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2012年04月29日

珈琲の香り・・・

珈琲より紅茶が好きと仰る方、珈琲はインスタントに限ると仰る方、珈琲はド・トールのスタンドかミスタードーナッツorファミレスの沸かし置きで十分と仰る方、最後にミルクと砂糖が入らない珈琲なんて邪道だと仰る方々、残念ですがこの項は飛ばして下さい。

珈琲は、焼きたて、挽きたて、入れたての三たてがそろったストレートをブラックで呑んでこそ旨いのだとお考えの方の為だけに存在する珈琲屋さんが盛岡にあります。

そのお店の名は、「KURA珈琲店」と言い、盛岡の南の郊外に存在しています。
某24時間営業スーパーの駐車場の中に残された、古い土蔵を改造して喫茶店として営業している事から、店名を「KURA珈琲店」と名乗っています。

入り口から中にはいると、土蔵特有の高い天井の割に暗めの照明をわざと低い位置に吊すことで、落ち着いた雰囲気をより引き立たせた店内に、8席余りのカウンターと4人掛けのテーブルが4卓置かれていて、大黒柱の周りやテーブルの脇に生豆の入った麻袋が何袋も所狭しと積み上げられており、入り口から見て右手の焼き上げられた豆が大きな花瓶位の密封瓶に入れられて並んだ棚の奥の背丈ほどもあるガス式のロースターの隣に、ご主人が生豆をざるに広げて、壊れていたりカビの付いていたりする屑豆をはじいている姿を見つけることが出来ます。

そしてあなたはまっすぐにカウンターに進み、ちょっと高めの丸椅子に腰を落ち着けます。
このときあなたは、カウンターにもテーブルの上にも普通の喫茶店にあるべき物・・・・「砂糖壺」が無いことに気づくはずです。
そう、ここはブラック珈琲専門のお店なのです!!

おもむろにご主人が差し出すメニューを見ると、そこには十数種類のストレートの銘柄と、数種類のオリジナルブレンドの名前が並んでいます。
同じ銘柄でも焙煎度の違うものが入っていたりもします。たとえば、モカ系とか・・・
ちょっと探るような目つきをした、ご主人の無言のプレッシャーにもめげず、堂々とお好みの銘柄を指名します。
もし、はっきり決まった銘柄がないのなら、苦み系とか、酸味系とか、バランス系とかと好みの味を告げて、ご主人にチョイスしてもらうと良いでしょう。
(このときに100円の追加で2杯分飲める、サーバー付きでと注文するとお得です。)

ご主人は、カウンターの後ろから注文の豆が入った小瓶を取り出し、掃除機の付いた大型のミルに計量スプーンで3杯ほどの豆を入れます。
店に漂う挽きたての豆の匂いを嗅ぎながら、ご主人がペーパーフィルターで珈琲を落とすのを眺めていると、焼きたてのたっぷり膨らむ粉が、ドリッパーから溢れそうな程に盛り上がり、そして澄んだ珈琲がサーバーに落ちてゆくのが見えます。
およそ2杯分程の珈琲が抽出された頃に、ドリッパーを外して、サーバーからあらかじめ暖めたその銘柄専用のカップに珈琲を注ぎ入れ、いよいよあなたの前にサーブされます。
(数種類のカップが用意されており、色々なカップで呑みたいためにいろんな銘柄を試してみられる方もいらっしゃいます。)

あなたはまず黙ってカップから漂う珈琲の香りを確かめ、ついでちょうどビールの泡が消える前にコップを空にするように、珈琲が冷めない内に呑みきります。
屑豆を綺麗に掃除した粒よりの豆を使い、ミルに付いた掃除機の効果で、挽いた時に出る渋皮と微粉末を取り除かれた粉から抽出された澄んだ味わいに、今まで他の店で呑んでいた珈琲とホントに同じ銘柄の珈琲だろうか?とちょっとしたカルチャーショックを受けること請け合いです。

そしてあなたは、まだ湯気の立つ空になった珈琲カップを目の前にして、深い満足を味わっているあなたを見つめるご主人の眼差しが、メニューを差し出したときとは打って変わって暖かなものになっていることに気づくでしょう。

そうしたら、ご主人と好みの銘柄についてとか、焙煎の濃さ、きちんとハンドピックする事がどれだけ味わいに影響を及ぼすのかと言ったことを話題にして会話してみましょう。

これがこの店で満足すべき時間を過ごすための大切な作法です。

このご主人は、この店は、いわゆる時間と空間を売っているのではなく、あくまで珈琲を売っているんだとの信念に燃えていて、しかも砂糖とミルクは珈琲の本当の味わいを損ねるので、きちんとドリップした珈琲には使ってはいけないとの固い信条をおもちなので、入店早々に声高に騒いでいたり、珈琲以外の飲み物を所望したり、珈琲を冷めるままに任せて話し込んでいたり、珈琲に入れるミルクと砂糖を所望したりすると、途端に機嫌が悪くなり、そう言うお客様はお断りいたしておりますと退店を命ぜられてしまう、いわゆる典型的な店が客を選ぶタイプのお店なのです。

ですから、冒頭に挙げた条件に一致する方は決して近づいてはいけません。
しかし出される品物は皆確かであり、珈琲好きなら一度は試してみるべきお店と思います。
サイドメニューに乗っている、オリジナルのチーズケーキ(特にベークド)というヤツがかなりいけるので、珈琲は好きだがブラックはちょっとと仰る方でも、このチーズケーキを頬張りながらなら結構いけると思います。
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posted by shirokuma at 10:14| Comment(0) | 食べ歩き
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