法曹を目指す場合、法科大学院に通って司法試験を受験するのが一般的です。
そして、法科大学院を選ぶ際に一番重要なファクターとなるのが司法試験合格者数・合格率です。
本コラムでは、これから法科大学院を目指す方に向けて、法科大学院別の司法試験の合格率・合格者数をランキング形式でご紹介!
既修と未修による違いも併せて解説していきます。
目次
2022年 法科大学院のおすすめランキング
法科大学院を選ぶ際には司法試験の合格率が高い法科大学院がおすすめです。
文部科学省によると、日本では現在35の法科大学院が学生を新規募集していますが、大学院によって司法試験の合格率は、8.3%~68.0%と約60%も差があります。
令和4年度法科大学院の司法試験合格者数が10名以上で合格率が50%を超える法科大学院は、「京都大法科大学院、東京大法科大学院、一橋大法科大学院、慶應義塾大法科大学院、東北大法科大学院」の5校のみ。
法科大学院全体における平均合格率は37.7%と低迷している状況です。
司法試験の受験資格が得られても合格することができなければ、法曹になることはできません。
法科大学院への進学を考えている人はできるだけ司法試験の合格率が高い法科大学院を目指しましょう。
ランキング | 法科大学院名 | 合格率 | 受験者数(人) | 最終合格者数(人) |
---|---|---|---|---|
1位 | 京都大法科大学院 | 68.0% | 175 | 119 |
2位 | 東京大法科大学院 | 60.9% | 192 | 117 |
3位 | 一橋大法科大学院 | 60.0% | 110 | 66 |
4位 | 慶應義塾大法科大学院 | 57.5% | 181 | 104 |
5位 | 東北大法科大学院 | 56.3% | 48 | 27 |
6位 | 愛知大法科大学院 | 50.0% | 4 | 2 |
7位 | 神戸大法科大学院 | 48.6% | 111 | 54 |
8位 | 大阪大法科大学院 | 45.9% | 111 | 51 |
9位 | 早稲田大法科大学院 | 44.8% | 232 | 104 |
10位 | 創価大法科大学院 | 37.5% | 32 | 12 |
11位 | 大阪市立大法科大学院 | 36.6% | 41 | 15 |
12位 | 九州大法科大学院 | 33.3% | 66 | 22 |
13位 | 南山大法科大学院 | 33.3% | 15 | 5 |
14位 | 筑波大法科大学院 | 32.7% | 55 | 18 |
15位 | 日本大法科大学院 | 32.0% | 75 | 24 |
16位 | 同志社大法科大学院 | 30.9% | 81 | 25 |
17位 | 岡山大法科大学院 | 30.8% | 26 | 8 |
18位 | 関西大法科大学院 | 28.3% | 53 | 15 |
19位 | 北海道大法科大学院 | 27.8% | 54 | 15 |
20位 | 近畿大法科大学院 | 27.3% | 11 | 3 |
21位 | 名古屋大法科大学院 | 26.9% | 52 | 14 |
22位 | 中央大法科大学院 | 26.2% | 191 | 50 |
23位 | 専修大法科大学院 | 25.9% | 27 | 7 |
24位 | 立命館大法科大学院 | 25.3% | 75 | 19 |
25位 | 西南学院大法科大学院 | 25.0% | 16 | 4 |
26位 | 関西学院大法科大学院 | 24.1% | 29 | 7 |
27位 | 東京都立大法科大学院 | 23.6% | 72 | 17 |
28位 | 広島大法科大学院 | 22.7% | 22 | 5 |
29位 | 法政大法科大学院 | 22.2% | 54 | 12 |
30位 | 熊本大法科大学院 | 22.2% | 9 | 2 |
31位 | 千葉大法科大学院 | 20.8% | 48 | 10 |
32位 | 甲南大法科大学院 | 20.7% | 29 | 6 |
33位 | 福岡大法科大学院 | 19.0% | 21 | 4 |
34位 | 明治大法科大学院 | 18.6% | 86 | 16 |
35位 | 成蹊大法科大学院 | 16.7% | 6 | 1 |
36位 | 駒澤大法科大学院 | 16.1% | 31 | 5 |
37位 | 立教大法科大学院 | 14.3% | 21 | 3 |
38位 | 琉球大法科大学院 | 13.8% | 29 | 4 |
39位 | 上智大法科大学院 | 13.3% | 45 | 6 |
40位 | 学習院大法科大学院 | 12.5% | 40 | 5 |
41位 | 名城大法科大学院 | 11.1% | 9 | 1 |
42位 | 横浜国立大法科大学院 | 9.5% | 21 | 2 |
43位 | 青山学院大法科大学院 | 9.1% | 11 | 1 |
44位 | 金沢大法科大学院 | 8.3% | 12 | 1 |
※参考:司法試験の結果について
※合格者数が0人の法科大学院については記載していません。
令和4年度の予備試験合格者の司法試験合格率が約9割程度なのに対し、法科大学院の中で合格率の高い京都大学ロースクールでの合格率は7割弱にとどまります。
そして、ほとんどのロースクールは、合格率が3割以下です。
これらのことから、司法試験が超難関試験と呼ばれる所以がお分かりいただけるのではないでしょうか。
なぜこのような数値になってしまうのか、考えられる理由は以下の2つです。
①既修未修の区別をしていないから
②ロースクール入試のレベルに大きな違いがあるから
まず、既修者と未修者ではスタートラインが大きく異なります。
当然ですが司法試験は既修者コース修了者の方が受かりやすいです。
事実、既修のみに限ると、法科大学院全体における平均合格率は45.4%と上昇します。
したがって既修者の方はそこまで悲観する必要はありません。
次に、合格率40~60%を誇るいわゆる上位ロースクールは入試の難易度が高いため、そもそも入学者のレベルが高いということがいえます。
そして、かかるレベルの違いが合格率にも反映されています。
したがって、司法試験に確実に合格したいのならば、できるだけ合格率の高いロースクールを狙うことが重要です。
法科大学院の既修・未修による合格率の違い
法科大学院出身者の未修・既修別の司法試験合格率は以下の通りです。
年度 | 既修合格率 | 未修合格率 |
---|---|---|
令和4年 | 47.7% | 21.4% |
令和3年 | 45.4% | 18.2% |
令和2年 | 43.7% | 17.6% |
令和元年 | 40.0% | 15.6% |
平成30年 | 33.2% | 15.5% |
平成29年 | 32.7% | 12.1% |
平成28年 | 30.7% | 11.6% |
平成27年 | 32.3% | 12.6% |
平成27年から令和3年の既修者の合格率がおおむね30%~40%前後で推移しているのに対して、未修者の合格率は10%代で推移しており、大きな差があることが分かります。
そもそも既修者は学部で法律を4年間学んでいるのに対し、未修者は他学部卒業者や社会人がほとんどなため、このように差が生まれるのは当然なのかもしれません。
とは言え、既修コースの合格率も法科大学院によってまちまちです。
未修者コースでも、一部の上位ロースクールは30%前後の合格率を毎年維持しています。
もちろん、合格率の高さだけですべてが決まるというわけではありませんが、それぞれの法科大学院で合格率に大きく差があることは知っておくべきでしょう。
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司法試験合格率上位のロースクール6校を紹介
京都大学法科大学院
合格率60%を超える実績を持つ超一流ロースクールです。
京都大学ロースクールは、多様性・開放性をポリシーとしており、多様なバックグラウンドを持つ受験生を広く受け入れています。
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法科大学院(ロースクール)選びのヒントとして、平成26年以降司法試験合格率でトップ3を維持し続けている京都大学法科大学院の特徴や入試の内容、倍率などを見ていきます。
一橋大学法科大学院
東京大学ロースクールが毎年既修未修合わせて200名以上を募集するのに対し、一橋大学ロースクールは85名程度しか募集しません。
にもかかわらず、例年高い合格水準を誇っている、非常にレベルの高いロースクールです。
すなわち、一橋ローでは少数精鋭でレベルの高い学問研究を行うことが出来るといえます。
また、一橋大学法科大学院では、第一次選抜がTOEICのスコア評価なので、あらかじめハイスコアを取得しておく必要があります。
東京大学法科大学院
いわずと知れた超名門ロースクールです。
第一線で活躍する実務家・研究者の下で最先端の学問研究をすることができます。
また、国際的なカリキュラムも充実しています。
慶応大学法科大学院
合格率50%を超える唯一の私立大学のロースクールです。
司法試験合格という目的に特化した少人数の演習科目が充実している点が最大の魅力。
その教育の成果として、近年合格者数を着実に伸ばしています。
多様なコース展開や豊かな蔵書数も魅力です。
中央大学法科大学院
「法科の中央」と呼ばれるほど、法曹の養成に力をいれてきた伝統ある大学です。
ゆえに、法曹のOBOGも数多くいます。
また、中央大学ロースクールの大きな特徴として、奨学金が充実していることがあげられます。
コストを抑えて質の高い学問研究を行うことが出来るでしょう。
早稲田大学法科大学院
早稲田大学ロースクールでは、自習室を24時間利用できるのが大きな特徴です。
また、チューターやアカデミックアドバイザーなどの若手弁護士による学習サポート制度も充実しています。