■勝手に署名代筆…「誰かが装って書いている」 農協「お手を煩わせないように…」

都内在住の女性(39)
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「怖かったんですよね。誰かが装って書いているということなので」
この女性は、JA南アルプス市と父親が結んだ共済契約の保障対象になっている。

しかし、手続きは彼女の知らぬ間に行われていて、書類にはなぜか、女性の“署名”とされるものが書かれている。
自分の名前を書いてもらうと…ひらがなの【ぞ】の形が違う。

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後に、これは農協職員が勝手に代筆していたと判明した。

身長、体重、勤務先など、農協側に告知する項目もでたらめだ。父親は、この契約を結ぶことを了承していたが、それでも代筆は許されない。

農協職員に代筆された都内在住の女性(39)
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「こんな署名が正式なものとして通用してしまったら、全然違う契約に変えられてしまっても、まかり通ってしまうと思うので、信用問題というか」
なぜ職員は、こうした不正な代筆契約を行ったのか?
JA南アルプス市に質問状を送ると…

JA南アルプス市の回答
「お手を煩わせないようにとの過度な配慮が起因となり、代筆が行われたものとなります」
と、女性に署名する手間を取らせないためだったと回答。
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そして「過大なノルマが代筆契約に繋がっているのではないか」と問うと、「ご質問いただいたような事実はありません」と否定した。
■全国で続々と発覚 ノルマと“自爆契約”農水省が監督強化
だが、全国各地の農協ではノルマを原因とする様々な不祥事が起きている。
「JAおおいた」では、職員の横領などが発覚。

調査した第三者委員会が「過大なノルマは不祥事の元凶である」と指摘した。
埼玉県の農協では、契約者の署名の代筆が発覚。

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第三者委員会が「自身の実績を上げたい」などの思いがあったことが原因だとしている。
こうした事態を受け国が動いた。
2022年12月7日、農林水産省は共済事業に関する監督指針の改正案を公表。

農林水産省経営局協同組織課 姫野崇範課長
「今回はもちろん問題意識がある」
指針に「不必要な共済契約」つまり“自爆契約”や“ノルマ”について初めて盛り込んだ。

姫野崇範課長
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「過大なノルマというものがあって、それが不祥事の原因になっているという指摘があるので、そこに対していわゆる“自爆”と言われる自分自身にかける不必要な契約が発生しないようにすることを目的としている」
改正指針は1月中には施行される見込みだ。
では、共済事業の全国組織・JA共済連は職員へのノルマや自爆契約についてどう考えているのか…

JA共済連の回答
「上席者が職員に対して過度なプレッシャーを与えて不必要な共済加入を強いることは極めて不適切であり、監督指針の改定を待つまでもなく改善すべきと受け止めています」