チベットやインドでは、これまで16万人もの人々が長年の霊的修行の結果として、肉体を純粋な光、あるいはエネルギーに変えて消えてしまっていることをご存知だろうか?
■虹の身体、黄金の身体、超伝導の身体とは?
オルタナティブニュース「EWAO」によると、この現象は“虹の身体”と呼ばれ、これを成就するためには、慈悲の心に満たされ肉体を解放できるようになる必要があるという。平均して5年の修行で、チベットの仏教修行者はこの境地に至るそうだ。そのプロセスは極めて強力であり、虹の身体を完成する数週間前には、修行者がそっと手で触れるだけで、壁に手の形が残るといわれている。報告によると、虹の身体を成就した修行者は7日間かけて体が縮んでいき光となって消えてしまい、最後に残されるのは体の不純物である髪の毛と爪だけだという。
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イスラーム神秘主義においても、“最も神聖な身体”、“天を超えた身体”と呼ばれる同様の現象があり、中国のタオイズムにおいても“ダイヤモンドの身体”と呼ばれる境地に至った人は“不死者”、“雲の上を歩く人”という名を得るそうだ。インドのヨガ行者の間では、“神聖な身体”や“祝福された身体”、インド哲学の一派であるヴェーダーンタ学派では“超伝導の身体”と呼ばれものがこれにあたるという。さらに古代エジプトには“光り輝く身体”、古代ミトラ教では“完全な身体”、古代ヘルメス教では“不死の身体”、錬金術の伝統では“黄金の身体”と言われるものが存在したそうだ。
チベット仏教においては、現在も“虹の身体”を実践してみせる僧侶がいる。たとえば、キリスト教神秘のフランシス・ティソ氏は、チベット仏教ゲルク派の僧侶ケンポ・アチュ・リンポチェが1998年に虹の身体を完成し、入寂する様子を記録している。
■チベットに残る虹の身体の記録
ティソ氏によると、死の数日前、リンポチェが瞑想している家にいくつもの虹がかかったそうだ。そして、リンポチェが最後の息を吸うとすぐに体に変化が表れたという。肌が白く輝き、姿がまったく変わってしまったというのだ。リンポチェの体は伝統的な黄色いローブに包まれていたが、死から数日経つと、その体が徐々に縮み始め、7日後には、完全に体が消えてなくなってしまったそうだ。ネパールの僧侶トゥルク・ペマ・リクツェル氏は、その時のことを詳細に語っている。
「1998年のある日、リンポチェはベッドに横になっていました。病に苦しんでいる様子はありませんでした。涅槃仏の姿勢のまま、6つの音節の真言を唱え、原初の心の純粋な土台に立ち戻りブッダになりました。リンポチェの心は知性の彼岸で完成し、その体は光となり、体のシワも消え、8歳の少年のような美しい姿になったのです。1週間後、リンポチェの死を聞きつけた人々が集まってくると、あらゆるところに虹が現れ、心地よい芳香が周囲に充満しました。リンポチェの体は完全に涅槃に至ったのです。爪や髪の毛さえ残さず消えてしまいました」
ゾクチェン・ケンポ・チュガ・リンポチェも、2013年に虹の身体を成就した修行者がいると報告している。
「私の偉大な師であるゾクチェン・ラマ・カルマ・リンポチェは2013年11月11日に亡くなりました。昨日チベットの友人から届いたニュースによると、師の体は死後に縮んでいるというのです。師の身長は175cmほどでしたが、死後2週間で20cmになってしまったそうです。これはゾクチェンタントラで“小さな虹の身体”と呼ばれています。このままどんどん縮み完全に体が消えてしまえば、この奇跡は“光の体”あるいは“原子のない体”と呼ばれるようになります」
にわかに信じられない話だが、欧米の宗教研究者や米「純粋知性科学研究所」など、虹の身体について本格的に研究する動きもある。宗教学者で修道士のデヴィッド・スタインドル=ラストは、虹の身体とイエスの復活・昇天に類似点があると指摘し、「イエスの復活・昇天が今日でも起こっているという人類学的事実を証明することができたら、人間の潜在力に別の光を当てることになる」と、虹の身体が持つ宗教的・人類学的意義を強調している。まさにキリストの復活にも比せられる“奇跡”がチベットでは頻繁に起こっているのかもしれない。映像でも良いからいつかそんな奇跡を見てみたいものだ。今後の研究に期待しよう。
(編集部)
※イメージ画像は、「Thinkstock」より
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