「怒号、殴り合いは日常茶飯事だった」…デビュー作で監督を殴った小沢仁志。フィリピンでの命がけの撮影、ニューハーフからの助言…伝説の修羅場を明かす
還暦記念の主演映画『BAD CITY』(1月20日全国公開)で、壮絶アクションを見せる小沢仁志。インタビュー後編では、40年のキャリアと人生最大の危機、理想の死に様などを語り尽くす。
俳優・小沢仁志 インタビュー後編
紙袋8個分のカネを持ってスラム街を歩いた
1980年代後半から、東映が「Vシネマ」を製作するようになると、小沢は哀川翔、白竜、竹内力とともに「Vシネ四天王」と呼ばれるように。
そして1990年代、『SCORE』などでプロデューサーや監督業に進出。何千万円という製作費を持って、海外に渡っていたという。
「当時のフィリピンでは、ブラックマーケットで換金したほうがトクだったんだ。それでリュックサックに何千万も詰め込んで、スラム街のディスコの2階にあるマフィアの事務所みたいなとこに行ったら、大きな紙袋8袋分のペソになった。
そんなん持ってスラム街歩いたら、『どうぞ殺してください』って感じやろ? だからマシンガン持ってるマフィアに、『俺と一緒にタクシーまで歩いてくれ。あと、俺に銃2丁くれ』って言って、スラム街のど真ん中を歩いた(笑)」
『悪党ジョーカー』(写真上、2007年/室賀厚監督)、『太陽が弾ける日』(写真下、2007年/横井健司監督)などフィリピンでの撮影も多い 写真提供/小沢仁志
数々の修羅場をくぐり抜けてきたという小沢だが、2000年代に入ってファンを驚かせたのが、バラエティ解禁だ。破天荒な逸話と「ディズニー好き」といった意外性のある素顔がウケ、お茶の間の人気者になった。
「Vシネ界は反社との付き合いが噂されたりして、イメージが最悪なわけ。芸能事務所からも、『ウチの役者は出しません』と断られまくる。だからイメージを変えて、後輩たちに真っ白いバトンを渡さないといけないと思った。
でも、芸人さんたちみたいにしゃべれるか不安でさ。背中を押してくれたのは、当時俺が片思いしていたニューハーフ。『だいたいでいいんじゃない?』って言われて、『だいたいでいいなら、できるかも』と思えたんだ」
『実録・絶縁』(写真上、2000年/石原興監督)、『愛しのOYAJI』(写真下、2007年/三石史郎監督) 写真提供/小沢仁志
2013年には、極道モノのVシネマ『日本統一』を企画。当初はDVDが主戦場だったが、動画配信サービスの台頭とともに人気に火がつき、今では50作を超えて、劇場版や地上波連ドラ版なども製作されている。
「俺らの下の世代を育てないと、ヤクザ映画が作れなくなる。そう考えて、(本宮)泰風とヤマ(山口祥行)をスターにしようと始めたのが『日本統一』。翔さんたちもサポートしてくれて波に乗ったけど、20作目ぐらいのときに、メーカーがやめようと言い始めたんだ。
そのとき泰風が『もうちょっとやらしてください』と頭を下げた。あの時点で泰風のもんだと思ってるから、そこから俺は一切口を出してない。そうしたら30作目ぐらいから配信が始まってバケたんだ。
これは理由があってね。DVDの時代はレンタル店でVシネマがAVコーナーのそばに置かれていて、女性や若い奴は怖くて見れなかったんだ。それで俺は、TSUTAYAの社長に文句言いに言ったことがあるんだけど(笑)。
でも配信なら、女性でも気軽に見始められて、不特定多数に広まった」
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