裏山の土壌は4万Bq/kg~東京地裁で第4回口頭弁論 2022/07/02
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福島県相馬郡飯舘村の村民29人が、国と東電に原発事故での「ふるさと喪失」と「初期被曝」の慰謝料として1人715万円の支払いを求めた「『謝れ!償え!かえせふるさと飯舘村』損害賠償請求訴訟(飯舘村原発被害者訴訟)」の第4回口頭弁論が6月29日午前、東京地裁103号法廷(野口宣大裁判長)で行われた。

 村に生まれ育った女性原告(64)が意見陳述。「なぜこのような目に遭わなければならなかったのか。とても悔しいし、納得できない」などと訴えた。
次回期日は9月28日。原告による意見陳述のほか、裁判官による現地視察を原告側が上申する予定だ。

【奪われた里山の暮らし】
 「11年前の原発事故によって、すべてが放射能に汚染され、一瞬にして失われてしまいました。今も納得できていません。呆然とするばかりで理解できていないのです。私たち飯舘村民が、なぜこのような目に遭わなければならなかったのか。これは何かの罰なのでしょうか?とても悔しいですし、まったく納得できません」

 農機具などない明治時代に曾祖父が原野を開拓してつくりあげた広大な田畑や山林。「曾祖父や祖父、父たちの汗と血と涙がこめられた命そのもの」が原発事故で汚された。生活用水はすべて井戸水。「避難して初めて、水にお金を払うことを知りました」。

 田畑で米や野菜を育て、肥料は牛の糞。山に入れば山菜やキノコ。「飯舘で暮らしていたときに米を買って食べたことはありませんでした」。玄関の施錠など不要。夏休みになれば、子どもたちは山や川で走り回る。女性にとってはごく普通の、当たり前の里山の暮らしが原発事故で奪われた。

 「もう二度と、事故前の営みは取り戻せません。私たちは何か悪いことをしたのでしょうか。平和な生活を奪われるほどの罰を受けなければならないのは、なぜでしょう?」
 震災前に甲状腺ガンを罹患していた父は、「飯舘の家に帰りたい」、「飯舘の家の風呂に入りたい」、「トマトを栽培したい」と口にした。仙台の病院に通院していたが大地震の影響で通うことができなくなった。
 薬を切らすわけにはいかないと複数の病院に通ったが、2012年12月に亡くなったという。

 「甲状腺ガンの進行は遅いはずですが、避難後のストレスで進行が早まり、腕の骨が溶けるほどでした。本当に悔しいです。原発事故など起きずに飯舘で暮らせていたら、もっと長生きしていたでしょう。避難せずに飯舘で生活を続ける選択をさせていたら良かったのではないか。今でも後悔がつきまといます」
 女性は緊張していた様子だったが、次のようにきっぱりと述べて意見陳述をしめくくった。

 「元の飯舘村を、元の生活を返してください。私たちの生活は失われたまま。何も終わっていませんし、過去になどできないのです」
 原告の女性は、避難元の自宅写真や生まれ育った頃の村の白黒写真などをスライドで映し出しながら意見陳述を行った。閉廷後の報告集会では「私の想いを裁判官に分かっていただきたい」と語った=日比谷図書文化館

 【美しい村に今も放射能】
 女性は原発事故による放射能汚染について、法廷で次のように話している。
 「飯舘村に帰るということは、放射能を意識しながら放射能とともに暮らすということです。美しかった飯舘の自然の風景はそのままなのに、そこには見えない放射能があるという現実です」

 現在は福島市内で暮らす女性は何も、単なる想像で被曝リスクを語ったわけではない。報告集会で、土壌汚染を測定した糸長浩司さん(元日大教授、日本建築学会原発長期災害対応特別研究会委員長)が詳しく説明した。

 「(女性の)自宅裏山、(深さ)5センチの土壌でセシウム137が4万Bq/kgある。出来の悪い法律でさえ8000Bq/kgを上限にしていますが震災前は100Bq/kgでしたから、その400倍。
 その下の5センチから10センチの層の土壌は9700Bq/kgあるんです。山に近い軒下のところは、除染済みですが深さ5センチで1万3600Bq/kgくらいです。除染した後も山からの〝戻り〟があるんです。だからホットスポットじゃなくて〝ホットゾーン〟なんです。〝クールスポット〟があるだけなんです」

 飯舘村は、帰還困難区域である長泥地区を除いて2017年3月31日に避難指示が解除された。国も村も、もはや安全安心だから村に戻れと言う。しかし、糸長さんの測定結果が示すように、今も汚染は続いている。それが現実なのだ。

 糸長さんは続けた。
 「国や東電が罪深いのは空間線量率しか言わない。放射性物質がどこにどのくらいあるのかということをやらずに空間線量率だけでやっている。
 しかもガンマ線だけ。空間線量率だけで言うと全部OKになっちゃう。原発事故後、国は的確な処理をしていない。

 土地が汚染されていて被曝することが明確な場所なのに、土地利用規制もしない。公害だったらあり得ない。もう帰って良いですよと。根拠は空間線量率だと。そういう世界にしたのが原子力ムラの連中でありマスコミです」

 【「帰りたくても帰れない」】
 報告集会で原告の女性は、故郷への想いと放射能汚染とで揺れる胸中を語った。
 「何もしなければやはり飯舘村は過疎化してしまう。メディアでは『安心安全になったのだから戻って来い』と言うけれど、村の人たちは恐さを知っているから戻って来ない。
移住してくる方は、あまりそういう認識はないのかなあ。もちろん、村を発展させなければいけないという気持ちもあると思うし…とても複雑です」

 「現に私も村内の自宅に泊まったりしています。放射能は目に見えないから、目に見えたらまた怖いし、逆に、どこにどのくらいあるのか光って見えたりしたら、これもまた恐ろしいですね」
 「飯舘村がなくなってしまうなんてことは考えたくない。これから移住者がどんどん入って来て、村が栄えていくことを願ってはいます。以前住んでいた若い子たちはいないけれど…。とても複雑な想いです」

 原告団長の菅野哲さんも補足するように話した。
 「村を想わない人などいません。帰りたくても帰れないという現実を誰が分かってくれるのか。帰りたくない人なんかいません。避難指示を解除しましたよ、みなさん帰りなさい、と言われます。

 だけど、女性原告が言うように、放射能を測れば1μSv/hもあるのです。そういう場所で暮らすという不安感、ものすごい葛藤があるわけです。それを理解してもらわないとならない。やっぱり当事者でないと分からない心を理解して欲しいです」

 原告の1人、伊藤延由さんはこう語った。
 「国は被曝リスクを一切語りません。被曝リスクがなかったら、あんないい所(飯舘村)に戻りたいに決まっています。これは声を大にして言いたい。被曝リスクがなかったら、こんな良い所はないですよ。こんな良い場所になぜ戻らないか。被曝リスクがあるからですよ」
(了)
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 引用以上

 私は、このような現地からのリアルな報告をみるたびに、原子力を容認し、推進する自民党政権や保守グループに対して、煮えくりかえるような憎悪が湧きおこることを抑えられない。
 「おまえたちは、子供たちの未来を破滅させるつもりか!」
 と全身全霊の怒りを込めて怒鳴るしかないのだ。

 自民党と政府は、福島の原発事故の恐ろしい被害実態を徹底的に隠蔽し、人口動態統計を改竄捏造してまで、核兵器開発のための原子力推進政策を続けようとしている。

 本当は、3月12日から始まったフクイチメルトダウンによって、放出された放射能によりダイレクトに、少なくとも数千名が殺されたことが、共同通信の記事から推定できる。

ookuma



 これを報じた共同通信記者が「死後被曝」という言葉を使ったのは、共同通信の親会社である原子力村の宣伝員=電通からの指示で、原子力産業に忖度したものだろう。
 だが、その真実に気づいた者は少なく、本気で「死後被曝」というデマを信じている者の方が多い。そんなことはありえないのだ。

 この高レベル放射能遺体が発見されたのは、大熊町東平、鈴木木工前だった。一帯の住居は、政府による証拠隠滅のため、すでに完全に取り壊され、荒れ地に帰しているが、今でも、その汚染度は凄まじい。もし住居の塩が残っていれば中性子レベルが推定できたが、そうした証拠は測定記録されることもなく、早い時期に消されてしまった。
 ここでは、事故直後に、平米5500万ベクレルという世界最高汚染土壌が確認されている。

 大熊町の土壌汚染はチェルノブイリを超えている
 https://www.radiationexposuresociety.com/archives/2935

 上のリンク先では、
 東平のセシウム137汚染3001.4万ベクレル/m2は、ゴメリ州ナロヴリャ地区ドヴリャドイ村1850万ベクレル/m2)の1.6倍。ゴメリ州ブラーギン地区ザレーシェ村1757万5000ベクレル/m2の1.7倍です。と書かれている。
(ゴメリ州ザレーシェ村はチェルノブイリ事故で、もっとも激しく汚染された地域)

 補正前の測定記録では、セシウム137=3268万ベクレル/m2  セシウム134=2906万ベクレル/m2 なので両方併せると、6174万ベクレル/m2 になり、さらにセシウムX全体、ヨウ素X、テルルXなど短・中寿命核種をまとめると、途方もない汚染=平米数億ベクレル単位の汚染になる。
 これほどの凄まじい放射能汚染は、地球上最悪クラスであり、ここに居住していて被曝させらた人々が、生きていられる確率は、ほとんど存在しない。
 共同通信が報道した千名の死者は、フクイチ放射能で直接死させられた人々である。

フクイチ事故後、大熊町とともに、フクイチ城下町だった双葉町の住民も、約1200名が埼玉県加須市に避難したが、一年後までに、実に167名が死亡している。
 避難者の死亡率は、1年で14%に上る。自民党と政府は、「フクイチ事故被曝者で死者は一人も出ていない」と宣伝しているが、それは恥知らずで真っ赤な嘘だ。
 事実は、事故直後に数千名が急死させられ、1年後までに避難者の一割以上が死亡し、10年後までに、数十~数百万人が放射能被曝によって死亡しているのだ。
 https://ameblo.jp/64152966/entry-11635473886.html

私は、2011年、事故の年の秋11月に、友人とともに飯舘村に入って、4台のガンマ線測定器で調査測定し、その後も、何回か訪れて土壌サンプルを採取し、高性能の放射能測定器で汚染状況を確認した。

 11月、飯舘村草野役場近くで、測定を開始すると、20マイクロシーベルト毎時まで計れる測定器がハングアップした。他の3台も、すべてメーターが振り切れた。
後に、土壌サンプルをベクレル計で測定すると、キロあたり数十万ベクレル、平米あたり数千万ベクレルを記録した。
 そのサンプルは今でも持っているが、放射能は半減期の法則どおり、8割しか減っていない。

 政府や自民党・保守の原発推進組は、あたかも飯舘村の放射能が事故前の水準に戻ったかのように宣伝しているが、とんでもない悪質なデマ、真っ赤な嘘だ。
 それは、冒頭の原告女性が裁判で告発したとおりだ。

 「(女性の)自宅裏山、(深さ)5センチの土壌でセシウム137が4万Bq/kgある。出来の悪い法律でさえ8000Bq/kgを上限にしていますが震災前は100Bq/kgでしたから、その400倍。
 その下の5センチから10センチの層の土壌は9700Bq/kgあるんです。山に近い軒下のところは、除染済みですが深さ5センチで1万3600Bq/kgくらいです。除染した後も山からの〝戻り〟があるんです。だからホットスポットじゃなくて〝ホットゾーン〟なんです。〝クールスポット〟があるだけなんです」

 セシウム135がキロ4万ベクレルとすれば、それを65倍したものが平米あたりの汚染量になるので、平米260万ベクレルである。
 これほどの汚染地であるにもかかわらず、政府も福島県も飯舘村も避難者に帰還せよと命令し、帰還しない者は避難援助を廃止し、あまつさえ福島県は、加重家賃を請求し裁判に訴えて避難者をスラップ訴訟で脅している。

 だが、チェルノブイリ事故三国(ロシア・ベラルーシ・ウクライナ)では、事故後、チェルノブイリ法を制定し、平米55.5万ベクレル以上の土地に住む人を強制移転させ、平米148万ベクレル以上の土地では「永久立入禁止処分」を行っている。
 告発女性の土地は平米260万ベクレル、永久立入禁止基準の二倍なのだ。
  https://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-13030

 日本政府と福島県は、そのとんでもない放射能汚染地で、何の防御もなく、空間線量だけを基準に、強制的に居住させようとしている。もし従わなければ、すべての行政援助を廃止し、賠償まで要求しているのである。
 http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-659.html

 空間線量が下がった理由は、汚染土壌の表面だけを剥いで移動させたこと。セシウムが沈降し、ゼオライト成分に吸着されて、その遮蔽によってガンマ線が減ったことが理由だが、セシウム137放射能は、半減期30年の法則に従って2割が消えただけだ。
 今でも地表から20センチ下にセシウム137が8割も残っていて、農産物の根から吸収され放射能汚染食品をもたらしているのである。

 これほどの国家ぐるみの欺瞞、人権侵害を本気で糾弾しようとしない立憲民主党は、フクイチ事故直後でさえ、枝野党首が、ベトナムへの原発輸出を推進していた。
 また立憲民主党は、原子力村の一員である電力総連から多額の援助を受けていた。
 だから、フクイチ事故の真実を糾弾できるわけがない。
 http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201111050392.html

 一方で、日本共産党もまた、フクイチ事故後、子供たちを汚染地に閉じ込めて生活させるエートスプログラムに賛成している。
 期待していた「れいわ」は、原発推進の浅草キッドを候補者にした。
 もう、日本で、本気で原発事故の真実を暴き、原発をやめさせようとする勢力は見当たらないのだ。
 もう日本という国は、放射能汚染で滅亡するしかないのかもしれない。