直流を交流に変換する「インバータ」の仕組みを理系学生ライターがわかりやすく解説
短形波インバーターの仕組み
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まず、最も単純な構造をしている短形波インバーターの仕組みを考えてみましょう。図のように、電球(負荷)の両端にそれぞれ、直流電源のプラス極、マイナス極につながるスイッチをつなげます。また、各スイッチに1から4の番号を割り振りますね。
最初に、スイッチ1とスイッチ4をオン、スイッチ2とスイッチ3をオフにします。つまり、図の左側の状態にするのです。このとき、電球には左から右へと電流が流れますね。次に、スイッチ2とスイッチ3をオン、スイッチ1とスイッチ4をオフにします。今度は、図の右側の状態ですね。このとき、電球には右から左へと電流が流れます。
では、図の左側の状態と右側の状態を交互に繰り返すと、どのような現象が起こるでしょうか。電流の流れる方向が絶えず入れ替わりますよね。これで、直流から交流を作り出すことができました!
短形波の特徴
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続いて、先ほどの方法で交流を作り出した場合に、電球にかかる電圧と時間の関係を表すグラフ(波形)がどのようになるのかを考察してみます。電球にかかる電圧の大きさは、いずれの場合も直流電源の電圧の大きさに等しくなりますね。変化するのは電流の向きだけです。
ゆえに、電球の右側を基準としたときの電球の左側の電圧と時間の関係は、上の図のようになります。このとき、電流は電圧の高い場所から低い場所に流れることに注意しましょう。V0は直流電源の電圧、fは作り出された交流の周波数を表していますよ。グラフの特徴の一つとして、角のある形をしていることがあげられますね。このような特徴をもつグラフを短形波といい、短形波の交流を作り出すインバーターは短形波インバーターと呼ばれます。
角のある形をしているのが、短形波だな
正弦波の特徴
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図のように、数学で登場する正弦関数(サイン関数、sinx)と同じ形の交流を作り出すインバーターのことを、正弦波インバーターといいます。一般的に、交流発電機でつくられる電気はすべて正弦波です。ゆえに、家庭にあるコンセントに送られてくる電気も正弦波の交流ですよ。
そのため、一部の電気製品は、先ほど紹介した短形波の交流では動作しません。電動機類も、短形波では本来の能力を発揮できません。したがって、幅広い種類の機器を動かすためには、正弦波の交流を出力するインバーターを使用する必要があります。
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