この記事は、オランダの大学でコンピュータサイエンスを勉強する僕が、Yahoo! Japanを運営するヤフー株式会社から新卒ソフトウェアエンジニアとして内定をいただき、辞退するまでの話です。
「辞退した」とかいうと偉そうですが、選考の過程でいろいろな気づきがあったので経験をシェアしたいと思った次第です。
*実際に内定をもらってから半年以上経った後に、振り返りながら記事を書いているので、一部記憶が曖昧な部分があります。あらかじめご了承ください。
ヤフーに応募した理由
この話の始まりは、2022年の3月まで遡ります。
この頃僕は、ソフトウェアエンジニアとしての就活に備えて、コーディングテストの対策に力を入れていました。
大学の勉強も忙しかったですが、それまでより少し大学の勉強の時間を減らし、毎日LeetCodeの問題を解き、週末はAtCoderに参加するという生活を送っていました。
こんな生活を、1ヶ月もしていると、もともとド底辺コーダーの僕でも、AtCoderで茶色のレートになり、LeetCodeではEasyの問題は90%、Mediumの問題は30~40%程度は解けるようになってきました。
夏のインターンの応募もしなければいけないタイミングだったので、より実践的にコーディングテスト対策がしたいと思い、選考にコーディングテストを含む会社を受けまくって練習しようと考えました。
少しずつコーディングの問題が解けるようになってきたので、自分の力を試したいという気持ちが強くなっていたのです。(大したレベルでもないのにちょっと悟空みたいなテンションになっていました。)
実はヤフーはこの時に、コーディングテストの練習をしたいと思い受けた企業の一つでした。
この時は、ただコーディングテストを受けたかっただけなので、インターンか新卒採用かなども、ちゃんと確かめずにエントリーしました。結果、新卒採用でした。
選考プロセス
エントリー
エントリーした後は、すぐにお決まりのWebエントリーシートの提出を行いました。
エントリーシート提出後すぐに、「Test」の受験案内が来ました。
いきなり大本命のコーディングテストです。
コーディングテスト
案内から時間を空けずに、コーディングテストを受験しました。
あくまで練習のためのコーディングテストなので、準備も対策もなく、普段のコーディング対策の延長として受験しました。
問題は全部で4〜5問あり、全てアルゴリズムの実装問題だったと記憶しています。
一問ごとに30分時間が与えられており、全ての問題を一気に解き切る必要はなく、期限内であれば問題と問題の間でいくらでも時間をとって良いというとても親切な仕様でした。
ありがたく、一問ごとに5分ほど休憩をとりながら、解いて行きました。
一問目、二問目は10分もかからず解けるような簡単な問題で、正直舐めてかかりましたが、一番最後の問題だけ、なぜか解法が思いつかず、テストをパスしきれませんでした。
簡単なものを、複雑に考えすぎてしまったのか、本当に難しかったのか、今となってはわかりません。
完答できなかったことに悔しさを覚え、「これは落ちたな」と思いました。
僕の中で、
「コーディングテストを完答できない」=「選考を通過できない」
という認識だったので、ヤフーに力が及ばなかったと、少しばかり引きずりました。
ちなみに、Amazon Japanのコーディングテストは全問解けて、テストケースも全てパスし、さらに見直す時間もたっぷりありましたが、通過できませんでした。(僕ができたくらいなので、みんなできたのでしょう。)
こんな、手応えとは裏腹に、1週間ほどでコーディングテスト通過の連絡をいただき、一次面接に呼ばれました。
一次面接
一次面接は軽めの技術面接でした。
軽めの自己紹介をして、30分程度で、いくつか質問を受けました。
質問の内容としては、
- コーディングテストの問題を見ながら、技術的な質問
- 技術的なことでやり遂げたこと
- ヤフーを志望する理由
というような感じだった気がします。
まず、コーディングテストの問題を解く際に、実際にどのようなデータ構造を使ったか、なぜそのデータ構造を使用したか、他に使用可能なデータ構造はあったかなど、コーディングを行う上で必要な基本的な知識を聞かれました。
この時は、mapとsetについて熱く語りました。
二つ目の質問については、技術面において、力を入れたこと・達成したこと?(ちゃんと覚えていません)を聞かれました。
僕は、インターンの経験も、すごいポートフォリオも無かったので、最底辺コーダー(自称)から、戦略を練って、AtCoderで茶色のレートにたどり着くまでの話をしました。
決してすごい話ではないですが、目標設定、戦略と実行を経て、何かを成し遂げ、自分のレベルを上げたという一気通貫したエピソードとして、割と説得力があったのではないかと思っています。
最後のヤフーの志望動機については、
最終的にプロダクトマネージャーとしてキャリアを進めて行きたいという話をした上で、
ヤフーであれば様々なプロダクトの開発経験を積むことで、プロダクトマネージャーとしての素養を身につけられるというような話をしました。
ヤフーの実際の志望度合いはさておき、志望理由については割と、というより結構、本音で話しました。
ちなみに、その後の面接でも基本的に志望理由については、同じことを話しました。
ところで、この面接で、初めて逆質問というものを知り、質問がなかった時の気まずさが半端じゃないことがわかったので、次から、いくつか質問を用意してから面接に臨むようになりました。
カジュアル面談
一次面接は、何かやらかしたわけでもなく、無難にこなしたという実感があり、数日後に届いた選考通過の連絡にもさほど驚きませんでした。
次に、選考には関係ないとされる、カジュアル面談に招待されました。
実際に、ヤフーでソフトウェアエンジニアとして働く社員の方とお話しさせていただき、面接では聞けないような質問などをさせていただきました。
実際に待遇や、配属や異動の話を聞かせていただき、
- 部署異動は割とフレキシブル
- エンジニアとしてかなりいい経験を積めるが、給与は他の企業と比べると若干低め
- ヤフーからの転職先の話
など、知りたい情報を聞くことができました。
また、一次面接のフィードバックとして、
「端的に質問に答えられていたのは良かったが、端的すぎたので、もう少し話を広げても良かった」
という謎フィードバックをいただき、ボケ数が少なかったと解釈し、反省しました。
二次面接
カジュアル面談と同時進行で、二次面接の案内もいただき、一次面接の通過から1ヶ月以内には次の面接が行われました。
二次面接の内容は、45分間で「これまで技術的な分野で力を入れてきたこと」についてプレゼンをし、質問を受けるという内容でした。
面接官は人事1人、エンジニア1人の計2人(もう1人いた記憶もある)で、
プレゼンをした後に、人事の方から経歴や志望理由などの非技術的な質問を受け、その後にエンジニアの方から、プレゼン内容と絡めて、技術的な質問を受けました。
先ほども言った通り、まだ大学2年目の後半で、インターン経験もハイレベルなポートフォリオも、研究成果もない状態だったので、とにかくショボくても見せられるもの全部見せようと思いました。
オランダの大学でゼロからコンピュータサイエンスを学び、キツかったけど高い成績を維持してきたこと、その中でいろんなプロジェクトでいろんなものを作ってきたことなど、様々なエピソードを話しながら、授業や個人的に作ってきたものを「質より量戦法」でスライドに詰め込み、見せました。
もちろん、ここでとんでもない成果を見せつける人もいるのでしょうが、
あくまで、ソフトウェアエンジニアの新卒「ポテンシャル」採用の選考なので、内容としては十分だったと思っています。
最終面接
2次面接の後、割とすぐに、選考結果をすっ飛ばして、次の面接の案内をもらいました。
この段階では、「最終面接」ではなく、ただの面接の案内でした。
また、これと同時に適性検査(webテスト的なもの?)の受験と履歴書の提出を求められ、
「今さらなん???」
と思いました。
この面接の前に、会社に関する動画が送られてきて、面接の前に見るように言われました。
結果的に、僕はこの動画を見るのを忘れます。
最終面接とも聞かされていなかったので、僕は内心、
「何回面接やるねん」
とか思いながら、大した準備もせず、時差もあったので面接の10分前に起床するような状態で、面接に臨みました。今思うと、大変に舐め腐ったやつです。
面接では、まず動画の感想を聞かれたので、簡単に、見てもいない動画の感想を話しました。
その後、ヤフーで何がしたいか、他に内定をもらっている企業・志望している企業はあるか、など割と深い質問を受けました。
ヤフーでやりたいことについては、自分の目指すキャリア像に近づくために必要な経験を積めることを話しました。
内定をもらっている企業はなかったので、興味のある企業、具体的にはLINEやメルカリなどの名前を出しながら、質問に答えました。
LINEやメルカリではなくヤフーを選ぶ理由はあるかなど、さらに深く、答えづらい質問が続きましたが、なんとか無難に答えました。
一通り、質問が終わり、予定されていた終了時刻を過ぎようとしている頃に、突然、
「内定出します。これが最終面接です。」
と言い渡されました。
この展開については、全く予想していなかったので、正直驚きました。
その場で答えが出せなかったので、1週間以内に内定を受諾するかどうか連絡することになり、面接の後に、内定通知書も送られてきました。
気づいたら7月になっていました。
1週間もらいましたが、今思うと答えは最初から決まっていました。
内定を辞退した理由
結果、僕は内定を辞退することにしました。
理由は大きく以下の三つです。
- 給料が安すぎる
- ヤフーのビジネスに将来性を感じなかった
- 入社時期が1年以上先の内定を受けられるはずがない
安すぎる給料
ヤフーの給与情報は、調べればいくらでも出てくると思うので、はっきり書きますが、
一年目の給与は、月給26万円、年収430万円ほどです。
これは、全職種の平均ではなく、ソフトウェアエンジニアの給料です。
わざわざオランダまで来て、こんなに勉強頑張ってきたのに、これくらいの評価なのかというのと、オランダだったら、月給なら倍は目指せると思ったので、給与の額が内定を辞退する理由の一つになりました。
ヤフーのビジネス
Yahoo!Japanことヤフー株式会社は「Yahoo」という名前こそ冠していますが、今やアメリカのYahoo!とは全く関係のない100%日本企業で、ビジネスのほとんどは日本国内マーケット向けです。
ヤフーのビジネスの全てを知っているわけではありませんが、2022年の4月からヨーロッパでYahoo!Japanのサービスが利用できなくなるなど、サービスは縮小傾向にあるように見えます。
日本のマーケットをターゲットにした、純日本企業ということで、日本が経済的に衰退しつつあるという事実がある以上、ヤフーのビジネスは魅力的ではないと感じました。
これは、ヤフーで得られる経験やヤフーのプロダクトを否定しているわけではありません。
入社時期が1年以上先の内定を受けられない
最後の理由は、入社時期が一年以上先の内定を受けることは、現段階の自分に対する評価を、今より成長した未来の自分に押し付けてしまい、自分の評価値を下げることになりかねないということです。
これは日本の就活全般に言えることかもしれません。
僕は、ヤフーから内定をもらった時点の自分と、実際に入社する時期の自分のレベルが遥かに違う自信がありました。
それは、オランダに来てからの成長の幅を知っているので、ここから、インターンなどの実務経験を経てさらに大きく成長し、一年後の自分は別人になっているだろうと、当然のようにわかっていたからです。
実際にその後、夏はFast Retailingでサマーインターンをし、今はオランダのスタートアップでインターンをしています。半年前と比べ格段に成長しています。できることが増え、考え方も変わっています。
今の状態で、半年前の自分のレベルで評価されたら、あまりにアンフェアです。
人は成長し、考え方を変えます。
たとえ自分のことでも、未来のことはわかりません。
だから、僕はヤフーの内定を辞退しました。
最後に
コーディングテストを受けたいという理由から始まったヤフーの新卒採用の選考でしたが、自分のキャリアについて、思いがけず、深く考える機会になりました。
また、日本の新卒採用のデメリットをひとつ見つける機会にもなりました。
現在、僕はオランダでソフトウェアエンジニアとしてのキャリアを進めための準備していますが、ここから、どのように自分が考えを変えていくか、何が起こるか、正直わかりません。
気がついたら、日本で働いているかもしれません。
奇跡的に、Diversity Visa Programでグリーンカードをゲットして、アメリカで働くとか言い出すかもしれません。
何もわかりません。
分からないなりに、何か行動を起こし、挑戦を続けたら、いい方向に進んでいく気がしています。