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(めぐみ)何やってんの?
(舞)ねじの勉強してる。今?うん。
そら偉いけど… 遅刻すんで。
行ってきます。あっ やば!
ちょっと待って!
行ってきます!
あっ 携帯忘れた!
ちょっと待って!
♪~
♪「公園の落ち葉が舞って」
♪「飛び方を教えてくれている」
♪「親切にどうも」
♪「僕もそんなふうに」
♪「軽やかでいられたら」
♪「横切った猫に」
♪「不安を打ち明けながら」
♪「ああ 君に会いたくなる」
♪「どんな言葉が 願いが景色が」
♪「君を笑顔に幸せにするだろう」
♪「地図なんかないけど歩いて探して」
♪「君に渡せたらいい」
♪~
藤沢君 ちょっと来て。(藤沢)はい。
(藤沢)はい。これな斑鳩商事さんの出荷のねじの売り上げデータなんやけど担当は 藤沢君… やよね?はい…。
単価が安すぎんねんわ。
売れば売るほど 赤字になってるやんか。
ここ営業行ったんは…リーマンで うちの仕事ガクンと減った時で…。
なんとかせなって焦ってて…。
もうけ少なくても仕事ゼロよりは マシや思て…。
すいませんでした。
(めぐみ)済んだことは しゃあないやん。
これから どないするか考えよ。 なっ。
リーマンショックのあと安く引き受けた仕事が 赤字を生み会社の経営を圧迫していました。
お疲れさんです。
何かありました?
ああ… 俺のせいで赤字に…。
(笠巻)見つかったか?
はい。 これですよね?ああ せやせや。
これ 太陽光発電の…。うん。 そや。
はあ… まだ捨ててへんかったんですか。これで うちの会社はえらい目に遭うたのに。
せやな。 けどな うちの技術はこのねじに凝縮されてんねん。
見てみ この厳しい加工。
これな IWAKURAやから できたんやで。
2ダイ3ブローでな。
素材を 2回押し込んで3回打ちつける機械ですよね。
ああ せや。 よう覚えとるやん。フフ… はい。
あの このねじ もろてもよろしいですか?
ええけど どないすんねん。
営業です。 これ持ってったらIWAKURAの技術が どんだけすごいか分かってもらえるかな思て。ああ… せやな。
持っていき。ありがとうございます!
この完成品 持っていき。え?
こっちはな 秘密や。分かりました。
この特殊ねじの値段にはこの金型代が ものすご影響する。藤沢は ここを甘う見積もったせえで赤字出してしもたんやな。
今は このねじ 一本3円80銭で斑鳩さんに売ってんねんけどこれ 金型一つで 何本できます?
土屋 どうや。
(土屋)5万本てとこっすか?せや。 よう見てるがな 現場。
金型代が 6万円やから…一本当たり 金型代だけで1円20銭かかってるてことですね。
せやな。それに 固定費やら材料費やら足したら…。
4円50銭にする!え?
斑鳩さんのねじ。
4円50銭で売って 利益出すわ。
けど 値上げ受け入れてくれはるやろか…。
そら 簡単やないやろけど…。
しっかり交渉してくるわ。
私も もっかいカワチ鋲螺さんのとこ行ってくる。うん。
あんな…心強い味方…もろたんや。そのねじ…。
よっしゃ 行こか!行こ!フフフフフ。
行ってきます!行ってきます!
こちらは 太陽光発電の機械のために作ったねじなんです。
うちでは この形状を 2ダイ3ブローで加工することができます。
そやから 価格も安く抑えられるんです。(森本)なるほど。
それにこれ 頭の部分が非常に大きくてねじが極端に短いですよね?
こういう製品ってバランスが悪すぎるから丸ダイスで 一本一本 加工する会社が多いんですけどIWAKURAは 独自技術を加えて生産性の高い平ダイスで加工することができるんです。
独自技術?それは… 秘密です。
よう分かりました。
勉強しはったんですな。はい。
せやけど お願いできる仕事はあれへんのですわ。
あの どうかお願いします。
どんな小さい仕事でも かまいません!
精いっぱい やらせてもらいますんで。
(浩太)そこをなんとかお願いしますわ。どんな仕事でも やらしてもらいますんで。
何や あんたのお父さん 思い出しますわ。
あの… このとおり品質は どこの会社にも負けてません。
精いっぱい頑張りますんで なんとか…。
お願いします。
すんません。
♪~
(飛行機の音)
♪~
これまでどおりの価格でお売りすんのはホンマに無理なんです。
これからは 一本4円50銭にさしてもらえませんやろか…。
(香川)急に そないなこと言われてもな。
ああ どうぞ。あ…。
そもそも 藤沢君がこの値段でお願いしますて頼み込むさかいやな お受けしたわけで…。
そうでしたな?
奥さんが社長さんになりはったって聞いてどこまでやりはるもんか期待してましたんやけどな。
それがなぁ…いきなり値上げの申し入れですか。
やっぱり 主婦が家計見直すみたいなことしかできはれへんのやねぇ。
主婦が 家庭守るように社長は 会社守らなあきません。
材料費が高騰してる今この値段のまま取り引きしてたら会社を危険にさらすことになります。
あと3か月 今のままやらしてもらいます。
その間に 4円50銭より安う作れる会社お探しになれたらそちらに頼んでいただいて結構です。
けど そんな会社ありますやろか?
もちろん 一方的に値上げをお願いするつもりはありません。
今後 御社から新しいご依頼を頂いた際には設計段階でコスト的にメリットのある提案をプラスアルファでさしてもらいます。
新しい価格は 弊社の職人たちが持つ高い技術への正当な対価やと思うております。
どうかよろしくお願い申し上げます。
よろしくお願い申し上げます。かっこよかったぁ!
「主婦が 家庭を守るように社長は 会社を守らなあきません」。言われた相手の顔 見せたかったなぁ。
そんでね 「うちの職人らが持っとる高い技術への正当な対価じゃ。ワレ 文句あんのけ」て。
(垣内)ワレ…?いや 奥さん そんな柄悪ないやろ。
まあ 一歩も引かんとパシッと決めてくれはったんです。
(相良)ふ~ん 奥さんがなぁ…。
(藤沢)ホンマにかっこよかったんですよ!いや… ちょ もう… ホンマなんですって。ねえねえ ねえねえ。
ただいま戻りました。
お帰り。お帰りなさい。
仕事取れたん?ううん 全然。
ほんなら何で そんなに うれしそうなんですか?
何もないです。
℡
はい IWAKURAです。ああ お世話になっております。
はい ただいま代わります。
お嬢さん。はい。
カワチ鋲螺の森本さんです。ありがとうございます。
お電話代わりました 岩倉です。
先ほどは ありがとうございました。
え…?
そやから IWAKURAさんに見積もりをお願いしたいんです。
薄型テレビに使う ねじなんですけどね。
ホンマですか?℡(森本)ええ。とりあえず 図面 見てもらえますか?
あ… ありがとうございます!
すぐ伺いますんで!はい 失礼いたします。
舞?
仕事 もらえるかも。
ホンマに?
よっしゃ!マジ!?
はい!
あ… ほな…。
もっぺん行ってきます!行ってらっしゃい!
行ってらっしゃい! ほれ 藤沢君も!ああ そうか。
(めぐみ)ああ… よっしゃ オーケー!