いでゼピュロス
の英語呼称である「ゼファー」という
ネーミングを既存モデルが米国にある
ため呼称にロイヤリティを支払って
までも「西の神風」という名称にこだ
わって登場させた。
ゼファーは地球上のオートバイの歴史
を根底から転換させた。
低出力のネイキッドバイクがカウル付
SS主流の世界の趨勢の中で一つの新
カテゴリーとして確立した。
そして爆発的に売れた。
その利益は、川崎重工をして二輪車
部門を廃止することを諦めせしめた。
今回は同じ巨額赤字でも四半世紀以上
前の危機とは実態が異なる。
分離独立化は川崎重工本社の決定事項
なのだ。
地球上からこの先「カワサキ」が消滅
することは大いにありうる。
世界第一の売り上げの二輪メーカーが
本社母体から切り捨てられたのである。
国産の他3社、ホンダ、ヤマハ、スズキ
の動向が注目される。
カワサキはカワサキで残ってほしいが、
最悪、外国資本に株式がすべて取得
されるくらいなら、いっそスズキあたり
と合併して、スズキになったほうが
ましのようにも思える。名前も異なる
海外メーカーになる位ならば。
スズキとの合併とかのウルトラ変化球
でも投げない限り、カワサキの未来は
真っ暗闇だ。
いくら現場の二輪開発者や営業たち
が頑張っていても、資本は金融資本
が結局は牛耳っているので、不採算
の部門は銀行が融資しない。
つまり金主は利益のみが目的なので、
世界から一つのメーカーが消滅しよう
が、そんなことはお構いなしだ。
銀行をはじめとする金融独占資本と
いうものはそういうものだ。
しかし、中国あたりに買い取られる
くらいならば、スズキと合体した
ほうが、個人的にはマシに思っている。
頑張れカワサキ!
とは口に出しては言えない。
メーカーの人間たちは新入社員の末端
に至るまで、頑張りすぎるほどに頑張っ
ているのは分り切っているからだ。
車両製造メーカーとは常にそれだ。
カワサキにゼファー登場の時以上の
歴史的な最大の危機が訪れている。
声には出さないが心の中で叫びたい。
「がんばれ。カワサキの従業員の人たち」
と。