2.数量と性能差を生かせなかった露空軍
空軍機は、近代戦史から見て、軍事作戦において重要な役割を果たしてきた。
だが、ウクライナの戦争では、露空軍機は圧倒的に優勢な航空戦力を保有しながら重要な役割を果たし切れてはいない。
なぜなら、露が対レーダーミサイル射撃や電子戦の効果を発揮できず、防空兵器を破壊したり機能に障害を与えたりできなかったためだ。
ウ軍の防空兵器が多数残存しているのだ。
さらに米欧諸国が各種防空兵器を継続して供与していることも大きな要因である。
現在では、露軍パイロットの訓練不足などで、露の戦闘機・攻撃機はウクライナ上空を自由に飛行し攻撃できていない。
つまり、露軍機は侵攻当初の一時的・短期間だけ、航空優勢を獲得できたが、その後、一度も露空軍は航空優勢を獲得できてはいないのだ。
露軍戦闘機や攻撃機がウ軍の防空兵器の大部分を早期に破壊できていれば、露空軍機はウクライナの上空を自由に飛行できて、地上作戦もうまくいっていただろう。
ウクライナの全土を早期に占領できていた可能性がある。
だが、実際はウ空軍の健闘と米欧の情報戦・電子戦を含めたあらゆる支援がそうはさせなかった。