原子力総合パンフレット Web版

2章 原子力開発と発電への利用

原子力発電のしくみ

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原子力発電のしくみ

原子力とは、文字通り「原子の力」を表しますが、大きなエネルギーを発生させるものとして核分裂と核融合があります。
核分裂は、原子核が分裂することです。核融合は、複数の原子核が合わさり、一つになることです。このような大きなエネルギーを発生させる現象のうち、原子力発電は核分裂の際に発生するエネルギーを発電に利用しています。
原子力発電の燃料になる天然のウランには、核分裂しやすい約0.7%のウラン235と、核分裂しにくい約99.3%のウラン238が含まれています。ウラン235には、核分裂によって熱エネルギーを発生させるという特徴があります。
ウラン235の原子の中心にある原子核に、中性子があたると、原子核が二つに分裂します。その際に、膨大な熱エネルギーが発生し、同時に中性子も発生します。この中性子が別のウラン235を核分裂させ、さらに、それにともなって発生する中性子が、別のウラン235を核分裂させる、というように核分裂の連鎖反応が起こります。
このように連鎖反応が一定の割合で起きている状態を臨界といいます。また、核分裂の際には、放射性セシウムなどの核分裂生成物も生じます。
原子力発電所では、ウラン235の濃度を3~5%に高めた濃縮ウランを粉末状の酸化物にし、直径・高さともに約10mm程度の円柱形に焼き固めたペレットを燃料として利用しています。
原子力発電所では、原子炉の中でウラン燃料を核分裂させ、その際に発生する熱エネルギーを使って水を蒸気に変え、この蒸気によってタービンを回して発電機で電気をつくっています。
タービンを回し終わった蒸気は、海水によって冷やすことで、もとの水に戻されます。

サイト内ページ:原子炉の種類

  • 関連情報(詳細):電気事業連合会
    「火力発電と原子力発電の
    しくみの違い・核分裂反応」

天然ウランと濃縮ウラン