法学部の大学生、法学部以外の大学生、社会人の方…。
多くの人に法科大学院に入学する機会は開かれています。
しかしいざ法科大学院を目指そうと思っても予備校に通うのは経済的な負担が大きすぎるという悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
そこでここでは予備校を使わずに法科大学院に合格することはできるのかについてその注意点と共に解説していきたいと思います。
目次
法科大学院に独学で合格できる?
法科大学院には基本的に法律の基礎部分が身についていることを前提としてカリキュラムが組まれている既修コースと、初学者であることを前提としたカリキュラムが組まれている未修コースがあります。
そして前者のコースの入試は法律に対する基本的な理解を問う問題、後者のコースの入試は思考力や分析力を問う小論文の入試が課されます。
ではそれらのコースに独学で合格することはできるのでしょうか
(1)既修コースに独学で合格できるのか
結論からいいますと、既修コースに独学で入学することは十分に可能です。
たしかに予備校を利用したほうが勉強のペースやその方針などがつかみやすくより容易に入試に合格できることは確かです。
しかし最難関といわれる東京大学法科大学院でさえ、入試で問われる法律知識は基礎的なものが多いです(応用問題が出題されても多くの受験生は解けないのでそこで合否は決定づけられません)。
そうだとすると市販のテキストや過去問を利用することによって十分に独学で合格レベルまで到達することは可能です。
もっとも社会人の方や、学部3年次以降の方など時間的な余裕が少ない方はできる限り効率の良い勉強をする必要があるので予備校を利用したほうが確実です。
(2)未修コースに独学で合格できるのか
未修コースも、独学で入試に合格することは十分に可能です。
もっとも法律の基礎知識を身につけ、基本事例を処理できれば合格レベルに到達できる既修コースと異なり、未修コースは志望する大学院の傾向に合わせた小論文の対策が必要になってきます。
また小論文の書き方にもノウハウがありますが、法科大学院入試の小論文に特化した市販のテキストの数は少ないのが現状です。
そのため独学で小論文にチャレンジしてみて、いまいちその書き方がつかめないという人は予備校を利用することをお勧めします(未修コース対策の講座は、既修対策の講座と比較すると回数も少なく、安価であるため経済的負担も大きくないと考えられます)。
※関連コラム:法科大学院(ロースクール)入試対策ができる予備校・通信講座3社を比較!費用は?
既修コースを独学で受験する際のポイント
予備校を利用しての勉強と比較したときに独学での勉強で注意しなければならない点は、
①スケジュール管理がおろそかになる危険がある
②答案添削を受ける機会ない
という点にあります。
そのウィークポイントを補うためにはどのような手段があるのでしょうか
①スケジュール管理について
スケジュール管理で重要なことは「短期目標を定める」ということです。
大学生も社会人も、勉強以外にもやるべきことやりたいことが多くあり、また周りにも勉強中心の生活をしている人はほとんどいないはずなので、ついつい勉強を後回しにしがちです。
そんな中で意識してほしいことが、自分に短期目標を課し続けることです。
例えば、「〇日までに過去問を何問解く。」とか、「明日の授業の空きコマはこの分野の復習をして〇〇ページの論証を完璧にする。」等です。
この際のポイントは、客観的に目標を立て、事後的にその目標が達成できたかを検証できるようにすることです。
このような短期目標を確実にクリアしていくことで自分一人でも適切なスケジュールで勉強できるようになると思います。
②添削の機会をできるだけ増やす
この点が予備校を利用しないことの一番のウィークポイントです。
もし可能であれば過去問の対策講座だけでも予備校の講座を利用するであるだとか、ネットでの答案添削を受け付けている個人の方もいますのでこれを利用することをお勧めします。
もしくは志を同じくする友人を見つけ、自分のお互いの答案を交換し合って添削しあうのも効果的です。
しかし社会人の方ですとなかなか勉強仲間を発見するのが困難な場合もあると思います。
そのような時は合格者の再現答案が市販の教材に掲載されていたり、インターネットにアップされていたりしますので、それと自分の答案を見比べて違いを発見するという勉強法が考えられます。
未修コースへを独学で受験する際のポイント
未修コース合格を目指す独学での勉強を予備校を利用しての勉強と比較したときに、主にウィークポイントなるのは、
①小論文のノウハウが学べない
②添削の機会が得られない
という二点だと考えられます。ではその二点を補う手段はどのようなものがあるのでしょうか
①小論文のノウハウを学ぶ
確かに法科大学院対用の小論文対策の教材の数は少なく、市販の教材だけでは十分な学習ができません。
しかし、法科大学院ではなく、大学入試や就職活動用の小論文の教材は市場にあふれています。
そこでまず志望する法科大学院の小論文の出題の傾向を分析し(予備校が無料でYouTube等に分析講座を配信している場合もあるのでぜひ利用してください)、その傾向に近い大学や就活の小論文対策のテキストを利用するという手段が考えられます。
②添削の機会をできるだけ増やす
既修コース同様、添削講座のみ予備校の講座を利用するという手段がまず考えられます。
この手段が一番確実で、上手に使えば添削を通じて①の小論文作成のノウハウまで学ぶことができるでしょう。
もしくは志を同じくする友人や合格者の先輩に添削してもらう手段も考えられますが、既修コース同様社会人の方にはそのような友人や先輩は少ないと思われます。
そのような場合には小論文に特別の知識がある人でなくとも構いませんので第三者に自分の小論文に目を通してもらい、自分の主張が伝わるのかだけでも確認してもらうべきです。