1.ウクライナ軍航空戦力の劣勢ぶり

 両軍の航空戦の前提となる戦闘機・攻撃機について、ウ空軍と露空軍の数量と性能を比較する。

 まず、数量を比較する。

 戦闘機・攻撃機等の総数を比較すると、ウ軍約115機対露軍約875機であり、露空軍がウ軍の7.6倍である。

 露空軍は、さらに爆撃機137機を保有している。圧倒的な戦力の差があった。

 旧型のウ軍機と新型の露軍機には能力に差があるので、ウ軍機レベルの数量比較と、新型の露軍機の数量が見えるように比較する。

 ウ空軍が保有する旧式戦闘機等とこれに相当する露空軍機を、以下の表の通り比較すると、露空軍が約4倍である。

 露空軍は、ウ空軍よりさらに発展型の「MiG-31」、「Su-30」、「Su-34」、「Su-35」を約390機保有している。

 さらに、これらの発展型の機種は、対地・空対空・対レーダー戦闘能力が飛躍的に高まっている。

ウ軍機・露軍機数量比較(旧型・発展型区分)

出典:ミリタリーバランスの数値を基に筆者が作成

 次に、その能力差を比較する。

 質の差を比べるために、ウ空軍の主力戦闘機「MiG-29」と露空軍「Su-27」その発展型と比較する。主に異なるのは、

・大きさ(全長)は露軍機のSu-27の発展型が1.3倍

・搭載する空対空ミサイルの射程は露軍機が2倍

・対地攻撃用ミサイルの射程は露軍機が17倍

・対レーダーミサイルの射程、露軍は侵攻当初から有していたが、ウ軍は9月に米国から供与(数量不明)された。

次回以降解説)

・空軍戦力を組織的に構築する空軍機として、露軍は「A-50」空中警戒管制機を9機保有

ウ軍MiG機と露軍Su機の大きさ比較

出典:筆者作成、同じ縮尺で描いたもの

ウ軍MiG機と露軍Su機の空中戦能力のイメージ

出典:各種データに基づき筆者作成

ウMiG機と露軍Su機の対地攻撃能力比較