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道頓堀のニホンウナギ 釣り人には常識だった なぜ今まで知られずにいた?

東スポWEB / 2023年1月11日 13時7分

ニホンウナギが発見された大阪・道頓堀(写真は16年)

釣り人の常識が学者にとっては驚き? 大阪府立環境農林水産総合研究所は10日、大阪市の道頓堀川でニホンウナギを捕獲したと発表した。しかも、捕獲したのは、タレントの「よゐこ」と関西ジャニーズJr.の「Aぇ!group」が出演するバラエティー番組「関西ジャニ博」(MBS)のロケでの調査だった。学術的には貴重なサンプルだが、釣り人にとっては「以前から道頓堀川でウナギは釣れていた」という。

ニホンウナギは大阪府のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。研究所の担当者は「道頓堀川はヘドロがたまり、酸欠状態になっていたが、ウナギや餌となる生物が生息できるまでに水質が改善したことが分かった」と説明。道頓堀川での学術調査によるニホンウナギの捕獲は記録上初めて。研究所によると、JR難波駅の北側の流域で昨年11月、11匹捕獲した。

道頓堀川は大阪市の繁華街を流れる全長約2・7キロの1級河川で、川に架かる戎橋(えびすばし)は江崎グリコの電光看板がある観光名所。高度成長期以降は汚く、ヘドロでドロドロで大腸菌も多いとされ、カーネルサンダース人形などが沈んでおり、“道頓堀ダイブ”をしたら病気になるともいわれていた。

2013年、道頓堀川にプールを造ろうという壮大な計画が持ち上がり、ゴミの撤去、下水道の整備が行われ、その結果、川は浄化されていた。それどころか、21年にはきれいな川にしかいないアユの生息が確認できた。

とはいえ、こんなところにウナギがいるなんて意外に思う人も多いだろう。ところが、実際はこれまでにもウナギは道頓堀川で釣れていた。釣り雑誌ライターは「十数年前から、道頓堀川でウナギが釣れるという情報はあります。毎年、暖かくなるころから10月ぐらいまで、人のあまりいない場所で、夜にウナギ狙いのおっさんたちがいて、一晩で10本釣れたなどの報告があります。昼には天然ウナギの餌となるテナガエビやハゼが目測でも見えるようになっていたから、ウナギも居つくようになっていたんでしょう」と語った。

なぜ少なくとも10年前から釣れていたのに、今まで明らかにされていなかったのか。

実は、大阪市の「道頓堀川遊歩道等の使用に関する行政指導要綱」の「行為の禁止」では「何人も、遊歩道等において次の各号に掲げる行為をしてはならない」として、「石、ガラスびん、金属片その他遊歩道上の人若しくは船舶等を損傷するおそれのある物件を投げ、発射すること」と定めている。

つまり、竿を振って針と重りを川に投げることになる釣りは禁止だ。また、遊歩道がない場所でも、川沿いはほぼ私有地で、不法侵入となる。

前出ライターは「遊歩道では通行人に危険を及ぼすし、その下流も私有地なので、道頓堀川での釣りは本当は禁止なんです。禁止の川で、大々的に『ウナギを釣った』と言えないから、釣り人の間だけで伝えられていた話なんです。だから、府や市、研究者に伝わっていなかった。実際、明るい時間にルアーでシーバス釣りをしたら、市職員から注意されます」と話している。

釣りが禁止されているから、今までウナギが釣れていても誰も言い出さなかったわけだ。くれぐれもウナギがいるからといって、道頓堀川で釣りをしようなどとは考えないでほしいものだ。

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