困難を抱える若年女性に大きな応援団をーー村木厚子さんが熱意を込める若草プロジェクト
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貧困、虐待、DV、いじめ、薬物依存など社会のさまざまな問題に苦しみ、生きづらさを抱える少女や若い女性たちがいる。彼女たちは自分の苦しさの原因が何であるのか分からず、相談すらできていないという。作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんや元厚生労働事務次官の村木厚子さんが代表呼びかけ人を務める一般社団法人若草プロジェクトは、そうした困難を抱えた若年女性を支援している。サステナブル・ブランド国際会議2021横浜に登壇した村木さんは「SDGsの目標で日本が最も立ち遅れているのはジェンダー平等。企業は女性活躍に相当真剣に取り組んでいると思うが、女性活躍のスタートラインにすら立てていない少女たちがいることにぜひ思いを寄せてほしい」と訴えた。(松島 香織)
「日本は意外に貧困率が高い国」――。貧困により十分な教育が受けられず進学や就職に不利であり、次世代にも貧困の状況が連鎖する、と村木さんは指摘した。また児童虐待も急増しているが、年間十数万件ある相談のうち保護されるのは約3%に過ぎないという。村木さんは「多くの少女は自分で何とかしようと頑張っている。非常に厳しい状況にある」と実情を強調した。
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自分で必要なモノを選び取り、真のエンパワーメントへ
若草プロジェクトは、弁護士で日本女子大学非常勤講師の大谷恭子代表理事が中心になり2016年に設立された。名称はオルコットの小説『若草物語』から付けられた。すべての若年女性が主人公の4姉妹のように、大人として尊重され「自分らしさ」を取り戻し、自立できるようにとの思いが込められている。
このプロジェクトでは、主に「つなぐ」「まなぶ」「ひろめる」の3つの事業に取り組んでいる。「つなぐ」は生きづらさを抱えた若年女性と支援者をつないだり、支援者同士をつないだり、支援の現場と企業などをつなぐ取り組みだ。
LINE相談の実施、シェルターである「若草ハウス」の運営、日本生命保険相互会社やロート製薬などの支援を受けて「若草メディカルサポート基金」を設立した。基金は、虐待や性暴力被害を受けた若年女性の診察・治療やカウンセリングなど医療的ケアの財源となる。村木さんは「今後、医療支援にも力を入れていきたい」と力を込める。
また2020年12月に開設した、企業と支援の現場を結ぶデジタルプラットフォーム「TsunAが~る」(つなが~る)を紹介した。日本財団や日本産業パートナーズなどの支援を受けて開設された「TsunAが~る」は、支援の現場のニーズと企業が提供できる物品や人材、知財、イベント企画などをマッチングするシステムだ。これまでこうした「モノ」の支援は、必ずしも現場で必要とされるものではなく、持続的な支援でなかったり、緊急のニーズに対応できたりするものではなかった。
「TsunAが~る」開設のきっかけは、支援する現場から寄せられた切実な声だった――。「お仕着せの支援ではエンパワーされない。自分たちで必要なモノを選び取り、いい形で支援を受けることで本当のエンパワーメントや自立につながる」。このシステムが開設されたことで、きめ細やかなニーズの収集を行うことができるようになった。
現在、若草プロジェクトはファーストリテーリングやネスレ日本などの企業と協働している。日本国内で難民の雇用などに取り組むファーストリテーリングは、「居場所のない少女を『国内の難民問題』と捉えてくれた」と村木さんは話す。若草プロジェクトが選定した約300のシェルターや自立援助施設などに、企業が提供する物品の情報を公開している。
ネスレ日本は、3月8日の国際女性デーに合わせてミモザの花と「キットカット」5000個を用意し、「On your side あなたのそばに」というメッセージを送ったという。
取り組みの2つ目「まなぶ」では、生きづらさを抱えた若年女性の現状を理解し、支援の方法を学ぶため、連続研修会を実施したり、支援者のためのマニュアルを発行している。2020年12月には、コロナ禍では人が集まることが難しいため、You Tubeの「若草チャンネル」で動画配信を始めた。そして取り組みの3つ目「ひろめる」は、社会に若年女性が抱える問題の深刻さを伝えることだ。
若草プロジェクトとSDGsの取り組み
若草プロジェクトはSDGsの目標5の「ジェンダー平等」をメインターゲットにして活動しているが、社会では、若年女性が抱える困難の背後にある貧困や虐待、性暴力などはともすると見過ごされがちだ。村木さんは、本当の意味で支援するには「目標1:貧困をなくそう」「目標2:飢餓をゼロに」「目標3:すべての人に健康と福祉を」「目標4:質の高い教育をみんなに」「目標10:人や国の不平等をなくそう」「目標16:平和と公正をすべての人に」にも取り組まなくてはならない、と力説する。
最後に村木さんは「企業の持つさまざまな力をしっかりとつなげ、さらに教育、医療、就労、住宅などの分野ともつながり、社会に大きな応援団を作りたい。多くの企業に参加していただき、彼女たちのエンパワーメントにつなげていきたい」と「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」への取り組みを呼び掛けた。
- 松島 香織 (まつしま・かおり)
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サステナブルブランド・ジャパン デスク記者
編集担当。アパレルメーカー(販売企画)、建設コンサルタント(河川事業)、
自動車メーカー(CSR部署)、精密機器メーカー(IR/広報部署)等を経て、現職。
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墓地を森として再生 米企業が提案する、死を生に変える持続可能な樹木葬
西洋社会で「死」は避けられることの多い話題だ。死そのものが感情的に複雑というだけでなく、死者を見送るための儀式が移送や経済、環境的な観点からも複雑なためだ。ニューヨーク・ブルックリンに本拠を置くトランセンド(Transcend)は、墓地を森として再生する樹木葬サービスを来春から始める。さらに、森林再生を行う非営利団体の協力の下で1件の樹木葬につき1000本の木を世界中に植樹し、気候変動の緩和にも取り組む方針だ。同社は事業を通じて、西洋の死生観にも一石を投じたい考えだ。
生物多様性、2030年までの世界目標で決まったこと――ネイチャー・ポジティブを追求、問われる企業の役割と開示
12月7日から19日までカナダのモントリオールで開催された生物多様性条約の第15回締約国会議(COP15)において、2030年までの生物多様性の世界目標(GBF; Global Biodiversity Framework)が採択されました。これは、2020年までの目標だった愛知目標の次の目標となるもので、本来であれば2020年に決まるはずでした。コロナ禍のためにCOP15の開催が何度も延期となり、結局2年以上遅れて何とか開催にこぎ着け、そして世界目標もようやく決まったのです。
ブランドの力を活用し、生活者と共に真の変化を生み出そう:SB国際会議特別企画「BRANDS FOR GOOD+ SUMMIT」(4)
生活者が理想とする豊かさの概念が移り変わり、企業にとっては、モノを売るための時代から、社会に問いかける時代へと変わろうとしている。サステナブル・ブランド ジャパンが日本でローンチした米国発のグローバルなイニシアチブである「Brands for Good」は、人が必要とするもの、そして地球・社会が必要とするものの両方に訴求する商品やサービスをブランドとしてどう独自に設計していくかを考え、実行していくための枠組みだ。11月29日に行われた設立記念イベントでは、最後に、今、なぜこの取り組みを進めるのか、そこにはどんな可能性があるのかといったことが、米国企業の動きや、ローンチに先立って行った企業のワークショップの内容などを通じて具体的に示された。(廣末智子)
世界初、ヴィーガン蜂蜜を開発 ハチを使わず植物性蜂蜜を作る米スタートアップ
米カリフォルニア州オークランドのスタートアップ「メリバイオ(MeliBio)」は世界で初めて、植物性の原料を使い、見た目も味も栄養価も本物の蜂蜜と遜色ない植物由来の蜂蜜を開発した。ハチの労働力を使わないため、ヴィーガンでも食べられる蜂蜜として注目されている。製品は2023年から欧米を中心に販売が始まる。メリバイオCEOのダーコ・マンディッチ氏に話を聞いた。
オフィス街に緑地空間「Otemachi One Garden」がオープン、働く人の癒しや脱炭素に寄与
三井物産と三井不動産は東京・大手町に「Otemachi One Garden」をオープンした。複合施設ビルOtemachi Oneの隣にある6000平方メートルの緑地空間に、中・高木約300本、低木約6,600本を植え、隣接する皇居に生息する鳥や昆虫など多様な生物の生育環境の拡大を促す。また樹木にはCO2を蓄えて大気中に排出しない炭素を固定する効果があり、本数や規格からCO2固定量を年間11トンと試算しており、都心のオフィスで働く人の癒しや賑わいの創出だけではなく、脱炭素に寄与するという。また、災害時には帰宅困難者のための一時滞留スペースとして、すでに一時滞在施設に登録されているOtemachi Oneとともに活用する。今後は大手町で企画されるエコ体験ツアーの環境教育イベントなどを開催する予定だ。
コーヒー生産をネイチャーポジティブへ UCCが国際環境NGOと連携
UCCホールディングスは、2040年までにコーヒー生産地の自然の保護や回復を行う「ネイチャーポジティブ」を実現するために、国際環境NGOであるコンサベーション・インターナショナル(米国)とパートナーシップの契約をした。コーヒー栽培は気候変動の影響を大きく受ける可能性があり、2050年にはコーヒー栽培適地が半減するという予測もある。こういった危機感から、UCCはカーボンニュートラルの実現と共にネイチャーポジティブへのアプローチを急ぐことを4月にサステナビリティ指針として打ち出した。カナダで開かれたCOP15でも2030年までに生態系の保全地域を地球の30%に拡大する新たな目標が決まるなど、生物多様性の回復が急がれている。同社は環境NGOの専門的知見を取り入れ、生物多様性や森林、水資源などの領域において、どの生産国にどんなリスクがあるのか、農園の樹木の温室効果ガス削減効果なども定量的に明らかにし、具体的な対策を決めていく計画だ。(環境ライター 箕輪弥生)
日本企業は10年後、20年後の市場を見据え、未来志向でSXを:SB国際会議特別企画「BRANDS FOR GOOD+ SUMMIT」(3)
環境や社会に配慮した商品の選択肢が豊富にある欧米と違い、まだまだ遅れている日本では企業がサステナブルな商品の市場をどう育てていけばいいのか――。サステナブル・ブランド ジャパンが11月29日、企業がマーケティングを通して生活者の行動変容を促すことを目的に日本でローンチした、米国発のイニシアチブ「Brands for Good」。その発足記念サミットでは、日中米英の4カ国1万2000人を対象にしたサステナビリティに関する消費者調査の結果をもとに、日本企業のパーパスブランディングを解きほぐすセッションも行われた。(廣末智子)
サステナビリティ部門の女性リーダーは次世代の女性リーダーとどう連携すべきか
10月に開かれたサステナブル・ブランド国際会議2022サンディエゴでは、女性のリーダーシップをテーマにしたランチセッションが行われた。各社でサステナビリティを推進する女性リーダーらが、次世代の女性リーダーにチャンスをもたらし、重要な会議の場に若い女性・有色人種の女性が参加できるようにすることの重要さや、持続可能な未来の実現に向けてどう次世代のリーダーと関わりを持ち、導いていけるかを探った。
スペイン発、サステナブル・ファッションブランドの“思想”と行動:SB国際会議特別企画「BRANDS FOR GOOD+ SUMMIT」(2)
サステナビリティを体現するブランドは、他企業や生活者をどう巻き込んでコミュニケーションを広げているのか――。サステナビリティを体現するブランドは、他企業や生活者をどう巻き込んでコミュニケーションを広げているのか――。サステナブル・ブランド ジャパンが11月29日、企業がマーケティングを通して生活者の行動変容を促すことを目的とする米国発のイニシアチブ「Brands for Good」の日本でのローンチを記念し、東京・日本橋で開催した特別企画「BRANDS FOR GOOD+ SUMMIT」。ここでは、漁船と共に回収した海洋プラスチックごみで商品の素材をつくるなど、社会課題の解決につながるファッションを提案するスペイン発のブランド「ECOALF(エコアルフ)」の日本での展開を通して、ブランドが最も大事にしている自らの“思想”をより強く、効果的に伝える行動について考える。(廣末智子)
パーパスは背骨。社員全員を巻き込み、何度でも議論を:SB国際会議特別企画「BRANDS FOR GOOD+ SUMMIT」(1)
サステナブル・ブランド ジャパンは11月29日、企業がマーケティング活動(コミュニケーション)を通して生活者の行動変容を促すことを目的にした、米国発のイニシアチブである「Brands for Good」を日本でローンチした。これを記念して東京・日本橋の室町三井ホール&カンファレンスで行われた特別企画「BRANDS FOR GOOD+ SUMMIT」では持続可能な社会に向けて、企業のパーパスをブランディングにどう生かし、さらにそれをサステナビリティの文脈におけるマーケティングにどうつなげていくかという論点からさまざまなセッションが展開された。ここではセブン銀行会長の舟竹泰昭氏による「パーパス論」を紹介する。(廣末智子)
米ロレアル 、製品の環境・社会インパクトをサイトに掲載へ
米ロレアルはこのほど、製品が環境・社会にもたらすインパクト(影響)を消費者向けにオンラインで明らかにする「プロダクト・インパクト・ラベリング・システム」の導入を発表した。原料調達から使用、廃棄にいたるまでのライフサイクルの各段階で、温室効果ガスの排出量、水の枯渇、海洋酸性化、生物多様性への影響など14 項目を測定しA〜Eの5段階でランク付けするほか、パッケージのリサイクルの可否、国連グローバル・コンパクトの労働原則に沿っているかといった情報を公開する。
大学生30名を「SB国際会議2023東京・丸の内」にご招待 「SB University」参加大学生を募集中
サステナブル・ブランド ジャパンは「サステナブル・ブランド国際会議2023東京・丸の内(2023年2月14日・15日)」に大学生30名をご招待するプログラム「SB University」の応募を受け付け中です。
第23回グリーン購入大賞で東急不動産が大賞・環境大臣賞、地域社会に再エネ促進を積極展開
グリーン購入の普及・拡大に取り組む団体を表彰する「第23回グリーン購入大賞」の表彰式が12日、東京・日本橋で開催された。再生エネルギー発電事業を立ち上げ、自社やテナント施設、地域社会に再エネ促進を積極的に展開している点などが評価され、東急不動産が大賞・環境大臣賞(大企業部門)を受賞した。また大賞・経済産業大臣賞はLoop Japan、大賞・農林水産大臣賞は佐賀市が受賞。それぞれ循環型経済への取り組み、森林整備によるCO2排出量削減の取り組みが評価された。今回から持続可能な調達(消費と生産)を通じたSDGsの目標達成に寄与する取り組みに加え、サプライヤーとの連携を対象とした「サプライヤーエンゲージメント特別部門」が設けられ、同大賞は大和ハウス工業が受賞した。
企業のGX支援通じて“環境貢献企業”へのリブランディング目指すーーエプソン販売に「グリーンモデル推進部署」誕生
インクジェット方式のプリンター複合機商品を事業の中核に置くエプソン。国内販社であるエプソン販売では2022年4月、DX推進部内にグリーンモデル推進というGX(グリーントランスフォーメーション)に特化した部署を新設。顧客の環境負荷低減の実現を支援する取り組みを開始している。販売会社でありながら、環境に特化したソリューション事業を行う狙いは何か。グリーンモデル推進の一員である柴崎崇氏と熊谷志織氏に聞いた。(以下敬称略)
欧州、「空前の太陽光発電とヒートポンプブーム」が日本に与える前向きな影響
ロシアのウクライナ侵略など、欧州をきっかけに世界を揺るがすエネルギー費の高騰。電気代やガス代などの急上昇は食料など生活すべてに及び、インフレなどによって私たちの生活を脅かしている。負の側面ばかりが強調されることが多いが、一方で強い再生可能エネルギーブームを呼び起こしていることを忘れてはならない。
今回のコラムでは、欧州で進む、太陽光発電とヒートポンプの一大ブームについてお伝えすると共に、日本への伝播(でんぱ)、ポジティブな影響を考察してみたい。第43回 ビジネスの「新しい景色」が見える!サステナブル・ブランディング
サッカーW杯・カタール大会の決勝トーナメント1回戦で、日本は惜しくも敗退しました。「新しい景色」を見ることはできませんでしたが、試合後の森保監督へのインタビューでは、日本サッカーの「新しい時代」が感じられました。これは現代企業にとっても、示唆に富む珠玉のメッセージとなりました。
地域の社会課題解決へ学校の枠超え高校生が議論 ――第3回SB Student Ambassador ④ 東日本・西日本大会
サステナブル・ブランド ジャパンが9月から全国9ヶ所で行った「第3回 SB Student Ambassador(SA)ブロック大会」は11月13日の西日本大会で閉幕した。各地域でZ世代の起業家の言葉に耳を傾け、地元企業や自治体のSDGsにかける思いや取り組みを学んだ参加者は、来年2月14・15日に開かれる「SB国際会議2023東京・丸の内」への出場権を懸けて論文作成に挑む。高校生たちは大会を通じて何を得たのか――。四国・北陸・東北、東海・九州、中国・北海道に続き、最後に同じプログラムで行われた東日本と西日本の大会の内容を東日本大会の様子を通じて紹介する。
CSOから金融業界へ サステナビリティ人材はどう経済を変えるか――サステナブル・ブランド国際会議サンディエゴ③
米サンディエゴで10月に開かれたサステナブル・ブランド国際会議では、「Recenter & Accelerate(リセンター&アクセラレイト)」をテーマに、本質に立ち返り、リジェネラティブな未来(環境や資源、地域などが再生する未来)の実現に向けて加速していくために必要なことが議論された。4日間にわたって開かれた会期の後半では、社会・環境課題をイノベーションで解決するスタートアップや、CSO(最高サステナビリティ責任者)を経て金融業界に転身したリーダー、逆に金融業界からサステナビリティの分野に転身したリーダーらが登壇した。(小松遥香)
アフリカ難民がワインのテイスティング選手権に挑戦――映画『チーム・ジンバブエのソムリエたち』
政情不安で南アフリカに移住したジンバブエ人が、世界ブラインドワイン・テイスティング選手権に挑戦した。彼らはもともとソムリエだったわけではない。知らない土地でそれぞれが「家族にいい暮らしをさせたい」一心で職を得て、ワインに魅せられていった。『チーム・ジンバブエのソムリエたち』は難民である彼らが、欧州文化そのものといえるワインの世界に飛び込み、権威ある世界選手権に挑戦した姿を追ったドキュメンタリーだ。(松島香織)
米国のサステナビリティの最前線「DEI&B」「メンタルヘルス」――サステナブル・ブランド国際会議サンディエゴ②
10月に開かれたサステナブル・ブランド国際会議2022サンディエゴでは、「Recenter & Accelerate(リセンター&アクセラレイト)」をテーマに、いま一度本質に立ち返り、リジェネラティブな未来(環境や資源、地域などが再生する未来)の実現に向けて加速していくために必要なことが議論された。ここでは、「過去から学び前進する」ことをテーマに行われた基調講演から、陥りやすい失敗、持続可能な組織に必要な「帰属意識」、サステナビリティと成長の両立、より深い社会的課題「メンタルヘルス」への取り組みについて語られたセッションを紹介する。登壇者は世界経済が厳しい状況にある中、どうサステナビリティを優先し、市場の変化に適応しながら、サステナビリティの実現に長期的視点で戦略的に取り組んでいるかを具体的に話した。(小松遥香)
地域の社会課題解決へ学校の枠超え高校生が議論――第3回SB Student Ambassador ③ 中国・北海道ブロック大会
地域の社会課題解決に向け、高校生たちが学校の枠を超えて自分達に何ができるかを考えた「第3回SB Student Ambassador(SA)ブロック大会」。サステナブル・ブランド ジャパンと日本旅行が毎年共催で開いているもので、今年の参加者はこの日の学びをもとに各校で論文を作成し、選考に残れば、来年2月14・15日に行われる「SB国際会議2023丸の内」に招待される。大会の様子を、四国・北陸・東北、東海・九州に続き、北海道と中国の2大会から紹介する。
IUU(違法・無報告・無規制)漁業由来の水産物の流通防止へ新法施行 対象魚種少なく抜け穴のリスクも
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地域の社会課題解決へ学校の枠超え高校生が議論 ――第3回SB Student Ambassador ② 東海・九州ブロック大会
サステナブル・ブランド ジャパンと日本旅行の共催による「第3回SB Student Ambassador(SA)ブロック大会」。来年2月13・14日に開かれる「SB国際会議2023丸の内」への出場権を懸けて論文を作成するための事前学習となる場だ。同じ地域の高校生同士、学校の枠を超えて地元企業や自治体の取り組みを学び、地域の課題について真剣に考え、アイデアを出し合った1日の様子を、四国・北陸・東北に続き、東海と九州の2大会から紹介する。
加速するために一度“スローダウン”しよう――サステナブル・ブランド国際会議サンディエゴ①
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地域の社会課題解決へ学校の枠超え高校生が議論 ――第3回SB Student Ambassador ① 四国・北陸・東北ブロック大会
サステナブル・ブランド ジャパンは9月から11月にかけ、SB Student Ambassador(SA)ブロック大会を全国9地域で開催した。毎年2月に行われる「サステナブル・ブランド国際会議」に全国の高校生を招待する、日本旅行との共催プログラムの事前学習の場として設けているもので、3回目となる今年は、前年の4地域から9地域へと拡大、参加した高校生も194校1253人と大きく増えた。各大会では、それぞれの地域の特色に合わせたテーマ設定がなされ、同じ地域の高校生同士、学校の枠を超えて地元企業や自治体の取り組みを学び、新たなアイデアや課題解決について活発に議論する光景が見られた。この日の学びをもとに各校は来年2月14・15日の「SB国際会議2023東京・丸の内」への出場権を懸けて論文作成に挑む。ここでは各ブロック大会の様子を4回に分けて紹介する。まずは四国・北陸・東北の3大会編。
香港のスタートアップ、3Dプリンター製のサンゴ型タイルでサンゴ礁の回復に取り組む
気候変動の影響により、日本を含む世界でサンゴ礁の白化現象が加速している。そうした中、香港のスタートアップ「アーキリーフ(Archireef)」は2016年から、3Dプリンターで製造したサンゴ型のテラコッタタイルを使って、サンゴ礁の生存や成長を促進することで、世界的なサンゴ礁の回復に取り組んでいる。アーキリーフの共同創設者兼CEOのヴリコ・ユー(Vriko Yu)氏に話を聞いた。
資源循環のイニシアティブを次々と主導する日揮 石油・ガスプラント建設事業からの転換をどう進めているか
目まぐるしく変化する世界情勢の中で、脱炭素社会に向けたエネルギー転換は一進一退を繰り返している。石油精製・販売事業で創業し、世界中でプラント建設を手掛けてきた日揮ホールディングスは、2040年に向けて主力の石油・ガスプラント建設事業から脱炭素エネルギー事業への転換を進める。同時に、将来を見据えて力を入れるのが資源循環事業だ。国産のSAF(持続 可能な航空燃料)や廃プラスチック・廃繊維リサイクルを実現するためのイニシアティブを主導する。同社のサステナビリティ協創部を率いる、秋鹿正敬常務執行役員兼TCO(Technology Commercialization Officer)に話を聞いた。
自分らしく生きるために悩み続けた画家を描いた映画『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』
ルイス・ウェインは、19世紀から20世紀にかけて、擬人化された大きな丸い目のコミカルな表情をした猫の絵で人気を博した英国の画家だ。周囲に反対されながら結婚した最愛の妻が世話する子猫のピーターをきっかけに猫を描き始めた。だが唯一の理解者である妻を亡くした悲しみから徐々に心が壊れてしまう。『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』は「美しい世界を見つめて、多くの人と分かち合って」という妻との約束を守るために猫の絵を描き続けた実在の画家の生涯を描いた映画だ。当時の社会規範に閉塞感をもち「自分らしく生きること」に苦しむ画家の姿は、生きづらさを抱えた現代人に重なる。苦しみ抜いたルイスが、最後に見せる清々しい表情に心が明るくなった。(松島香織)
SBサンディエゴで見た「リセンター&アクセラレイト」の意味とは――2022年度第3回SB-Jフォーラム
サステナブル・ブランド ジャパンの法人会員コミュニティに向けた「2022年度第3回 SB-Jフォーラム」がこのほど博展(東京・中央)本社とオンラインで開かれた。今回はSB国際会議の発祥の地である米サンディエゴで10月に4日間の日程で行われた会議に参加したメンバーらの報告を通して、来年2月14・15日に開催する「SB国際会議2022東京・丸の内」と共通のテーマである「RECENTER&ACCELERATE(リセンター・アンド・アクセラレイト)」が意味するところについて考えた。
第42回 トラベルナースが示唆する!企業のQOL
連続ドラマ『ザ・トラベルナース』が人気です。スーツケースひとつで渡り歩く優れた資格を持ったフリーランス看護師であるトラベルナースが、令和の医療現場を改革するクールで痛快なストーリーです。劇中の決めゼリフに、サステナビリティ時代の企業のあり方と相通ずるものがありそうです。
人権課題が問う、「経営トップの覚悟」
国連で2011年に「『ビジネスと人権』に関する指導原則」(以下、「指導原則」)が採択されてから約10年が経過しました。この10年で、指導原則を軸に、人権尊重の取り組みが企業における重要な経営課題であるとの認識が世界中で広く共有されつつあります。国際社会ではサプライチェーンにおける人権課題に対応するための法整備などの制度設計も急ピッチで進んでいます。その中で、日本企業はどのように人権課題と向き合うべきなのでしょうか。
COP27、化石燃料の段階的廃止は後退 2030年に向けて世界はどう進むべきか
COP27(第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議)は20日、終了予定時刻から36時間以上が過ぎて閉幕した。最終的に、気候変動の影響により深刻化する途上国の損失と損害(ロス&ダメージ)を先進国が補償するための新たな基金を設立するという画期的な合意が結ばれた。一方で、化石燃料の段階的廃止に関しては十分に話し合われず、手遅れを防ぐ脱炭素化を難しくする危険な抜け道を開くことになった。
新しいフェーズに入った脱炭素~COP27が私たちに迫る効果的な実現策
エジプトで開かれていたCOP27は11月20日、前回のCOP26同様に延長の末に閉幕した。総意として、温暖化防止が地球的な重要事項であっても、個別の課題、例えば、化石燃料の取扱いなどは個々の国の利害などで簡単にはまとまらないことを示している。底流にあるのは、主として先進国と途上国との間の争いである。
ディズニーが映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の世界を通じて海洋生物の保護活動を支援
ウォルト・ディズニー・ジャパンは映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』公開を記念して、地球の海を守るグローバルキャンペーン「Keep Our Oceans Amazing(わたしたちの素晴らしい海を未来に残そう)」を開始した。特設サイトから描画ソフトを用いてオリジナルの海洋生物を1体作ると、シロナガスクジラやマングローブなど10種類の海洋生物とその生息地の保護活動を行っている米国の自然保護団体ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)に5ドルが寄付される。美しい海が描かれた『アバター』ファンに創作を楽しみながら支援を呼びかけるユニークな取り組みであり、ウォルト・ディズニー・カンバニーとして、TNCへ最大100万ドル(2022年11月17日時点で約1億3900万円)の寄付を目指す。
気候危機と健康危機に同時に対処するには 英NPOらがガイダンス公表
気候危機への対処と同時に、それに伴って高まる健康リスクにも対処すべきではないかーー。英非営利団体フォーラム・フォー・ザ・フューチャーと大手保険・医薬品メーカー4社は、気候危機と健康危機に同時に取り組む方法を提言する企業向けガイダンスを公表した。5者は、産業界や政界、金融界に対し、危機への対処を加速させると共に、気候と健康の課題に同時に取り組むことは新たなビジネスチャンスも生み出すとしている。
飛行機の中で考える持続可能な未来とは?――新燃料のSAF搭載、CO2実質排出量ゼロのJALチャーター便搭乗リポート
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、いま、飛行機の運行が大きく変わろうとしている。高速に、大量に、遠方に、人や物を輸送し続ける飛行機の、CO2排出量削減の切り札として世界の航空会社が導入を進めるのが、廃食油などを原料とし、「持続可能な代替航空燃料」と呼ばれる新燃料、SAF(Sustainable Aviation Fuel)だ。最新鋭の省燃費機材にこのSAFを搭載し、滑走路は片側エンジンのみで走行するなど、2030年の時点で目指すフライトのサステナビリティの形を最大限表現したJALの企画便が11月18日、羽田〜沖縄の空を飛んだ。燃料はもとより、原材料や調達に配慮した機内食や乗務員による手話通訳などを通じて乗客が持続可能な未来について「見て・学び・体験する」ことを主眼とした特別なツアーをリポートする。
18カ国調査:役員の半数、サステナビリティへの取り組みは未来への投資ではなくコスト
フランスに本拠を置くコンサルティング企業「キャップジェミニ」は、日本を含む18カ国の役員2004人を対象にサステナビリティの取り組みについて調査した報告書を公表した。報告書によると、自社がサステナビリティに取り組む根拠や投資価値を明白だと考える役員はわずか5人に1人(21%)で、回答者の半数以上(53%)がサステナビリティの取り組みについて利益よりもコストが上回ると捉えていることが明らかになった。報告書は、企業が往々にしてサステナビリティの取り組みを義務的で利益を生まないものと見なしており、サステナビリティが自社の収益を守りながら真の変化に影響をもたらすチャンスだと認識できていないと指摘する。
「SB ESG シンポジウム Online 2022」全2回「統合思考経営」の実践と総括を開催
サステナブル・ブランドジャパンはサンメッセ総合研究所(代表:田中信康)と共催で、今年も「SB ESGシンポジウム online 2022」(全2回)を12月2日(金)と1月19日(水)に開催します。
脱炭素先行地域が目指すもの~カーボンニュートラル実現に必須な連携
11月1日に、政府によって第二回目の脱炭素先行地域20カ所が選定された。
2030年に向け一定地域の電力を100%脱炭素化する自治体中心の提案が、最終的に全国で100カ所超選ばれる。先行地域には再エネ交付金が上限50億円支援され、熱心な取り組みを進める市町村は少なくない。政府の進めるカーボンニュートラル実現への目玉政策であり、今後の日本の脱炭素実現の鍵ともなる仕組みと言ってよい。今回のコラムではそこで求められる連携を企業など需要家の立場も含めて考えてみる。生物多様性を応援する「GTFグリーンチャレンジデー」――東京・新宿御苑で3年ぶり開催
グリーンチャレンジデーは、生物多様性を意識するためのさまざまな行動を応援する日として、GTF(グレータートウキョウフェスティバル実行委員会)が環境省と共同で2010年に企画。この日を象徴する場として、例年秋口に開催されているイベントが 『GTFグリーンチャレンジデー』だ。一昨年と昨年はコロナ禍でリアル開催が見送られたが、今年はいつも通り都会のオアシス・新宿御苑を会場に、ステージやワークショップ、マルシェなど様々なプログラムが行われた。官公庁・企業・団体・市民が一丸となって取り組むこのイベントに、小学2年生の娘と妻の3人で参加してみた。(いからしひろき)
洗剤を使わず水循環、IoTを活用した運営でコインランドリー・ビジネスを変革する「wash-plus」の発想とは
洗剤を使わずアルカリイオン水で洗う独自の技術によってコインランドリーを展開する「wash-plus」(千葉県・浦安市)は、店舗運営や料金設定にIoTを活用した「スマートランドリー」を導入し、直営店に加え、星野リゾートや丸井にも採用されるなど店舗数を増やしている。スマホの専用アプリにより予約から決済までを行うだけでなく、気象情報とランドリー利用実績を連動させてサービスの需要に応じて価格を変動させる仕組みで、電力ピーク時のランドリー利用を減らす利用者の「ピークシフト」も実施する。今後は洗濯後の排水をろ過、殺菌して再利用する水循環システムも展開し、大幅な節水につなげることで水資源やインフラ設備の乏しい海外にも進出する考えだ。先進的な発想でコインランドリー・ビジネスを変える高梨 健太郎代表に話を聞いた。
(環境ライター箕輪弥生)MiiRやStanley などステンレスボトルのブランド、サプライチェーンのサステナビリティ実現に向け連携
日本でも販売されているステンレスボトルの米ブランド「Klean Kanteen」「MiiR」「Stanley」「YETI」はこのほど、4ブランドが共有する製造サプライチェーンでのCO2排出量を削減する機会や取り組みで連携すると発表した。連携プロジェクト「Drinkware CoLab」は、米アウトドア産業協会(OIA)が掲げる2030年までに世界初のクライメートポジティブな(温室効果ガスの排出量より削減量が多い)産業になるという脱炭素目標の達成に向けた大きな取り組みの一環だ。
年間1000トンの食品廃棄削減を目指す「フードレスキューセンター」をオイシックス・ラ・大地が本格稼働
有機・無添加食品やミールキットのサブスク販売を行うオイシックス・ラ・大地は、フードロス削減の推進を目的とした「フードレスキューセンター」を神奈川県海老名市で10月より本格稼働した。同社はこれまでに、不揃い食材の再利用やアップサイクルなどで年間310トンのフードロス削減を実現しているが、同施設の稼働により、今後3年間で年間1000トンの削減量の積み上げを目指す。このプロジェクトを取材すると、流通の川上から川下まで関与する食品会社の、フードロス問題に対する責任と覚悟が伝わってきた。(いからしひろき)
「FOOD MADE GOOD」アワード 兵庫のイタリアン店がサーキュラーエコノミーと大賞のW受賞
日本サステイナブル・レストラン協会(SRA-J)は14日、食にかかわる社会課題の解決に向けた飲食店の取り組みを評価する「FOOD MADE GOOD Japan Awards2022」の受賞者を発表した。2回目の今年は容器包装リサイクルの観点から、「サーキュラーエコノミー賞」を新設。独自の食品ロス削減の取り組みに加え、シェフの受け入れや他店舗のメニュー監修も手掛ける、兵庫県芦屋市のイタリアンレストラン「BOTTEGA BLU.」(ボッテガブルー)が同賞と大賞の両方でトップに選ばれた。
消費者の3人に2人が「環境破壊や気候変動を回避するために消費を半分に減らして構わない」
カナダの調査・コンサルティング会社グローブスキャンはこのほど、毎年実施している「健康的で持続可能な生活に関する調査」の2022年版を公表した。調査は、日本を含む31の市場(国・地域)の2万9293人を対象に実施。それによると、気候変動への関心は過去最高に高まっており、回答者の68%が「環境破壊や気候変動を回避するために消費を半分に減らしても構わない」という考えに「大いにそう思う」「どちらかといえばそう思う」と、さらに、18歳以下の子どもと暮らす回答者のうち過半数の63% が「子どもたちが環境問題や気候変動を非常に懸念している」と答えた。こうした世帯の回答者は持続可能な暮らしをしたいという強い願望を持ち、実際に大きな変化を起こしている割合が平均を上回った。
気候変動に企業はどう対応すべきか。ホップの聖地で見た、サッポロビールのレジリエンス強化策
世界中で気候変動が原因とみられる異常気象や自然災害が相次いでいる。これを受けて食品企業などは、脱炭素だけではなく、原料の収穫減などに対応する直接的な環境対策も迫られている。サッポロビールでは、気候変動に適応する大麦・ホップ新品種の開発を進め、2035年までの国内での実用化を目指している。それを可能にするのは、自社で大麦とホップを育種するなど創業時から連綿と培ってきた原料研究の成果だ。特にホップはビールの風味を決める大事な要素。ビールメーカーにとっては品質維持の生命線だ。その品種改良の実情を、同社の原料研究の聖地である北海道・上富良野で取材した。(いからしひろき)
脱炭素、ウェルビーイング…木を活用して社会課題解決へ 新「ウッドデザイン賞」最優秀4作品が決定
木で暮らしと社会を豊かにするものを表彰し、国内外に発信するための顕彰制度である「ウッドデザイン賞」の今年の上位賞が9日、決定した。8回目の今年は、木を活用して都市と地域に新たな価値をもたらす、業種横断型のプラットフォームとして昨年12月に設立された一般社団法人「日本ウッドデザイン協会」(隈研吾会長)が主催。これまで以上に脱炭素化や環境配慮、ウェルビーイングなど、時代の求める重要なテーマにいかに貢献しているかという視点に重きを置いて審査がなされたという。最優秀賞4点を紹介する。
米国調査に見る、サステナビリティに関心のある消費者とのコミュニケーションを強化する方法
サステナビリティに関するブランド調査を毎年行う米広告代理店「WE Communications(ウィ・コミュニケーションズ)」は9月、全米の18歳以上の成人2462人を対象にオムニバス調査を実施した。調査から分かったのは、若い世代は自らが社会や環境にもたらす影響、お気に入りの企業・ブランドがもたらす影響に関する実用的な情報を求めており、より持続可能な世界を実現するために自らのスキルを高めたいと考えているということだ。さらに、回答者のなかでも若い世代、女性、有色人種に該当する人たちは、企業・ブランドの行動が気候変動の解決策の一つになることを期待している。ウィ社のシャンテル・アダムス氏が、調査をもとにこうした層へのコミュニケーションを強化する上で重要な3つの視点を紹介する。(※今回の調査では、数値を加重平均しており、米国の成人を代表する数値と捉えている)
〝人的資本の好循環〟テーマに日本橋サステナブルサミット――11月28日、SB-Jが共催
サステナブル・ブランド ジャパン(SB-J)は、2022年11月28日に、一般社団法人「日本橋室町エリアマネジメント」との共催で、人的資本の好循環をテーマとした「日本橋サステナブルサミット」を室町三井ホール&カンファレンスと野村コンファレンスプラザ日本橋の2会場で同時開催いたします。レセプションのゲスト講演者には「Soup Stock Tokyo」を展開するスマイルズ代表取締役社長の遠山正道氏が登壇します。
都市の水上空間を有効活用するオランダ発のレクリエーション施設
世界の港湾には荒廃したまま放置されている場所も増えている。特に西ヨーロッパで顕著だ。都市化が進むなか、都市の空間はますます狭まり、住人はレクリエーションの場を失いつつある。有効活用できるはずの場所が放置されているのはもったいないことだ。オランダに本拠を置くハウスボートメーカー、フローティング・タイニーズは、木材や段ボールなどを使った組み立て式のプレハブ施設「ヴィッケルハウス」をつくるヴィッケルハウス社と協働し、都市の水上空間を活用した施設「ヴィッケルボート(Wikkelboat)」を開発した。持続可能な素材を使って建てられたヴィッケルボートは、オランダのロッテルダムやデンボスの港に新たな息吹をもたらしている。
パーパス✖️ブランディング「Brands for Good Summit」を11月29日、日本初開催
サステナブル・ブランド ジャパンは、2022年11月29日に、〝人にも地球にもやさしいブランドの在り方〟を議論する「Brands for Good Summit」を日本で初開催いたします。
3人に1人が極端な高温に直面する国に住み、4人に1人が高い頻度で熱波にさらされている――COP27前にユニセフが深刻な報告
11月6日からエジプト・シャルムエルシェイクで開かれるCOP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)を前に、気候変動による熱波のリスクが世界の子どもたちに与える影響について、ユニセフ(国連児童基金)が新たな調査結果を発表した。それによると、3人に1人の子どもが極端な高温に直面する国に住み、4人に1人が高い頻度で発生する熱波にさらされるなど、すでに子どもたちへの影響は増大している。予測では今後も状況は悪化する一方で、ユニセフは、各国政府が世界の気温上昇を1.5度に抑え、途上国への「適応資金」を2025年までに倍増させることがなければ、今後30年間で「より多くの子どもたちがより長期間、より気温が高く、より頻繁な熱波の影響を受ける」と警鐘を鳴らしている。(廣末智子)
フィンランドの木材大手が低炭素建築を可能にする大規模木材キット開発
建築や建築物から排出される二酸化炭素(CO2)は世界の排出総量の37%を占める。このうち約10%が、建材や建築過程からの排出分だ。こうした建築にまつわる膨大なCO2排出量を削減するために、フィンランドの製紙・木材大手のストラ・エンソはこのほど、建築現場にジャスト・イン・タイム(必要なものを、必要なときに、必要な数)で届けることができるプレハブ工法の大規模木材建築キット「Sylva(シルバ)」を発売した。欧米の教育現場では教室の過密化が問題となっており、同社はまず教育機関向けにキットを販売したい考えだ。
廃棄される紙パッケージとコーヒーの残りかすを掛け合わせたら何になる? ネスレ日本と日清紡グループが新たな共創へ
廃棄される紙パッケージと、コーヒーの残りかすを掛け合わせて生まれるものは?――。プラスチック削減に向けて紙包装化を進めるネスレ日本と、繊維産業における廃棄物の有効活用に取り組む日清紡グループの共創が、生活者にとって身近な素材を通して形になり、さまざまな試みがなされている。古紙を繊維に変え、衣服を製造する技術を可能にしたもので、現在、首都圏で回収した紙パックからつくった紙糸をコーヒー色に染め、「子ども服」へとアップサイクルして神戸市内の児童養護施設に届けるプロジェクトを展開中だ。
進化するサステナビリティ責任者の役割 不安定な時代に成功を収めるには
米連邦最高裁は今年7月、発電所の温室効果ガス排出量を規制する環境保護庁(EPA)の権限を制限する判決を下した。石炭産業が盛んな州や関連企業を代表してウェストバージニア州が、政府に排出量を規制する権限はないと訴えを起こしていた。この判決は今日の米国の気候変動対策をめぐる論調を表している。
エネルギー課題解決の大前提は冷静な議論――必須となる各種データと予測、そして論点の整理
ここにきてエネルギー費の異常な高騰、燃料の不足、ロシアの起こした侵略の中での脱炭素。百年に一度のことが、集中して発生し、地球を脅かしているといっても過言ではない。この1~2年のエネルギーに関する私たちの決断は、人類が持続的に生きていけるかの分かれ目になるかもしれない。
危機に瀕すると冷静さを失いがちである。しかし、こんな時こそ、出来るだけ落ち着いた議論を行って、よりましな選択をしなければならない。私たち、特に日本人は、エネルギーできちんと議論ができているのだろうか。短期的な事象にとらわれていたり、雰囲気に流されたりしていないだろうか。今回のコラムでは、改めて根本から立ちはだかる課題解決について考えてみたい。必要なのは、データと予測と多角的な論点の整理である。人も土壌も再生する代替食品の開発に挑む、シンガポールの食品スタートアップ
シンガポールの代替食品スタートアップ「WhatIF Foods(ワットイフ・フーズ)」は、植物性代替食品の原料としてこれまで使われてこなかった“バンバラ豆”を使用した代替ミルクなどを販売する。バンバラ豆は栄養価が高く、栽培が簡単で、土壌を健全に保つ役割を果たす植物だ。地球環境への影響を考えると、単に植物由来の代替食品を拡大するだけではなく、土壌や地域の健全性を実現するリジェネラティブな(再生型)農法を用い、大量に生産される大豆・オーツ麦などとは異なる原料を使用した代替食品がさらに必要とされる。この分野の先駆者を目指すWhatIF Foodsの取り組みについて話を聞いた。
第41回 ソロ・サステナビリティとコーポレート・サステナビリティ
ソロ動物園、ソロ水族館、ソロキャンプ…。グループや団体とは違い、ひとりで好きなことを好きな時に好きなだけ楽しめることが『ソロ』の最大の魅力のようです。もちろん、サステナビリティもライフスタイルの中で、ソロで取り組むことが大事です。ただ、企業(コーポレート)のサステナビリティは留意する点がありそうです。
古紙再生を障がい者の働きがいに!地域に寄り添う東北電力グループ
東北6県と新潟県を対象エリアとする東北電力グループ。2021年10月に「東北電力サステナビリティ方針」を制定するなど、社会貢献活動にも力を入れている。地域密着の姿勢は、経営理念である『地域社会との共栄』と、グループスローガン『より、そう、ちから。』に表れている。その中でも近年力を入れているのが、東北電力の特例子会社「東北電力フレンドリー・パートナーズ」と一体となって取り組んでいる障がい者雇用。彼らの仕事の中心にあるのが、エプソンの乾式オフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ)」だ。
スイスのカシミヤブランド、2段階にわたりサプライチェーンの透明性を証明しブランドの価値を向上
ここ数年間で、世界のファッションブランドがアジアのサプライチェーンにおける人権・労働権を侵害していることが明らかになってきた。下請けへの依存、原料・商品を複数の供給源に頼るというファッション業界に広く浸透する構造は、ブランドがサプライチェーン上で起きていることを手遅れになるまで把握できないという危機的状況を生み出している。
70年代オイルショック以来、デンマークがエネルギー危機に備えてきたこと、備えること
欧州はロシアによる天然ガス輸出制限により、深刻なエネルギー危機に陥っている。デンマークは日本と同様、70年代石油危機を経験したが、そこから自然エネルギーに舵を切り、現在は電力の半分以上を自然エネルギーで発電し、他の欧州諸国よりその影響が少ない。豊富な風力発電を軸に、電力の余剰分から水素やバイオガス、メタンなどを作る「Power-to-X」の動きも活発だ。政府は公共施設の室内温度を19℃に設定するなど節電や省エネを推奨し、市民も生活の中で工夫する。デンマークがエネルギー危機を回避するために行ってきた政策や今後の方針について、クリストファー・ベッツァウ エネルギー庁長官の講演やデンマーク在住のジャーナリスト北村朋子さんへのヒアリングからレポートする。 (環境ライター箕輪弥生)
全世界の拠点で2023年に100%再エネ化を――「ESG説明会」でエプソンが強調
「省・小・精」から生み出す価値で人と地球を豊かに彩る――。創業80周年を迎えたセイコーエプソンが、社会課題を起点にした活動を一層強化することで事業成長を果たし、それによってさらに多くの社会課題を解決する「価値向上のループ」を回し続けていくための事業変革を次々に打ち出している。昨年11月には国内の全拠点で再生エネルギーへの転換を実現、来年の2023年にはグループ全体で100%再エネ化を達成する見込み。このほど機関投資家や証券アナリスト、メディアを対象に初めて開かれた「ESG説明会」の内容をもとに、主に環境負荷低減に貢献する分野における同社の意気込みを改めて紹介する。
「地域脱炭素に再エネとアートの融合が必要」LAGI、大分の高校生向けに日本で初講演
再生可能エネルギーとパブリックアートの融合をめざすプラットフォームLAGI(Land Art Generator Initiative)は2022年夏、日本で初めて講演を開催しました。次世代人材の育成を目的に、STEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学を総合した教育)を推進する大分県から招待を受け、高校生向けにオンライン形式で開催しました。今回、LAGI日本代表・廣部嘉祥が、主催の大分県教育庁の釘宮隆之氏に感想などをうかがいながら、講演の様子について紹介します。
戦火で命を支えた医師・中村哲の闘いを描く――『劇場版 荒野に希望の灯をともす』
中村哲は医師として35年にわたり、アフガニスタンとパキスタンで貧困と病に苦しむ人々の支援を続けてきた。だが大干ばつが起き飢餓に陥る人が続出、人々を医療だけで救うことの限界を感じ、米軍の戦闘機が上空を飛び交う中、白衣を脱いで自ら用水路建設に着手した。『劇場版 荒野に希望の灯をともす』は、その長きにわたる渾身の活動をつぶさに記録したドキュメンタリー映画だ。テレビで放送した内容に、未公開映像などを加えてリメイク。平和な世界で人として生きたいと願う現地の人々に、「決して見捨てない」と真摯に向き合い続けた姿が多くの人の感動を呼び、静かにロングラン上映している。(松島香織)
廃プラ・廃木材を舗装材や建築資材に LIXILが再資源化の技術確立
家庭から出るビニール袋や発泡スチロール製のトレーなど、さまざまな素材が複合し、これまで再資源化が難しかった廃プラスチックに、建物の建築解体時に出る廃木材を組み合わせた新素材を、住宅設備メーカーのLIXILが開発した。ペットボトルをはじめプラスチックごみの分別回収が進んでいる日本だが、回収されている廃プラスチックのうち再資源化されているのは24%にとどまっているのが現状とされる。同社は残り76%の活用に挑み、新素材を舗装材や建築資材などさまざまな用途に展開し、将来的にそれらを水平リサイクルすることで、「持続可能な社会と地球環境の保全の両立を追求する」としている。
国内最大級のミックスプラスチック・リサイクル工場 プラニックが静岡県御前崎市で稼働
リサイクルの分野では材質の異なるプラスチックが混合された廃プラスチックの処理が大きな課題になっているが、リサイクルプラスチック製造事業会社のプラニックは10月11日から、国内最大規模となるミックスプラスチック(以下、ミックスプラ)のリサイクル工場を静岡県御前崎市で本格稼働させた。これまで自動車由来のミックスプラは、材質ごとの選別が困難なことから、ほとんど再資源化されていなかった。しかし、今回国内に初導入された最新技術を使えば、自動車部品の水平リサイクル「Car to Car」が実現可能になるという。同工場では年間約4万トンの廃プラを受け入れ、来年度中に約2.4万トン、段階的に約3.2万トンのリサイクル原料の生産を目指す。稼働開始当日に行われた工場視察と記者会見を取材した。
みずほリサーチ&テクノロジーズが活用する、ノルウェー発のCO2削減行動を促進するツールとは
2050年カーボンニュートラルの達成に向け、国内でもさまざまな取り組みが進んでいる。みずほリサーチ&テクノロジーズは2019年から、ノルウェー発のカーボンフットプリント可視化サービス「Ducky(ダッキー)」の国内展開を進めている。アプリを使い気候変動への取り組みを自分ごと化し、組織が一体となって対策に取り組むことを目的に開発されたものだ。ダッキーとはどのようなもので、何を狙いとしているのか。チームで事業の開発に携わる勝山大輔さんに話を聞いた。(松尾沙織)
企業研修業界にも地球環境や人を重視するリジェネラティブな視点を ノルウェーで始まった連携
企業のサステナビリティへの取り組みが広がる中、ノルウェーでは9軒の宿泊施設が集結し、本質的に持続可能で、リジェネラティブな体験を企業の研修旅行に取り入れ、企業研修の在り方を再定義しようとする試みが始まっている。9軒が参画するプラットフォーム「Ærli(アーリ)」について代表者らに話を聞いた。
「サステナブル・ブランド国際会議2023東京・丸の内」早期登録・特別割引を開始
サステナブル・ブランド ジャパンは11月中旬までの期間限定で、2023年2月に開催する「サステナブル・ブランド国際会議2023東京・丸の内(以下SB’23 東京・丸の内)」に特別価格で参加できる早期登録の受付を開始いたしました。
深刻化する生物多様性 過去50年で69%、淡水域では83%減少、「2030年までにネイチャー・ポジティブの確立を」――WWFが報告
2030年までに生物多様性の損失を反転させ、自然が回復したネイチャーポジティブな世界を確立することが不可欠――。世界自然保護基金(WWF)がこのほど発表した、地球環境の現状を包括的に報告する「生きている地球レポート2022」で、生物多様性の豊かさは1970年から2018年の間に地球全体で平均69%失われ、中でも脊椎動物種の3分の1が生息している淡水域では83%減と深刻な影響を受けていることが分かった。レポートはWWFが1998年以降、隔年で発表しているもので、今年は11月にエジプトで気候変動に関する国連会議COP27が、12月にはカナダで国連生物多様性条約の第15回締約国会議COP15が開かれるのを目前に、世界の気温上昇を産業革命前から1.5度未満に抑えつつ、生物多様性の回復を目指す道筋を提言するなど、気候危機と生物多様性の危機を同時に解決することの重要性を訴える内容になっている。
人権課題への対応が生み出すポジティブインパクト
2011年に国連で「『ビジネスと人権』に関する指導原則」(以下、「指導原則」)が採択されて以降、人権尊重の取り組みを企業に求める法規制が欧州を中心に広がっています。日本でも2020年に「ビジネスと人権に関する行動計画」(National Action Plan =NAP)が、2022年には「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」(以下、「政府ガイドライン」)が策定され、人権に対する企業の意識はますます高まっています。
私たちが「自分は美しくない」と思わせる固定概念を無くそうーー資生堂の SEE,SAY, DO. プロジェクトが投げかける意味合い
性別や年齢、国籍や障がいの有無などによって、人が人をこうだと思い込み、知らず知らずに傷つけてしまう、「Unconscious Bias、アンコンシャス・バイアス=無意識の思い込みや偏見」が、社会の多様性を阻む大きな要因と指摘されている。そのなかでも、中心に「美」の概念を置き、「自分らしい美しさを制限する無意識の思い込みや偏見」と定義した「Unconscious Beauty Bias(以下UBB)」をなくすことで、全ての人が個々の美しさに共鳴し合える世界の実現を目指そうと、資生堂が動き始めた。同社が世界88カ国で展開するブランド「SHISEIDO」が先月からグローバルにスタートさせた、その名も「知り(SEE)、議論し(SAY)、アクションを起こす(DO)」プロジェクトの意味合いを紹介する。
気候変動目標とCEO報酬をどう連動させるか 米調査から明らかになった課題
ESG投資を促進する米国の非営利団体As You Sowはこのほど、温室効果ガスの排出量が多い米企業47社のCEO報酬制度に排出量削減目標の達成度がどのように反映されているかを調べた新たな報告書を発表した。報告書は、調査の対象となった大多数の企業の現状について、報酬の算定基準となる指標が厳密でない上に、指標に連動する報酬の割合が小さく、パリ協定に整合するレベルで気候変動対策を促進するには不十分だと指摘する。
過去1年のサステナブル商品の購入率、日本が最も低いのはなぜか? PwCの日中米英・消費者調査から分かったこと
PwC Japanグループは、日中米英の4カ国1万2000人を対象にしたサステナビリティに関する消費者調査の結果を発表した。過去1年間でサステナブルな商品を購入した割合は、日本が最も低く、他国とは20%以上の差があった。世界的にサステナブル市場は成長し、国際ルールも変化する中、日本企業は国内市場に合わせるだけでは国際競争力を失う懸念もある。今回の調査では、日本のサステナブル市場の現在地を浮き上がらせ、消費者を巻き込みながらサステナビリティ経営を推進するための具体的なヒントが明かされている。調査を担当したPwCコンサルティングの入江頼子氏とPwCサステナビリティの上田航大氏に、青木茂樹・サステナブル・ブランド国際会議プロデューサーが話を聞いた。
工場から排出された一酸化炭素を原料に使ったランニングシューズ スイス企業が開発
スイスのスポーツブランド「On(オン)」はこのほど、工場から排出された一酸化炭素をリサイクルしてつくった高性能クッション材を使用したランニングシューズ「クラウドプライム」を発表した。シューズのアッパー部分には同じく工場から排出された二酸化炭素を原料につくられたポリエステル繊維が使われている。
政府が人権DDガイドライン策定 国際規範、企業活動の実態に対応
政府は9月中旬、すべての日本企業に国内外のサプライチェーン上における企業活動が人権侵害につながることがないよう求める「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定した。近年、ウイグル族の強制労働問題などを念頭に、欧米を中心に義務化が加速している「人権デューデリジェンス(DD)」の指針で、国際規範に基づき、企業活動の実態に即した対応を具体的に解説しているのが特徴だ。もっとも法的拘束力はなく、今後、どれだけの日本企業が内容を遵守し、海外での強制労働や児童労働の根絶、さらには技能実習生ら国内の脆弱な立場に置かれている労働者の人権救済に実効性を発揮するかが注視される。(廣末智子)
日本マクドナルド、全国で紙ストローと木製カトラリーに順次切り替え
日本マクドナルドは7日から、全国約2900のマクドナルドの店舗で提供するストローを紙製に、スプーンとフォーク、ナイフとマドラーを木製に順次切り替える。いずれもFSC認証を用いた材質とし、マクドナルドがグローバルで掲げる消費者に提供するすべてのパッケージ類を「2025年末までに再生可能な素材、リサイクル素材、または認証された素材に変更する」というコミットメントの達成に向け、日本でも動きを加速する。 (廣末智子)
代替たんぱく事業者向けのESG情報開示枠組み誕生
畜産関連の投資家ネットワーク「FAIRRイニシアティブ」(英ロンドン)と、代替たんぱくを推進する国際非営利団体「Good Food Institute」(以下GFI、米ワシントンD.C.)はこのほど、代替の肉や水産物、卵、乳製品を生産・販売する企業が気候変動・生物多様性・栄養といったESG課題への自社のインパクトをより正確に評価できるようにするためのESG情報開示ガイドラインを開発した。
カンヌライオンズに学ぶパーパス・ブランディングとは――2022年度第2回SB-Jフォーラム
サステナブル・ブランド ジャパンの法人会員コミュニティによる「2022年度第2回 SB-Jフォーラム」がこのほど博展(東京・中央)本社とオンラインで開かれた。今回は世界最大の広告の祭典であり、「国際クリエイティビティ・フェスティバル」の名前で毎年開催されている「カンヌライオンズ」の近年の受賞作品から企業のコミュニケーション手法のヒントを得ようという趣向で、約3時間半にわたる報告と討議が行われた。参加者は地球環境や社会を変える大きなインパクトを持つ最先端の広告作品の世界観に引き込まれつつ、自社の目指すべきパーパスブランディングのあり方について考えた。
コーヒーと、ニワトリと、農作物と。「NIWATORI COFFEE」がつくる都市と地方・農業を結ぶ循環の拠点
東京、杉並区の住宅街に1軒のカフェがオープンした。その名も「NIWATORI COFFEE(ニワトリコーヒー)」。「なぜ、ニワトリ?」と思う人も多いだろう。しかしこれには、確固たる理由がある。「ここは、ニワトリに由縁があるカフェなんです」。そう語るのは、カフェを運営する liveR(愛媛・四国中央)の岡本健三さん。聞けば、このカフェでは、廃棄されるコーヒーかすを良質な有機性資源にしているという。また、その過程でニワトリが重要な役割を担っていた。
廃棄された綿から上質な紙をつくる、繊維の資源循環の新たなカタチができるまで
年間約137万トン発生するという日本の繊維ゴミ。8割以上が廃棄されるという膨大な繊維廃棄物を繊維ではなく紙として生まれ変わらせるサーキュラーな取り組みが軌道に乗り始めた。廃棄された綿のハンカチやワイシャツなどから、ふくよかで上質な紙が生まれ、さまざまな紙製品に使われる。スタートしてまだ1年のプロジェクトだが、賛同するパートナー企業が拡大し、日本の祭りを彩るねぷたなどの素材としても活用が始まった。
バイオ×ケミカルでイノベーションを起こす 積水化学の生物多様性戦略
昨今、カーボンニュートラルに次ぐ世界の目標はネイチャーポジティブだと言われる。TNFD(自然関連財務開示タスクフォース)の開発や、今年12月にカナダで開かれる国連生物多様性条約の第15回締約国会議(COP15)を前に、気候危機と生物多様性の危機は同時に解決すべき問題だという認識は強まるばかりだ。
都心のビル屋上に子どもたちが集まる「食べられる校庭」 平和不動産が描く未来の都市づくり
2022年春、オフィス街・日本橋茅場町の一角にあるビルの屋上に、子どもたちが「育て、食べる」ことを学ぶための食育菜園「Edible KAYABAEN(エディブル・カヤバエン)」が誕生した。平和不動産、ユニバーサル園芸社、エディブル・スクールヤード・ジャパンの3者が協働し、次代を担う子どもたちが集まる新たな居場所を都市につくりだすプロジェクトだ。プロジェクトにかける思いや、この街の開発のこれから、米国で始まり日本でも取り組みが広がる“エディブル・スクールヤード(食べられる校庭)”について話を聞いた。
タイヤの摩耗粉がもたらす環境汚染に挑む 真のゼロエミッション車を目指す英スタートアップ
自動車がもたらす公害は排気ガスだけではない。走行時に生じるタイヤの摩耗粉も大きな課題だ。英ロンドンに本拠を置くスタートアップ「タイヤコレクティブ(The Tyre Collective)」はタイヤの摩耗を調査し、微粒子を発生源で捕らえる技術を開発している。
愛媛・三浦工業の「紙ンバックプロジェクト」 古紙再生から始まる企業間パートナーシップで地域貢献を目指す
愛媛県松山市でボイラーや水処理機器などの製造販売を行う三浦工業が、県内のパートナー企業らとともに取り組んでいるのが「紙ンバックプロジェクト(カミンバックプロジェクト)」だ。エプソンの乾式オフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ)」を使い、古紙を価値あるものに変え、地域社会へ循環させていきたいという思いからスタートした異業種合同プロジェクト。今年4月にその第1弾として、地元中学校での“出前授業”とワークショップが行われ、8月には同校が三浦工業の古紙再生現場を見学した。
第40回 レジリエンスでつかむ!時代を味方につける競争力
台風一過の九州南部に出張したことがあります。前日までの暴風が想像できないくらいの爽やかな青空に、南国のシンボルであるワシントニアパームの並木が映えていました。空港から目的地に向かうタクシーの運転手さんに声をかけてみました。彼の放った一言から、時代のキーワード「レジリエンス」の本質を垣間見ることができました。
欧州を襲うエネルギー費高騰の嵐 原因と緊急対応の実際と日本への影響
ロシアのウクライナ侵略が拍車をかける欧州のエネルギー費高騰が止まらない。長くロシアからの化石燃料、特に天然ガスに頼ってきた欧州のエネルギー事情とコロナ禍からの経済復調などを背景に価格爆発の様相を呈している。来年には、英国の一般家庭では、ガスと電気代が年間100万円を超えるという予測が出ている。また、再生エネ電力が半分を占めるドイツでさえも託送料の値上げなどを含めると1kWh当たりで100円という凄まじい数字さえ聞こえてくる。この事態に欧州委員会は緊急対策に着手し、これまでの市場の在り方を覆すドラスティックな提案まで示している。
地域金融機関が目指す、脱炭素と経済循環の両立 秋田・北都銀行の取り組み
脱炭素社会に向けて、先進企業は国際的な競争から取り残される危機感に迫られ、「脱炭素経営」に大きく舵を切り始めている。一方で、前回お伝えしたように、地方自治体の中には脱炭素へのモチベーションが高まらず、何から始めるかさえ迷っているところも珍しくない。