土地家屋調査士を目指される方にとって、試験の合格率は気になるところですよね。
今回は、直近の合格率と、合否に関係がある基準点とその突破率についても併せて解説いたします。
目次
土地家屋調査士試験の合格率
令和3年度の土地家屋調査士試験は、2021年10月17日(日)に実施されました。
法務省「令和3年度土地家屋調査士試験の最終結果について」によると、令和3年度の試験における受験者数は3,859人で合格者数は404人(前年度の合格者は392人)となり、合格率は10.47%(前年度10.36%)という結果になっています。
合格率の推移も確認していきましょう。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和3年度 | 3,859人 | 404人 | 10.47% |
令和2年度 | 3,785人 | 392人 | 10.36% |
令和元年度 | 4,198人 | 406人 | 9.68% |
平成30年度 | 4,380人 | 418人 | 9.54% |
平成29年度 | 4,600人 | 400人 | 8.69% |
平成28年度 | 4,506人 | 402人 | 8.92% |
平成27年度 | 4,568人 | 403人 | 8.82% |
平成26年度 | 4,617人 | 407人 | 8.82% |
平成25年度 | 4,700人 | 412人 | 8.77% |
土地家屋調査士試験の例年の合格率は9%程度です。
平成30年度と令和元年度は9%後半を超え、令和2年度と令和3年度は10%を超えました。
これは受験者数の減少が影響しています。
合格者の数は400名程度で維持されていますが、受験者が減っているのでその分合格率が上昇している形です。
とはいえ、難関であることに変わりはなく、「もっと合格率が上がるまで待とう」なんて悠長なことは言ってられませんね。
筆記試験(択一・書式)の突破率はどれくらい?
まずは「基準点」と「合格点」について
土地家屋調査士の筆記試験には、「基準点」と「合格点」というものがあります。
「基準点」とは、いわゆる足切り点です。
択一式と記述式にそれぞれ設定されており、どちらも到達していることが必要です。
そして択一式と記述式どちらも基準点を突破した上で、合計得点が「合格点」に到達していてはじめて、筆記試験合格となります。
近年の基準点と合格点は以下表のようになっており、令和3年の合格点は択一式は32.5点(13問)、記述式は30.5点となります。
また、合格点は73.5点と言う結果になりました。
年度 | 択一式基準点 (平均点) |
記述式基準点 (平均点) |
合格点 |
平成25年度 | 30.0 (26.5) |
30.0 (25.2) |
71.5 |
平成26年度 | 35.0 (31.1) |
30.0 (24.3) |
74.5 |
平成27年度 | 32.5 (29.7) |
30.0 (24.1) |
73.5 |
平成28年度 | 30.0 (26.6) |
31.5 (27.1) |
74.5 |
平成29年度 | 37.5 (32.7) |
36.0 (30.1) |
81.0 |
平成30年度 | 35.0 (32.5) |
33.5 (27.8) |
81.0 |
令和元年度 | 32.5 (29.8) |
33.0 (27.5) |
76.5 |
令和2年度 | 32.5 (29.4) |
30.0 (24.8) |
71.0 |
令和3年度 |
32.5 |
30.5 |
73.5 |
基準点は平均点よりも上にあるため、受験生の平均以上が取れていないと足切りにあってしまうことになります。
さらに、両方の基準点を突破していても、合格点まではさらに10点ほどの積み増しが必要となっています。
基準点はどのように決まる?
それでは、基準点は一体どのようにして決まっているのでしょうか。
まず択一式の基準点ですが、こちらは通過人数がだいたい2000人となる点数で設定されます。
なぜ2000人かといえば、記述式の答案を採点できる上限がこれぐらいだからです。
記述式の答案はすべて人の手で採点する必要があるため、択一式で基準点を定めて、2000人ほどに絞っているのです。
記述式の基準点は、その年の難易度に応じて調整されます。
だいたい平均点より5点ほど上ですね。
近年ではほとんどが30点以上で、6割以上の得点が必要となっています。
難易度が低い年では7割以上が求められることもあります。
易しいからラッキー、というわけではないのですね。
そして、択一式と記述式の両方の基準点を突破した人のうち、上位から400人になるラインで「合格点」が決められます。
択一式・記述式の突破率
さて、それでは基準点と合格点を突破した受験者数に対する割合を見ていきましょう。
年度 | 択一式突破率 (突破者数) |
記述式突破率 (突破者数) |
合格率 (突破者数) |
令和2年度 | 49.9% (1,890人) |
15.3% (580人) |
10.4% (392人) |
令和元年度 | 49.8% (2090人) |
17.5% (736人) |
9.7% (406人) |
平成30年度 | 51.5% (2256人) |
16.5% (722人) |
9.5% (418人) |
平成29年度 | 43.7% (2012人) |
13.9% (638人) |
8.7% (400人) |
平成28年度 | 45.6% (2055人) |
16.1% (725人) |
8.9% (402人) |
平成27年度 | 49.3% (2250人) |
14.8% (675人) |
8.8% (403人) |
平成26年度 | 44.0% (2029人) |
14.6% (676人) |
8.8% (407人) |
平成25年度 | 44.1% (2073人) |
16.7% (784人) |
8.8% (412人) |
※突破率・合格率は、受験者数に対する割合 |
択一式の突破率は、全体の45~50%くらいですね。
受験者数が4000人超で、そのうち突破できるのが2000人ですから、半数近くがここで脱落することになります。
択一式の基準点は平均点よりも高く設定されますので、受験生の平均以上の成績を収めていなければいけないわけですね。
そして、記述式答案が採点され、こちらも突破できた人の割合は、全体の15%程度となります。
さらにグッと少なくなりました。
択一式を突破していても、そのうち3人に1人くらいしか記述式を突破できていないことになります。
なかなか狭き門といえますね。
その中でさらに「合格点」に到達できた人は8~9%ほどとなります。
400名のみですから、ここでも半数ほどが脱落するわけですね。
生半可な気持ちでは合格できない試験といえます。
関連コラム:土地家屋調査士試験の難易度と勉強を始める前に知っておくべきこと
土地家屋調査士の解答速報について
アガルートにて10月16日 14時25分に公開した午前の部(択一)、15時55分に公開した午後の部(択一)の解答速報は下記となります。
午前の部(択一)
問01 | 問02 | 問03 | 問04 | 問05 | 問06 | 問07 | 問08 | 問09 | 問10 |
5 | 2 | 5 | 4 | 1 | 3 | 2 | 5 | 3 | 1 |
午後の部(択一)
問01 | 問02 | 問03 | 問04 | 問05 | 問06 | 問07 | 問08 | 問09 | 問10 |
4 | 1 | 4 | 1 | 3 | 4 | 5 | 3 | 1 | 2 |
問11 | 問12 | 問13 | 問14 | 問15 | 問16 | 問17 | 問18 | 問19 | 問20 |
2 | 5 | 4 | 3 | 1 | 2 | 2 | 4 | 5 | 3 |
土地家屋調査士試験 午後の部(択一&記述)の解答速報・総評動画は下記となります。
大切なのは必要な得点を取る勉強法と時間管理
少し脅かしてしまいましたが、そうはいっても別に満点でなければ合格できないというわけではありません。
戦略的に点数を獲得していけば、基準点を超え、さらに合格点に到達することは十分可能です。
それは初学者であってもです。
私自身初学者で合格していますし、アガルートでは令和3年度に初受験された方の合格率が28.46%です。
土地家屋調査士試験は、合格までの平均受験回数が3回といわれていますから、これはかなりの数字ですよね。
大切なのは、有効な勉強法と時間管理ということです。
関連コラム:土地家屋調査士試験合格に必要な勉強時間とその内訳